不登校・引きこもりを考える集い

登校拒否文化医学研究所の高橋所長が講演

母親に乱暴な態度を取って「優しさ」を求める場合も(5月26日・月)

 不登校を語る高橋さん(中央)不登校・引きこもりを考える集いが24日、大曲市のサンクエスト大曲で開かれ、登校拒否文化医学研究所(東京都大田区)の所長として全国的な活躍をしている高橋良臣さんが「不登校・引きこもりの人々の生き方探し」と題して講演した。大曲キリスト教会の横井伸夫牧師が事務局を努める「不登校を考える会大曲・仙北」が主催した。会場を訪れた人たちは20人ほどだったが、高橋さんの講演の後も不登校で悩む親たちは熱心な質問や悩みを訴え、2時間の予定が1時間もオーバーするなど不登校や引きこもりの子を抱える親たちはすがるような気持ちでアドバイスを受けていた。

 臨床心理士、牧師でもある高橋さんは1972年から登校拒否や不登校の子どもたちと共同生活し、心の相談室、大須成学園(生活体験学園)を運営、全国各地の不登校・引きこもりの親の会に派遣するためのメンタル・フレンド研修を実施するなど協力している。また「登校拒否・引きこもりの二次的反応─かわりつづける人のために─」(ほんの森出版)などの著書がある。

 高橋さんは子どもたちが引きこもるには「負の先行体験」があると述べた。それは▽リンチや嫌がらせ、仲間外れなどの「いじめ」で自分の人間性が傷つくほどの嫌な体験やつらい体験▽親や教師からの一方的な圧力や押しつけ▽自ら行った失敗▽世間の常識で受け入れられないような間違い─などで「もう二度と味わいたくない体験」をするという。また大学院や大学を中退したり、就職したが辞めてしまって引きこもりになる人の場合は▽不本意な入学や入社▽人前での恥や屈辱体験▽過重な負担やノルマ▽教師や上司、先輩らのいじめ▽取り返しがきかないと思い込んでいる失敗や間違い▽失恋?などが先行体験となると述べた。

 そして「外出するのを怖がり、人に会うことや見られることを恐れるようになり、外部からは見えない閉鎖空間・閉塞空間に自分の身を置くようになる」と話した。しかし、閉鎖空間で過ごし始めると「起きてから寝るまでに行うスケジュールがなくなり、時間割のない生活へと陥り、心の負担にならないテレビ、ゲーム、漫画、パソコンなどの生活に終始する一方、カーテンや雨戸を閉めて外部から自分の生活が窺えないような工夫をする」とも述べた。

 しかし、閉鎖された空間でゲームやテレビ、パソコンを相手に一人きりで時間の区切りなしに行うことは「引きこもりが長引くだけでなく、心の世界に病理的な状態を引き起し危険だ」とも警鐘した。だが、引きこもりの子を抱えた多くの家庭ではそうした遊びに熱中している子どもや青年には「声をかけると怒りだす」ため黙認しているのが現状。高橋さんは「相手がうるさがったり、怒りだすような声かけは慎まなければならないが、尊敬されるべき人間としての声かけは必要だ」と訴えた。誰かが近くに寄り添い「楽しそうだね」「すごいね」「この人、やたら強いね」といった外部の声を聴かせて現実感を引き寄せることが大切だと言うもの。同時に一緒にテレビを見たりゲームをしたりパソコンを楽しむ相手がいれば大きな支援にもなると話した。

 また登校拒否の子どもや引きこもりの青年たちは「母親に乱暴な態度を取ることで『優しさ』を求めたり『不安』をぶっつけるが、母親はその乱暴な態度に優しさを求めているのだとは信じられなくなる。親はそうした子どもを直そうと努力するよりも、その子どもの気持ちに寄り添い、心の痛みを聞いてやり、気持ちを楽にさせる努力が必要」とも訴えた。それは対話しながらお互いを理解し合う「受容」であって、最初から相手の言い分を認めてしまう「許容」とは違うとも述べた。

 講演後は出席者からそれぞれの家庭の悩みを訴える声が次々と出た。高橋さんは「こうしたらいいとかああしたらいいとか法則はない。急いで結論を出そうとするのではなく、子どもに寄り添う気持ちを大事にしてほしい」とていねいに応じていた。また「また子どもが何を求めているのかを感じ取る努力が必要であり、無理に学校に行けと押しつけるのではなく、学校に行きたくなるような支援をすべきだ。そのためにも学校の先生とも連絡を取り合い、協力関係をつくっていくかも大事な要素」と訴えた。

 事務局の横井牧師は「これからも不登校の親の会を定期的に開催し、悩みを訴え、相談し会える場所を設け、不登校の子や引きこもりの家族を抱えた人たちのためのサポート活動を続けたい」と話す。問い合わせは0187─62─2598へ。