大曲室内合奏団の定期演奏会
シューベルトの交響曲「未完成」などを演奏(11月10日・月)
大曲室内合奏団の第25回記念定期演奏会が9日、大曲市民会館であった。同合奏団の固定したファンもいて、大勢の市民が会場に詰めかけ名演奏を楽しんだ。合奏団が誕生したのは1976年1月。みんなで何かを演奏したいと音楽好きな人たち15人が集まって結成された。それから27年の歴史を刻んだ。「小さな地方都市に小規模ながらも一般市民によるレベルの高いオーケストラが存在することだけでも誇りとしたい」と同合奏団の指揮者で代表の高橋馨さん。
今も正規の団員は少なく、秋田市などから手伝いに来てもらってのこの日の演奏会となった。コンサートミストレスとして賛助出演したのは秋田市の北嶋奏子さん。北嶋さんを含めた46人がファーストバイオリン、第二バイオリン、チェロ、ヴィオラ、コントラバス、トロンボーン、トランペット、クラリネット、オーボエ、そしてティンパニーなど13種類の楽器構成で演奏した。
プログラムの最初はハイドンの「トランペット協奏曲」。トランペット独奏は大曲市在住の高橋直樹さん。心の隅々まで明るくするようなトランペットの音色。それを支える室内合奏団の美しい演奏。そのリズム、曲の流れは浜辺に打ち寄せる春の波のような優しさとなったり、草原を駆け抜ける風のようにもなって変幻自在だった。
2曲目はブラームスの「クラリネット三重奏曲」。同市在住の伊藤基さんがクラリネットを、秋田市の藤原ケイ子さんがチェロを、大曲市の高橋千春さんがピアノを、それぞれ独奏した。息の合った3人の演奏は見事で、聴いていると分け入った深い山奥で午睡から目覚めた森の小鳥たちと神々の会話を耳にしているような神秘的な音の世界だった。
休憩後はシューベルトの交響曲「未完成」だった。同合奏団がこの名曲に取り組むのは今度で3回目。地の底から響いてくるような重低音弦楽器の音に始まる交響曲は何かのドラマの始まりを感じさせ、緊張感が高まる。湖底から聴こえてくるようなバイオリンの奏でる静かな音、ファゴットとホルンとのどこか牧歌的で少し寂しげな響き。彩りをそえるティンパニの響き。交響曲「未完成」は聴衆に深い感動を与えた。
演奏が終わると嵐のような拍手。その拍手を受けてブラームスの「ハンガリー舞曲第1番」と「浜辺の歌」の2曲がアンコール演奏された。指揮者の高橋さんが言うように大曲市という小さな都市でスケールは小さくてもオーケストラが楽しめる。何か得したような気分にさせた。