角館町の平福記念美術館
繊細で緻密な絵を残した故・小野さんの絵を楽しめます(10月9日・木)
角館町の平福記念美術館で企画展「小野則夫展 生命─いのち─の描写」が開かれている。画家・小野さんは大曲市出身で静物画を中心に繊細で緻密な画風で多くの人の心を捉え、その将来が嘱望(しょくぼう)されながらも1994年6月に自宅アトリエで倒れ、47歳の若さで逝去した。一枚の絵を仕上げるたびに自分の命を削っていくような悲しい情熱を燃やした作家だった。、その作風からしてこの世に残せた絵は極めて少ない。
今回は小野さんの絵を持っている人たちに同美術館が貸し出しを申し入れ実現した。展示されているのは「紙の上の貝」、「セピア色の静物」、「木箱の上のマルメロ」、「石榴(ざくろ)」、「青いトマトと水差し」、「薔薇(ばら)」など34点。いずれも小野さんらしい個性と筆のタッチが良く表現された作品ばかり。暗い色を背景に赤と黄色、ピンクのバラを鮮やかに浮き立てた「薔薇」。やはりキャンバスを黒っぽく塗りつぶし、白いユリを清潔で、あやしいほどの美しさに描いた「カサブランカ」の絵などは観ていてもどこか寂しげな雰囲気と共にゾクゾクするような美が伝わって来る。一枚一枚から小野さんの息吹が伝わって来るような感じさえする。小野さんには珍しい「雪景」、「鳥海山の夕暮れ」、「梢(こずえ)」と題した3点の風景画もある。
70年3月、武蔵野美術大学造形学部デザイン科を卒業。帰郷後の84年絵画教室「ねむの木会」を開設するかたわら、プロの絵描きを目指して独創的な静物画の世界を創り出す。91年11月に雄和町の「光悦洞美術館」で個展を開催。その静謐(せいひつ)なタッチで訴える力は中央の画壇にも認められ、将来を嘱望されていた。93年には東京・松屋銀座で個展を開催。中央に進出する切っ掛けを作りながらアトリエで倒れた。これまで光悦洞美術館(94年)と六郷町の学友館(01年)で遺作展が開かれている。
今回の企画展は11月24日まで。会期中は無休。入館料は300円。問い合わせは0187─54─3888。