大曲市の栗林新市長

歩いて初登庁

「頼られる役所、役立つ役所を目指したい」と訓示(10月21日・火)

 市民に出迎えを受け照れる栗林新市長大曲市政は栗林市長へとバトンタッチ─。去る5日に行われた三つどもえの市長選を破って初当選した栗林次美氏(55)=栄町=は20日で退任した高橋司前市長(74)=福見町=に代わって、21日朝、6代目の市長として初登庁した。

 午前8時50分。カバン一つを手に栗林新市長は歩いて市役所に向かってきた。役所前の歩道には栗林市長の初登庁の姿をひと目観ようと、支持者や近所の人たち100人ほどが立っていた。その人の群れを目にした栗林市長は一瞬、戸惑ったような表情で足を止めたが、思いなおして今度は困ったような顔で足を前に運んだ。そして出迎える人たちに照れくさそうに頭を下げた。さらに困ったような、戸惑ったような表情となったのは正面玄関前で出迎える大勢の市職員を目にした時。この時は逃げ出したいような顔だった。しかし、女子職員が差し出す花束を受け取ると緊張しながら庁内へと入った。そして拍手の嵐の中、石川桂一総務部長の案内で市長室へと入った。

 後を追った報道陣から「感想はどうですか」「市長の椅子の座り心地はどうですか」などの質問が飛んだが、「緊張してます」「これから仕事が始まると言った感じ。難しい課題にどう取り組むかで頭がいっぱい」と少しでも緊張をほぐそうとボールペンを握っては指先で何度もいじくった。

 午前9時から高橋市長と事務引継を行い、同10時からは大会議室で就任式に臨んだ。部課長以下一般職も含め約150人を前に栗林新市長は開口一番、「浅学非才だが、25年余りの政治経験のすべてを大曲の発展と住民の幸せ実現のために尽くす決意だ」と述べた。そして今度の市長選で挙げた▽市役所の改革▽農業を含めた産業の育成と雇用の創出▽子育て環境の整備▽住民サービスの向上▽市町村合併の推進など、9つの公約を「この約束は私個人のものではなく、このまちの現状と将来を考える多くの市民の声だ」と語った。

 その上で「公約の一番目に市役所の改革を掲げた。これからは自己決定、自己責任が問われる地方分権が急速に進み、一方では財政はますます厳しくなり、自治体の力量が問われる。そして経済活動の停滞で、税金の使い方、公務員に対する目も厳しくなっている。それだけにもっと市民に頼られる市役所、市民に役立つ市役所にならなければならない。市長も現場に出るので職員も現場に出て市民の声をくみ上げ、市民と共に汗をかいて住民参加と市民の目線で施策を進めたい」と訓示した。

 さらに「小松和夫収入役、笹元嘉辰教育長には引き続き仕事を手伝ってもらいたいと今朝、お二人に伝えた。議会にも午後から会派代表者会議があり、その意向を自分で伝えたい」と述べた。

 この後の記者会見で栗林市長は、市町村合併協議会で合併後の新市の名前が「大仙市」と決まったことに市議会が全員協議会で受け入れられないとした問題を「名称一つで(合併の気運が)壊れたとならないよう一緒になる人たちと冷静に事を進めていかなければなならない」と述べた。そして「前市長の努力で合併は友好的なムードでやってきた。名称もその意味で、スムーズに行くと期待していた。名称を巡って大曲市議会から異論が出ているのは新聞やテレビでの情報しか知らないので、当日の協議会の流れやどんな議論をしたのか事務局からもまた議会代表からも聴いてみたい。町村長も知らない仲ではないのでじっくりと話し合ってみたい」と慎重に言葉を選んだ。

 記者会見で答える栗林市長また収入役、教育長を引き止めた事に関しては「行政の連続性、継続性は大事。二人とも議会がそれにふさわしい人だと承認した人であり、市長が代わったからと辞めてもらうのは役所の悪しき慣行。任期いっぱいやってもらいたい」と答えた。小松収入役は02年3月25日就任し、任期は06年3月31日。笹元教育長は02年4月1日の就任で、任期は06年3月31日。

 さらに栗林市長は助役人事は「議会、市民の皆さん、役所とも相談し、12月定例議会までは3役を揃えたい。来年度予算編成の時期でもあり、ぜひとも手伝ってもらう人がほしい」と述べた。また市役所の機構改革については「公民館や支所は市政の前線基地であり、その情報収集力を高めたい。そのための機構改革は来年の人事異動に合わせたいが、これから勉強して、機構をいじらないでも変えれるものがあれば変えたい。また予算を伴うものは慎重にしたいが、伴わないもので住民サービスにつながる仕事は積極的に進めたい。特に市民の声を聞くことは一番先にやってもらいたい。今までもやってきたと言いたいかもしれないが、市民の目、市民の声からすると足りない。それが今度の市長選の争点にもなった」と強調した。

 最後に市長の責任について「言葉一つとっても大変な責任があり、重圧を感じている」と述べた。そして市長の椅子は「決していい座り心地ではない。針のむしろみたい」と役所の中で自分の居場所をどう見つけるか。まだ手さぐり状態の目を見せた。