不登校を考える集い

高橋良臣氏の講演概要から、その3

登校拒否の子どもたちの進路について(11月29日・土)

 ToBe〜共に生きる会(代表・横井伸夫=日本キリスト教団大曲教会牧師)が年度活動として取り組んでいる「不登校・引きこもりを考える集い」の定例会は23日、大曲市の中央公民館で開かれた。登校拒否文化医療研究所の高橋良臣所長が講師となって概要、次のような講話をした。この日はボランティアも含め18人が参加した。3回にわたって掲載したい。

 進路について=登校拒否・不登校をしていた子どもたちと長年関わってきて、進路についてかなり大きな特徴があることに最近、気がつきました。それは最終学歴の後のフリーターが少ないということです。世間では大学を卒業した後もフリーターでいる人が少なからずいるのに、中学・高校時代に登校拒否をしていて、その後復学したり転学して、どこかの学校なり社会に参加していった子どもたちのほとんどは定職に就いてます。登校拒否期間中は「サラリーマンは嫌だ」とか「決まった仕事に就くのは嫌だ」などと話していた子どもたちです。

 進学について=登校拒否文化医学研究所に来る子どものほとんどは▽小・中学校へ復学するとか▽高校へ進学するとか復学するとか▽大学院へ進学するとか復学しています。
 私が関わってきた30数年の間で、中学校を自らの意思で留年した子どもは(記憶に残っている人だけで)8名です。その子どもたちはいずれも大学へ進学していきました。そのうちの一人は現役の大学生です。残りは高校卒業後、大学生になり就職しています。義務教育で教育委員会や校長の方針で留年した子どもは100名前後です。彼らのほとんどはその後、中学校へは復学していません。

 通信制高等学校の手続きをする際、通信制高等学校の校長の判断で、「中学校卒業程度の学力がある」と認定していただき、通信制高等学校に入学しました。そしておおよそ85%の子どもが大学へ進学していきました。短大へは5%程度の子どもが進学していきました。残りは専門学校へ進学しました。

 現在も大学や短大、専門学校に所属している人を除けば、ほとんどの子どもが定職に就いています。いわゆるフリーターになっている人は記憶しているだけですが、3名です。

 「勉強は嫌だ」「学校は嫌だ」「集団は嫌だ「」と言っていた子どもたちが、カウンセリング(心の相談室)や生活体験(大須成学園)や自主型教室(好文堂教室)を経て、進学の道を選んでいます。心の相談室、大須成学園、好文堂教室に関わる人々のほとんどが子どもたちから見ると「少し年上の素敵な大学生や大学院生」たちだからです。いわゆる難しい顔をした先生ではないのです。「自分もちょっとやれば、あの人のようになれる」希望を抱くことができるような存在です。

 進学してもつまずく子ども、つまずかない子ども=せっかく進学しても、進学先の学校(高校や大学など)を中途退学してしまう子どもも一部にはいます。その多くは「進学先は期待したような学校ではなかった」り「進学した学校での対人関係がうまくできなかった」り「学習で遅れていて、ついていくのが大変だった」などの理由です。

 そのようになるのは多くの場合、親や周囲の人々から「あなたは進学できたのだから、後は自分で頑張りなさい」と言われ、それまで関わってきた人々との関係を絶ってしまったら、子どもは困難にぶつかった時の援助者をなかなか見つけることができません。「学校に馴染めませんでした」「みんなについていけませんでした」「親しみを感じられませんでした」「緊張しました」「疲れるだけでした」という言葉からも理解できます。

 進学した後、順調に進路先で対人関係を築いていくことができる子どもたちの多くは、それまでに関わってきた、お兄さんやお姉さん(世間では先生と言う立場の人々)との関係が続いています。何かあると電話で相談したり、メールでやり取りをしています。お兄さんやお姉さんでも問題が解決できない時には、私(高橋良臣)や登校拒否文化医学研究所の臨床心理士たちに相談をしにきます(個人面接に来ます)。進学先に相談室があったとしても、子どもはなれた人(親しさを感じる人。親密感を抱ける人)に相談をしたいのです。

 どんな学校へ進学したか=最近は「不登校対応の学校」を売りにする高等学校が増えています。大学に関しては「過去の不登校は問いません」という大学も増えてきました。ここでは主に高等学校について触れます。

 「登校拒否受け入れ校」とはいっても、実際には登校拒否ではなく、非行の子どもが多数入学しています。とにかく定員数は確保したいというのが学校側の本音です。現実的には登校拒否の子どもたちの多くは、非行の子どもたちの被害者になる傾向があります。リンチ、恐喝、仲間外し、その他もろもろの嫌な出来事で登校拒否の子どもたちはひどい目に遭います。確かに学校見学会などで見た時、あるいは説明会などで担当教師の話を聴いた時には「素晴らしい理念を持った学校」なのですが、自分の学校の欠点をありのままに伝えるほど成長している学校は少ないのです。

 「登校拒否の子どもを受け入れてはいますが、やめていく子どもが多くて悩んでいるんです」とか「非行の子どもの対応に追われて、教師たちはなかなか登校拒否の子どもには関わることができないのです」とか「教師の中には、登校拒否の子どもと非行の子どもの区別ができていない人もいます」というような話はほとんど出てきません。このような現実は見学会の時とか説明会の時に質問して聴かなければなりません。

 特に全寮制の学校の場合には善し悪しが明確に分かれます。登校拒否の子どもにとっては、寮生活はかなり重要な問題になります。リンチや恐喝や仲間外しなどはほとんどが夜間に寮内で起こっています。

 子どもたちが進学してうまく関わりができて、その先の進路が開かれていく場合の条件は以下のようです。a=学校での教科の担当教師と生活指導や生徒指導の教師たちが一人ひとりの子どもの登校拒否の状態を理解して関わり続けていた。b=登校拒否に関する関わりについて専門家にスーパーバイズを受けていた。c=非行タイプの子どもと登校拒否タイプの子どもへの関わりを区別していた。d=そのような関わりの区別について学内で理解が得られていた。e=保護者との連携が出来ていた。

 この条件を満たす学校はほとんどありません。しかし、探せば多数の条件が合う学校は幾つかあります。私が関わった子どもたちで、高校進学時に、まだ登校拒否気分が強く残っていた子どもには、前記の条件の多くを満たす学校を紹介しました。

 小学校や中学校時代に登校拒否していても、カウンセリングなどで対人関係がうまくでき、集団適応しやすくなっている子どもの場合、a=その子どもの個性について紹介し協力を得られる教師がいる。b=親との連携ができる、などの条件で、子どもを紹介していました。親や子どもが学校案内だけでは知り得ない部分が多いのです。周囲にいる関係者に問い合わせながら、その登校拒否の子どもに合う学校かどうか検討して下さい。

 登校拒否文化医学研究所のホームページは下記へ。

 http://www.asahi-net.or.jp/~pr8y-tkhs/index.htm