大和市の古谷さん
11歳で命を閉じた息子の死を語る(10月22日・水)
大曲仙北いのちを考える会設立発起人会(細谷昭雄代表)では19日、神奈川県大和市で「生と死を考える会」の活動をしている古谷小枝子さんを講師に招いてサンクエスト大曲で講演会を開いた。古谷さんは先天的な心臓の欠陥で、11歳で亡くなった長男の辛い看病の思い出を語りながら「死があるから生がある。死とどう向き合うかを思索することで今をどう生きるかテーマが見えて来る」などと語った。
いのちを考える会は昨年9月に「ToBe〜共に生きる会」が上智大学文学部教授のアルフォンス・デーケン氏を招いて「生と死を考える集い」を開いて以来、これまで3回にわたる集いで「死とどう向き合うか、生きがいのある人生を歩むにはどうすればよいか」をテーマに活動を開始。そして今年5月に大曲キリスト教会(栄町)を事務局に細谷さんを代表とする「大曲仙北いのちを考える会設立発起人会」を発足させた。
同教会の横井伸夫牧師は「末期医療のあり方、臓器移植、献体、がん告知など私たちが直面する生と死の問題を共に考え、自殺率が最も高い秋田県に生きる者として『生きがいのある人生』を発見できればと思う」と話す。この日の講演会への参加者はわずか9人だけだったが、テーマが「死」という重い課題だけに参加者は熱心に古谷さんの話しに耳を傾けた。
古谷さんは21年前のデーケン氏との出会いで、その10年前に心臓疾患で11歳で亡くなった息子の生と死を語れるようになったという。そして息子の死を語り、それを聴いてもらうことでありのままの自分自身に出会い、悲しみからも少しずついやされたと語った。
耳鼻科医である夫との出会い。しかし、誕生した長男・玄斗君は心臓に欠陥があり、生まれた時は「10日の命」と言われた。それでも「今日死ぬか。明日死ぬか」の不安の中で必死になって子どもを育てた。成長しても電信柱から電信柱まで歩くのがやっとの状態だった。そうした体でも何とか当たり前の子どもとして学校に入れたいと小学校に入学させた。カバンを持ってくれる友だちもいて、4年生までは何とか通学した。しかし、ついに恐れていた心臓疾患による病気が発生し、入院。子どもは辛い検査にも耐えたが、最後にはどの血管も固くなってしまい、採血のための注射針も通らなくなり「どうしてそこまで苦しませなければならないの」と胸を痛めた。
まだ最後の意識があった時、その子はある程度自由になる片手で母の右手を握り、自分のほほにその手をくっつけ、ぎゅうっと押しつけたという。「不安でいっぱいで、抱きしめてもらいたかったのでしょうか。そのほほのすべすべした温もりが、長男の最後のあいさつだったのではないかという気がしてならない」とも語った。
そして身近な人との死別の苦しさ、むなしさ、悲しさは例えようがないが、「その悲しみは死と向かい合うからこそ、その先を生きる力を与えられ、新たな人生の価値に生きるようになる」というデーケン氏の言葉を大事にしたいとも述べた。