早春の夜空を焦がして

大曲市の新作花火コレクション

2万2000人の観客、寒さも忘れて楽しむ(3月23日・日)

 早春の夜空を焦がす「新作花火コレクション」が22日夜、大曲市のファミリースキー場で行われた。全国若手花火作家の夜空の競演は満天の星空に華麗な彩りを添え、県内外から訪れた約2万2000人(主催者発表)の観客は夜の冷え込みも忘れて音と光りの美を堪能した。

 新作花火コレクションは全国の若手花火作家に独創的な作品を発表する場を提供し、チャレンジする意欲を育てたいとNPO法人大曲倶楽部(賢木新悦会長)が主催となって始めた。今年で12回目。今年も全国から選び抜かれた若手花火作家25人が参加、独創性に富んだ花火が次々と打ち上げられた。花火作家たちはこの大会に向けて製作した花火への思いをステージ上で語り、観客にその心を伝えて打ち上げた。

 昨年は雨、一昨年は吹雪。新作花火コレクションはこれまで早春の嵐に見舞われるのが多かったが、この日は快晴。絶好のコンディションに恵まれた。打ち上げる花火は4号玉(4寸)10発、5号玉(5寸)5発の計15発の組み合わせで一つのテーマを構成し、それをいかに表現するかが課題となる。

 初めて審査員に選ばれた同市角間川町のガラス胎七宝とガラス彫刻工房「あんだんて」の伊藤美果さんは午後4時10分ごろに審査員会場のスキーロッジに入り、「緊張してますが、楽しみながら審査したい」と笑顔をこぼした。作家の西木正明さん、テレビで活躍している加藤博一さんら審査員も次々と会場に入った。主役の花火作家たちが会場入りすると接待役のスタッフたちが出迎え「ようこそ。ご苦労さまです」とねぎらいの声をかけた。福岡県から初めて参加したという塚本亨央さん(30)は「雪を見て、ああ秋田に来たんだなと思いました」と語り「花火の仕事に就いてもう16年。大曲ではどんな花火を見せたらいいか悩んだけど、こんな花があってもいいかなと思いつきで作ってみました」と「空想花」のイメージを話した。

 打ち上げは午後6時半。ファミリースキー場の駐車場、近くの県立農業科学館は車で満杯となり、観客は思い思いの場に席を取り、打ち上げを待った。宮城県や岩手、福島からの大型観光バスの列もあった。新作花火コレクションは早春の大曲を飾る新しい観光資源として定着したようだ。赤、ブルー、紫、ゴールド。澄みきった夜空に打ち上げられた花火は千変万化し、散った。合間には大玉割物花火17発の競演もあった。スポンサーとなった人の思いや感謝の気持ちを一発の花火に込めて打ち上げるもの。亡くなった父への感謝や子どもの卒園を祝う両親、定年退職した父へのねぎらいを込めた花火などもあり、会場をほほえましい雰囲気にさせた。

 審査結果は次の通り。

 ▽金賞=「水墨画山水〜春の訪れ〜」池谷光晴(イケブン・静岡県)▽銀賞=「花物語〃マーガレット〃」篠原茂男(篠原煙火店・長野県)▽銅賞=斉木智(山梨県)、和田順(神奈川県)、大久保博(秋田県)▽特別賞=「秋田のタマちゃん」今野義和(北日本花火興業・秋田県)