図鑑「生きている自然 大曲」

大曲市教育委員会で発行

西山の豊富な草花と野鳥の生態を写真集に(3月11日・火)

 大曲市教育委員会(笹元嘉辰教育長)ではこのほど図鑑「生きている自然 大曲」を発刊した。大曲市生涯学習自然保護の会(鈴木宏会長)が長年に渡って観察してきた西山の自然を基に西山の山野草、それにチョウやトンボなど小動物の生態を観察してきた元教諭の田村武志さん(大曲市福見町)と野鳥研究家として知られる鈴木三郎さん(神岡町)から提供された数多くの写真を中心に編集したもの。図鑑を開くと西山に生息している可憐な草花や小動物、野鳥の生態が豊富なカラー写真で楽しめる。国の「学校内外を通じた奉仕活動・体験活動推進事業」と「子ども放課後・週末活動等支援事業」の助成を受けての発刊。B5版で500部印刷。市内の小・中学校と高校、それに公民館など社会教育施設と大曲図書館、県立図書館に寄贈した。

 西山は松山(標高87メートル)、伊豆山(標高208メートル)、太平山=姫神山=(標高387メートル)、石切山(同114メートル)、雷電山(同310メートル)などからなっている。大曲自然保護の会では最初のころは松山周辺の散策をしながらの自然観察だったが、次第に最も急峻な太平山に登り、伊豆山、長沢神社、薬師神社、水道山と観察の場を広げ、高山にしか見られないブナやイワウチワの花を発見。さらに国道105号線に近い蛭川の石切り場の絶壁にハヤブサが営巣し、水道山のスギの木にはオオタカが巣を組んでいるのを確認。ハヤブサもオオタカも絶滅危惧種に指定されている野鳥だけに西山の自然の豊かさに驚いたり、感動してきた。そして田村さんと鈴木さんからの写真提供を受けて今回の「生きている自然 大曲」の刊行となった。

 図鑑では「薬師神社参道〜姫神山概念図」「水道山滝の沢概念図」「伊豆山概念図」など場所ごとに観察できる山野草をまとめている。可憐なヒメシャガ(アヤメ科)、クルマユリ(ユリ科)、ヒトリシズカ、ヤグルマソウ、ヤマシャクヤクなど多彩な草花が美しいカラー写真で楽しめる。中にはギョウジャニンニク、シラネアオイ、ヤマラッキョウなど貴重な草花も。花の一つひとつに生態や特徴などの説明も折り込まれている。

 特記すべきは「珍しい生態の瞬間」と題して掲載されたブナの花やハウチカエデの花。中々、観ることが出来ない瞬間を田村さんは長年の観察でカメラに収めた。またナメクジの交尾と言った珍しい瞬間も。田村さんはこれまでに「仙北花抒情」「続・仙北花抒情」の2冊の写真集を発行している。今回は134枚の写真が掲載されている。

 鈴木さん提供の「大曲の野鳥」も驚く。カワセミ、オジロワシ、オオワシ、ハヤブサ、アオゲラなど12種の野鳥の写真を提供。市内を流れる雄物川や玉川とその周辺で観察された野鳥の生態を見事なシャッターチャンスで捉えたもの。中には国の特別天然記念物に指定され北海道釧路湿原だけでしか繁殖してない鶴「タンチョウ」の写真も。1993年6月に仙北郡内で撮影したもので「居心地がよかったのか5月から9月まで滞在した。たった一羽だけだったので、迷ってきたものでしょう」と鈴木さんは写真で説明している。

 市教委では「総合的な学習はもとより大人の生涯学習にも役立つ図鑑となった」と喜んでいる。図鑑を手にして山を歩くと草花や昆虫、野鳥の観察の手引きとなって一層楽しくなるようだ。