大曲市長選の動向

選挙カー東奔西走

「横一線に並んだ」と各陣営、終盤に期待(10月1日・水)

 新人3人による激戦となった大曲市長選は今日1日で選挙戦4日目に入る。選挙カーは残り3日間の運動に全力を注いで、5日の投・開票日を迎える。立候補している元助役の高野昭次氏(54)、元県議の栗林次美氏(55)、そして会社役員・石塚柏氏(56)の選挙カーを追った。大曲市長選が三つどもえとなったのは、故・最上源之助市長が3選を目指した1975年6月の選挙以来28年ぶり。選挙カーは必死に走り回り、市民の関心も日増しに高まっている。



高野候補
 定数24議席の過半数を超える15人の市議団の支持、さらに自民党大曲支部の推薦を得た元助役の高野氏は告示2日目の29日も辻久男県議が選挙カーに同乗、随行車には3人の市議団がサポーターとなって同行するといった華々しい展開。この日は主に市街地を中心に回り、ウグイス嬢は「必ず皆さまの役に立ちます。住んで良かったと思える魅力ある大曲をつくります」と訴えた。

 若葉町から住吉町、田町などの住宅街では留守を守る主婦、農村部では農家の人たちが親しみを込めた笑顔で迎えた。先導車は家の中から窓を開けて手を振るなど人影をチラリとでも察すると「大事な一票」と選挙カーに合図する。高野候補はそれを受けて車から下り、女性スタッフと共に走る。「お願いします」「頑張ります」。ソフトな口ぶりと笑顔を振りまいて握手を求め、一票一票の上積みを図ろうと懸命だ。

 30日は藤木地区と角間川町を回った。選挙カーを走らせるだけでなく、じっくりと時間をかけて票を掘り起こそうと農村部では密着型の運動を展開した。地元在住の市議が先導車に乗って車を誘導する。地元代表の案内を受けての運動だけに住民の出迎えも多く、効率もいい。「手応えは充分に感じてます」と高野候補も自信を深め、笑顔をこぼす。マイクを握ると「大曲仙北は穀倉地帯。市町村合併後の新市となっても農業は本流です。大曲仙北のブランド米の開発に力を入れ、物流の拠点基地としたい」と30年の行政経験を背景にまちづくりへの意欲を訴える。

 中通町の選挙事務所では「人の出は確かに3候補の中でも一番いい。ムードも高まっている。しかし、人数がそのまま票に結びつくのか分からないのが選挙。栗林さんに追いついたとは思っているが、上滑りを警戒し、各地区ごとの支持者を通じて高野候補の名前を書いてもらえるようお願いをしている」と話す。後援会への登録者は約8000人に達した。その数が確実な票になるのかと陣営ではチェックに余念がない。



栗林候補

 出馬表明が1月と最も早く、県議3期通算11年という実績を背景にした栗林氏に対して高野、石塚の両陣営は「一歩リードしているのは栗林であり、我々は追いかける立場」と認める。それは過去の選挙戦を通じた知名度であり、総決起集会に寺田典城知事が応援に駆けつけたという背景もある。しかし、栗林事務所では「県議選では2位でも当選できたが、今度はトップでないと当選できない。それに対応した運動体制が整わなかった」と不安がり、「まだ3候補が横一線に並んだまま」と警戒を怠らない。

 それでも28日の出陣式への人出は高野陣営とほぼ互角に並び、「動員をかけたわけではなかったので予想外」と陣営。告示からの3日間は主に農村部を重点的に選挙カーを走らせたが、「反響は想像以上に良く、選挙カーの移動が大幅に遅れた」と確かな手応えを陣営では感じ取っている。

 29日から30日は藤木、角間川町、そして大曲西根などを回った。ウグイス嬢は「寺田県政と連携を取りながら活力ある大曲を目指します」と県政とのパイプの太さを強調。支持基盤が弱く、人が表に出て来ない地域では逆にマイクを握って「都市計画、子育て、農業、農村環境などいろいろな課題が進まなくなったと言われてます。市役所の人たちがもっと現場に入って汗を流し、そうした課題に向かって仕事をしなければならない。住民に本当に役に立つ市役所にしたい」と訴え、聞き手を呼び集めた。説得力のある訴えに表へ出てきた住民が思わず拍手を送る場面もあった。夢中になって選挙カーに駆け寄って来る姿も見られた。「栗林の場合、出迎えてくれる人はほぼ票になると思っていいからやりやすい」と選挙カーに同行して応援する市議。

 後援会名簿の登録者は5000人まで達した。県議時代に比べると2200人の上積みだという。陣営では「今度の市長選では表立たないが、学校の先生たちの応援が大きな支えになっている」と期待をかける。連合秋田傘下の労組も組織的に動き始めた。



石塚候補
 石塚氏は出陣式への人出が他の2陣営より少なかった事も、運動に勢いがないと言った評価も一切、気にせず一心不乱に選挙カーを走らせている。その戦いを車の中から見つめる運動員は「高野さんや栗林さんのような組織はないし、動員をかける力もなかった。でもあの光景が石塚のこれまでの運動で掘り起こした財産です」と出迎える婦人層の反応の良さを指さした。

 30日朝、内小友地区を走る石塚氏の選挙カーを追った。車は山奥の袋小路もいとわずに入り込む。先導車、選挙カー、そして女性スタッフ4人を乗せた随行車に応援の市議が乗った車も同行した。家が1軒か2軒しかないような袋小路にも貴重な票はあると選挙カーは手を抜かない。出迎える人を一人でも見つければ、黄色いジャンパー姿の石塚氏が駆け寄り、クシャクシャにした笑顔で握手を求める。女性スタッフもその後を追って「お願いします」とフォローする。

 集落に入るとマイクを握って訴える。「新潟の米に負けないブランド米を目指し、全国に売り込みたい。産業を興し、若い人たちが大曲で働き、花火通りを子ども連れで買い物を楽しむ。そうしたまちにしたい」と夢を語り、「民間の柔軟な発想、民間のスピードと旺盛なサービス精神を市政に反映させたい」と訴える。女性陣を見かけると「政治は男の力で一晩で変えられるが、選挙は女性の力で一晩で変えられます。どうか女性の力で大曲を変えて下さい」と声を振り絞った。

 事務所では「出陣式に集まった人数で勝敗は決まらない。動員をかけて集まった500人と自発的に集まった350人とどう価値が違うのか。3人とも横一線に並んだ」と強気だ。その背景は4年前の市長選で獲得した約1万票。「その多くが批判票だと言うが、仮にその批判票が6000だったとしても石塚には4000という財産が残る。それに上乗せすれば勝利は手に入る」と読む。
 



 9月27日現在の有権者数は男1万4903人、女1万7106人で合計3万2009人。前回4年前の有権者数は3万1635人。投票率は75.27%で、2万3811票だった。結果は高橋司氏1万3281票。石塚柏氏1万279票だった。251票が無効だった。