ミュージカル「つばめ」ファイナル公演
多くの感動を与えて来月から全国公演へ(1月27日・月)
田沢湖町の劇団「わらび座」のミュージカル「つばめ」のファイナル公演が26日、わらび劇場で行われた。最終公演とあって県内各地から観客が詰めかけ、一、二階合わせて700席のホールは立ち見席が出るほどの盛況さ。脚本・演出のジェームス・三木さんも公演後のロビーで「脚本サインセール」を行った。熱演した「つばめ」の役者たちもロビーで観客と交流、記念写真に収まったり、握手しながら別れを惜しんだ。「つばめ」は2月から福岡県甘木市を皮切りに全国公演を開始し、来年7月の最終公演は韓国で行う。
「つばめ」は豊臣秀吉の2度にわたる朝鮮出兵による〃民族の悲劇〃を背景にした愛の物語。豊臣政権を終焉させた徳川幕府は一転して、朝鮮と友好的な政策を取る。その朝鮮王国から友好のあかしとして「通信使」が送られてきた。饗応の席で通信使の一人が、十年前に水死したはずの妻・お燕(えん)と呼ばれる春燕(しゅんえん)と再会する。お燕は豊臣軍団によって拉致されたものの、今では拝領妻として彦根藩の武士との間に子を成す身。かつての夫から求められる愛、そして日本人妻としての夫と子への愛。二つの愛と二つの国のはざまで苦悩するお燕の熱演は感動と涙を誘った。公演は昨年8月から始まりこれまで119回の上演で約3万5000人の観客を動員した。
お燕を演じる椿千代さんの美しさ。そして悲しみを込めた熱演。かつての妻への変わらぬ愛を燃やす朝鮮通信使役の近藤進さんの重厚さ。お燕への愛を断ち切り、離縁を決意する彦根藩武士の悲しみを演じる渡辺哲さんの熱唱。空飛ぶツバメ夫婦は海を越え、国を越え、自由に行き来できるが、人間にはそれができない。劇団「わらび座」の舞台は人間の悲しみ、国と国との争いで引き裂かれた愛の悲しみを洗練された演技と美しい舞台美術を背景に見事に歌いこなし、観客をとりことさせていた。舞台が終了すると会場からは熱狂的な拍手と歓声が役者たちに送られていた。
この日は韓国のテレビ局「文化放送(MBC)」のクルー6人が同劇場を訪れ、密着取材を展開、日本と朝鮮との間にあった過去の歴史を直視したドラマに感動しながらカメラを回していた。約200人が参加しての記念パーティーでジュームスさんは「日本は北朝鮮と57年経つ今も国交を回復していない。韓国と国交を回復させるにも30年位かかった。そして、なおまだまだいろんな問題がある。今回の舞台で『文を以って武に報いる』というすばらしい思想を学んだ」と述べた。
パーティーの席上、ジェームスさんのメッセージを韓国公演で伝えるための「全国リレー旗」の授与式も行われ、彦根藩武士の水島善蔵を演じた渡辺さんが「日本全国、そして韓国にもいい舞台をお届けします。応援してください、行ってきます!」と挨拶、大きな拍手の中で閉会した。