選挙カーを追う(3)
我妻氏「長生きして〃エガッタな〃」の年金制度へ(11月5日・水)
マニフェスト(政権公約)の選択か、自民、民主の政権交代がなるかを焦点に先月28日、公示された総選挙もいよいよ終盤となった。秋田3区からは届出順に無所属・新人の御法川信英氏(39)=大曲市=、自民党・前職の村岡兼造氏(72)=本荘市=、共産党・新人の我妻桂子氏(49)=横手市=の3候補が激しい選挙戦を展開している。3候補の選挙カーを追ってその戦い振りをレポートする。
横手市で米屋を営み「普通のおばさん」を自認するが、早稲田大学法学部を卒業、弁護士を目指して司法試験の勉強をした。その夢が破れ、東京の司法書士事務所で働いていたが、母の懇願で横手市に帰郷し、親せきの米穀店を引き継いだ。「一貫して戦争反対を唱え、社会を良くしたいと運動している党に共感」して7年前に入党した。
大曲市の遊説には佐藤文子市議、藤田和久市議が同行した。新日本婦人の会の会員3人も行動を共にした。町村に入るとその町村の共産党議員たちが案内人となって交代する。
選挙カーは盛んに「消費税増税に反対する共産党」を叫び、生活に密着した党であることのイメージを植えつけようとする。同時に「自民党政治を大もとから切り換え、国民が主人公の改革を進める」と訴える。街頭演説で我妻氏が車から下りると行動を共にしている新日本婦人の会員たちが「守ろう憲法9条。イラクへの派兵反対」「消費税増税反対」の旗を手に我妻氏の両脇に立つ。同時に運動員たちがビラを手に周辺の住宅を訪問し、一戸一戸へ配布する。
共産党の運動は地道だ。ただひたすら隠れた有権者に叫び、手を振ってくれる数少ない応援者を見つけては「ありがとうございます」と応える。街頭演説でも外に出て聞いてくれる人は数人しかいない。2日午後。千畑町に入った我妻氏の選挙カーは奥羽山脈麓の道を南から北上し、再び南下した。一丈木公園近くの自転車店前で車を停めると武藤威町議がマイクを握って我妻氏を紹介。6人の町民が演説を聞こうと集まった。
「あたしは横手で米屋をやってます。お客さんが店にお茶っこ飲みに来ます。『困ったなー。生活苦しくなって。年金は下がったし、介護保険料はきつくて』、『息子がリストラで東京から戻ってきても就職先は見つからないし、何としたらえべな』。こう言う話ばかり出ます。国民の67%が生活不安を訴えているのです」と語り出す。米屋という〃生活の窓〃から耳にしたこぼれ話から国民生活の不安を語り、「今度の選挙、国民の痛みを取り除く手だてを示せない自民党政治をこのまま続けるのか、希望の持てる国づくりを進めるのかが問われる大事な選挙です」と訴える。
演説では単なる政権への批判だけでなく「どうしたら老後を支える年金制度を作れるのか。共産党なら基礎年金の国庫負担割合を現在の3分の1から2分の1に引き上げます。これは法律で決まっているのに政府は棚上げしてきたのです。年金制度を支える雇用と所得も安定させます。175兆円とも言われる年金積立金も計画的に活用すれば保険料を増やすことも給付を減らすこともない。長生きして〃エガッタな〃と思える年金制度を作れるのです」と提案する。
農業問題でも「食糧自給率40%を割った。7200万人分の食糧は外国から輸入しなければならない。それでも小泉さんは『農業鎖国を続けるわけにはいかない』と言ってます。これ以上、何を輸入するというのか。私たちの暮らし、命を支える食糧の問題が大変な状態に置かれている」と叫び、自民党は「農業をつぶそうとしている」と危機感をあおる。そして「政府はきちっと農業と向き合い、コメの自給は日本の生命線であること。欧米諸国のように価格保障や所得保障に取り組み、私たちが安心できる食糧の自給率を高めるべきだ」と訴える。
六郷町では午後3時半に湧太郎前でマイクを握った。買い物客ら20人ほどがジッと耳を傾けた。こうした街頭での演説は1日10カ所以上をこなす。「ただ選挙カーを流すだけでは党の考え方が有権者に伝わらない。候補者が直接、しゃべって意思伝達したい」と我妻氏の陣営。
演説を終えると聞いてくれた人たちのそばへ寄って笑顔で握手を交わす。その我妻氏に選挙戦を通じての感触を尋ねたら「見知らぬ私のために頑張ってと言って下さる方もいて感謝してます。それにお孫さんを連れたおばあさんが『この子のためにも戦争になったりしない世の中にしてほしい』と頼まれました。嬉しかった」と笑顔で語った。同行した新日本婦人の会の会員たちは「我妻さんは頭がいい。話をしてると分かります。だから話す内容も一番。もっと聞いてくれる人がいたら政治も変わるのに」と残念がった。