羽後交通雄勝線を上梓

鉄道シリーズ第52巻

西馬音内電車として親しまれたローカル線(11月14日・金)

 「北丹鉄道─河川敷に消えた小鉄道─」など日本国内の鉄道とその車両、路線にスポットを当てた「RM LIBRARY」シリーズの第52巻として「羽後交通雄勝線─追憶の西馬音内電車─」が(株)ネコ・パブリッシングから上梓された。著者は交通史研究会(日本学術会議登録学術研究団体)会員の若林宣さん(千葉県柏市)。

 羽後交通雄勝線は羽後町西馬音内と湯沢市を結ぶ鉄道として1928年(昭和3年)8月10日に開業した。延長10キロそこらの鉄道である。旅客輸送はもちろん米や木材、薪炭などを西馬音内から湯沢へ、あるいは湯沢から国鉄奥羽線を経て送り出すのが主な目的で「雄勝電気鉄道株式会社」として会社が設立された。

 しかし戦時下に入った1940年(昭和15年)の国家総動員法による陸運統制令の交付で、雄勝鉄道は横手町(現・横手市)に本社を置く「横荘鉄道」に吸収合併される。その横荘鉄道も44年(昭和19年)に「羽後鉄道」と名称を変更、さらに52年(昭和27年)に「羽後交通」となった。

 いずれ両線とも戦後も横手盆地を走るローカル線として地域の人たちの足となって親しまれたが、車の普及で次第に営業成績は悪化。横荘線は71年(昭和46年)に全線が廃止し、雄勝線も73年(昭和48年)廃止となった。

 著者の若林さんは「首都圏で生まれ育ち、その走る姿を見たことがない私がこの鉄道に惹かれたのは訳がある。ファンでもないのに、資財をなげうって電車を美しく再整備した人、その電車一輌を保存するためだけに立派な格納庫を建築した町、そして今なお、電車の記憶を忘れかねている年配の方々。あるいはまた、生まれる前の電車についての記憶を掘り起こしている若い人。そうした人達の存在を知るにつけ、それほどまでに愛されている鉄道とは一体何だろうという好奇心が頭をもたげてきた」と前書きで語る。

 豊富な資料と写真。そして元社員や列車通学した当時の人たちの証言など興味深い話しもいっぱいだ。

 表紙の写真や使用されている写真の一部は鉄道マニアとして中学生のころから奥羽線のSLや羽後交通横荘線・雄勝線の写真を撮っていた大曲市の会社役員・伊藤一己さん(49)が提供した。若林さんとは雄勝線サイトの掲示板で知り合い、写真提供の依頼を受けたと言う。
 
 本は税抜きで1000円。全国の書店で販売しているが、電話やインターネットでの通信販売も行っている。電話は03─5723─6013へ。オンラインショッピングは

http://www.neko.co.jp/
 
  雄勝線サイトと伊藤さんのホームページは下記へ。
 
http://siworinco.hp.infoseek.co.jp/

http://homepage2.nifty.com/namahage2/