大曲の空に縄文の炎を

雄物川河川公園で野焼き

個性豊かな作品に参加者、満足な笑顔(10月12日・日)

 幻想的な炎を上げる野焼き大曲の空に縄文の炎─をテーマに11日から12日朝にかけて大曲市の雄物川河川公園で「野焼きを楽しむ会」が開かれた。県の開業・開店起業化支援事業の支援を受けて今年3月、同市船場町で伊藤麻野の作家名で「麻野陶工房」を開業した伊藤洋子さん(47)が弟子や一般の方に呼びかけて開いた。お弟子さんを含め約100人が7月から8月にかけて作品作りのために同工房に通い、それぞれの作品を製作。9月いっぱい掛けて乾燥させ、野焼きの日を待った。

 河川公園の使用は国土交通省や市都市計画課から許可をもらい、大曲消防署にも火の使用を届け出た。そして10日朝に堤防下に幅4メートル、縦3メートルの箱型の土の床を作り、11日朝から作品を窯つめし、お昼ごろに火入れした。縄文土器をイメージにしたつぼ。そして土偶や鉢、さらにはアメリカの人気女優だったマリリン・モンーローのお面を作った人もいれば、少女のお人形、それにフクロウの人形などさまざまな作品が窯に入れられた。

 窯の床下にはもみ殻を敷きつめ、その上に作品を並べ、再びもみ殻とワラで包み、皮の着いたままの杉の薪木を積み上げて点火した。伊藤さんと参加者たちはその火を囲んで懇親会を開きながら夜中まで見守った。杉の薪木は2トントラックで4台、火が冷めないように燃やす松の枝を折った生木はトラックで2台分、現場に運んだ。

 夕闇が訪れてから薪を大量に投じるとバチバチと激しく燃え上がり、幻想的な炎の舞いとなり、参加者たちは遠い縄文時代に想いを馳せながら翌朝の窯だしに期待を寄せた。夜空の下で青白く光る炎の燃焼温度は800度から1000度にもなるという。火は午前0時には終わり、2人が徹夜で見守って朝を迎えた。そして午前10時ごろから窯だしが始まった。

 真っ黒な灰の中から埋もれた作品が顔を出すと参加者たちは「あっ。焼けてる。焼けてる。良かった!」と期待に胸を弾ませていた。まだ熱いため熊手で灰を寄せ、一つひとつていねいに作品を掘り出した。重さ7キロから10キロもある大物は欠けたり、割れたりするものもあったが、いずれも焼け具合で個性的な色合いを出し、それぞれに「世界に一つしかない作品」の出来具合に満足そうな表情を浮かべていた。

 参加者の喜んでいる姿を見て伊藤さんは「みんなの作品を預かった責任があって、火入れの前の晩は良く眠れなかった」とホッとした表情だった。床作りから窯つめ、火入れ、そして窯だしとお弟子さんたちの手伝いを受けながらも最後まで責任を持って作業を進めた。

 
窯出しをする伊藤さん

 全ての作品の窯だしを終えると「私の独断と偏見で賞を決めたいと思います」と伊藤さん。その結果、「野焼き大賞」には石山新作さん(仙北町)の「つぼ」を、「努力賞」と「がんばったで賞」には佐藤光子さん(富士見町)と佐々木節子さん(白金町)の鉢を選んで表彰した。

 努力賞を受賞した佐藤さんは「土を練り始めると止められず、もうすっかり焼き物の面白さにはまってしまいました。野焼き用にと11キロの土をこねて一カ月かけて作った鉢には観葉植物を飾ってみたい」と喜んでいた。

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