自転車で繋ぐ町づくり

美郷町へ検討会が提言書

ロードレース、観光周遊などコースも設定(4月2日・金)

 千畑町・六郷町・仙南村では今年11月に合併して「美郷町(みさとちょう)」となるが、合併後の新たな町づくりの手段の一つとして昨年11月に「自転車で繋(つな)ぐ町づくり検討会」を設立、自転車を活かした町づくりを検討してきた。検討会は3町村の住民代表、行政、自転車競技関係者、学識経験者など20人で構成し、県立大学の安原盛彦教授を委員長にこれまで6回の検討会を開催。そして2日午後、安原委員長が千畑町役場を訪れ、藤嶋長右エ門千畑町長、坂本茂弘六郷町長、松田知己仙南村長に「提言書」を手渡した。

 安原委員長は「この地域は自転車と関わり合いが深く、これからの地域の活性化に向けて自転車を活用した地域づくりがこの地域の個性を高め、美郷町のアイデンティティとして取り組むことが重要との認識で検討してきた」と述べ、観光と地域交流を促すための自転車活用策、町民や自転車競技者のための自転車活用策とそのための整備のあり方などをまとめ、提言した。

 3町村の人口は約2万4000人。住民は明治以降の奥羽本線の開通時から自転車で駅にアクセスし、鉄道を利用するという暮らしを続けてきた。特に六郷町は自転車への愛着が深く、県内唯一の自転車競技場や自転車競技のトレーニングセンター、さらに競輪場外車券場「サテライト六郷」、そしてレンタルサイクル事業も実施している。こうした歴史的背景から自転車を活用した町づくりに着目した。

 提言では優れた歴史・文化資源や自然資源を活用した観光や余暇、レクリエーション分野の振興による地域活性化を目標に、ハード施策として「自転車ロードレースの設定と整備、観光周遊や生活利便性に富むルートの設定と整備、トイレも含めた駐輪場の整備、自転車交通サイン計画と整備が必要だ」としている。またソフト面の施策では「レンタルサイクルシステムの確立、サイクリングマップの作成、イベントや利用促進に向けた実行組織づくり、そして災害時の交通手段としての利用促進」を求めている。

 その上で公認競技のロードレースなどの「イベントゾーン」、神社・仏閣など歴史的資源、温泉、景観など自然環境を活かして自転車でつなぐ「観光周遊ルートゾーン」、自転車を活用して3町村を相互に連絡し、圏内の生活の利便性を向上させる「生活の利便性向上展開ゾーン」、グラウンドゴルフ場やグラススキー場、体育館、プールなどを結ぶ「健康・教育の増進展開ゾーン」など延長約21キロから約35キロのモデルコースを設定した。

 安原教授は「車と徒歩の間の手段として自転車を取り上げたとてもユニークな検討会だった。最後はバスでルートを巡回したが、自然、田んぼ、ラベンダー畑など四季によっていろんな花、色を楽しめる競技が開催できる」と話した。委員として同席した国交省湯沢河川国道事務所の原田吉信調査第二課長も「自転車のロードレースを実施するとすれば1年以上も前から準備が必要だが、案全対策も含めたコースを整備し、いつでもロードレースがやれるとすれば全国でも珍しい取り組みとなる」と話した。

 提言書を受けた坂本六郷町長は「人に優しい交通手段の一つであり、自転車をメーンにした町づくりに取り組みたい」と話した。藤嶋千畑町長は「子どもの体力が落ちていると言われている。その体力づくりにも自転車は役立つ」と述べた。松田仙南村長は「自転車のスピードで生活を楽しむのも意義深いと思う。交流やイベントなどいろんな可能性がある」と感想を述べた。

 提言では最後に行政のみが取り組むのではなく、住民も主体的に参加すべきだとして各自治体、体育協会、自転車競技連盟、そして自転車ボランティアセンターを新設し、観光協会も含めた「自転車利用促進協議会」の新設なども提案している。