大曲市長選、28日に告示

新人3候補の三つどもえへ

前哨戦で対立してきた3陣営、いよいよ本番(9月26日・金)

 任期満了(10月20日)に伴う大曲市長選はいよいよ28日告示される。4期16年務めた高橋司市長(74)は今期限りでの退任を表明しており、元県議の栗林次美氏(55)=栄町=、会社役員・石塚柏氏(56)=泉町=、元市助役・高野昭次氏(54)=中通町=の新人3人による三つどもえの戦いがほぼ確実だ。10月5日の投・開票までこの新人3人による7日間の激しい戦いが展開される。


 県議11年目に入っていた栗林氏は1月19日の新春の集いで市長選への出馬を表明した。県議選では無競争が予想され、しかも後1年で資格が付く議員年金を顧みず「市民のため」とあえて〃火中の栗〃を拾いに出た決断に支持者らは同情を寄せると同時に「栗林さんらしい潔さ」と称賛。それだけに「絶対、負けられない選挙」と陣営は燃える。

 去る14日、約700人が集まった栗林氏の総決起集会には寺田典城知事も応援に駆けつけ「栗林さんは能力のある人。県庁職員も栗林さんから質問を受けると頭を抱えるほどだ。それほど能力があり、住民本意に考える人なのであっちでもない。こっちでもないと言わず皆さんの力でなんとか応援してやって下さい。私からもお願いする」と支持を求めた。知事が市長選の応援に駆けつけたのは過去に例がない。

 過去2度の知事選で寺田氏を担いで戦った栗林氏。前回の知事選では大曲市で約1万8000票を獲得、得票率の75%を占めた。その原動力ともなったのが栗林氏のてこ入れと寺田知事後援会のエネルギーだった。今度の市長選では約30団体からの推薦を受け、無所属での挑戦。これまでの選挙戦を通じた知名度から見ても陣営は他の2候補より先んじたと見るが、どの程度、市民に浸透したのかは読み切れないでいる。対立する一部の陣営は、父で元衆院議員の三郎氏(故人)時代から社会党員として活動した経緯から「革新の候補に市政は任せられない」とあおる。


 今度で2度目の挑戦となる石塚氏は「民間だからできることがある」と極度の経営不振に陥った会社を再建した経験をアピール。「市民の目線から市政を見直し、企業人の感覚で大曲をもっと元気なまちにしたい」と訴える。

 4年前の市長選では高橋市長と一騎討ちを展開。苦戦という予想を覆して高橋氏約1万3000票に対し、約1万票と迫った。陣営は「決して高橋市長への批判票だけではなかった。この大曲を変えたいという石塚の訴えが浸透した選挙だった」と話す。21日に行われた女性の集いではホテル側が用意した180席は埋まり、250人の集いとなった。陣営では「動員をかけたわけではないので予想外」と驚き、石塚氏への期待の現れと自信を深める。石塚陣営では「大曲は24年間も役人が市長を務めてきた。一方の横手は民間から出た人が市長をやっている。このため横手市に遅れてしまった」と石塚氏の手で挽回を図りたいと懸命に訴える。

 「市役所に雇用をふやす課を新設」など雇用の創出、「老後も安心」「子育ても安心」など新鮮な言葉のイメージ作戦は3候補の中では目立つ。今度も無所属での挑戦だが、支持層は保守系であり、自民党大曲支部の推薦を受けた高野氏と重なる。いわば次期、衆院選を目指す御法川信英氏の後援会組織の陣営がそのまま石塚氏、高野氏に分かれたねじれ現象となっている。それだけに無党派層への浸透を図りたいと陣営。事務所には個人事業所を中心とした50団体以上の推薦状が張られている。


 高野氏は3月20日に市長選への出馬を表明した。自民党大曲支部(支部長・辻久男県議)の推薦を受け、市議会(定数24人)も最大会派「新成会」の12人をはじめ保守系合わせて15人の市議が高野氏を支持。加えて市役所OBも活発に動いててこ入れを図っている。後援会事務所の壁は企業などから出された100を超す推薦状で埋まり、19日に開催された「女性の集い」は600人もの支持者を集めた。

 今度の市長選。栗林、石塚の両陣営は市政への批判の声が多いのを背景に「市役所の改革」を訴える。これに対して高野氏は「市政経験30年の実績」で、「健康都市おおまがり」を目指すとアピール。一方で座談会や集会などでは自らも「市職員との対話を深め、意識改革を図りたい」と批判をかわす。

 いずれ行政経験は長いだけに福祉政策の一つとしては対立候補が取り上げてない高齢者や障害者宅の除雪対策にまで踏み込み、「玄関前に置かれた雪のかたまりなどは人海戦術できめ細かく取り除く」と具体的な政策も打ち出す。体制的には分厚い陣営となっているが、「県庁を外部から変えるか、内部から変えるか」の争いとなった6年前の寺田知事を誕生させた構図にも似ており、「元助役」という肩書が幸いするのかどうか、読み切れないままのスタート台へと立つ。選挙経験のない本人は「懸命に回ったつもりだが、果たして票につながっているのかどうか全く分からない。もう気にせずにただ一生懸命だということをアピールしたい」と話す。