大会提供は「輝彩繚乱」
夜空を焦がす1万5000発の花火=天気も晴れ!(8月27日・金)
大曲市が全国に誇る夏の伝統行事「第78回全国花火競技大会・大曲の花火」はいよいよ明日28日夕、雄物川河川運動公園を会場に開催される。1910年(明治43年)に「第1回奥羽(東北)6県煙火共進会」として開かれて以来、戦時中、一時中断したものの今年で94年の歴史と伝統を刻んだ。姫神山を中心とした出羽丘陵を背景に迫力満点の音が響く〃大曲の花火〃。しかも、観客は川を挟んで豪華絢爛に咲く大輪の花火をを楽しめる。その打ち上げ会場の安全性も含め、花火師にとって大曲市の大会は全国に二つとない優れた環境との評価も高く、〃日本一〃の折り紙が付けられている。
今年も全国から選び抜かれた花火業者28社(うち県内4社)が、伝統の技を使って創意工夫した秘術を惜しみなく公開する。しかも花火師自身が会場に乗り込んで打ち上げるのも大曲ならではのこと。それも内閣総理大臣賞、経済産業大臣賞、中小企業庁長官賞、文部科学大臣奨励賞獲得のチャンスがあるからで、花火師にとって〃大曲の花火〃は最も権威のある大会であり、名誉となる場である。同時に創造花火発祥の地という歴史と伝統の中にも常に斬新な趣向が織り込まれるのも大曲の花火の特色。今年も昼・夜の競技大会のほか、大会提供による特別企画として悠久の平和と安心を願って、その思いが天まで届くのを祈る「輝彩繚乱(きさいりょうらん)」と題した光りと音のショーやスポンサー付きの仕掛け花火9基が打ち上げられるなど、その内容と規模はまさに全国一。大小合わせて1万5000発の花火が過ぎ行く夏のカンバスを彩り、音と光りの芸術を繰り広げる。
会場となる雄物川河川運動公園は通称・金谷橋(大曲橋)から姫神橋までで、その距離は1.6キロ。川沿いから堤防までの幅は130メートルで、面積にすると20ヘクタール、野球場なら13面は取れる広大なスペースとなる。それだけの広さがあっても花火大会当日は立錐の余地もないほどの人で埋まる。
大曲の花火の評判を根本的に変える切っ掛けとなったのは1979年、当時の西ドイツ連邦ボン市からの要請で現地で打ち上げた「日独親善花火」だった。海外での「大曲の花火」の成功が「世界の花火」へと評価を高め、83年には再び西ドイツのジュッセルドルフ市での打ち上げ、さらに87年には西ベルリン市制750周年記念での打ち上げと「大曲の花火」ブランドは海外へと広がった。そして90年「世界の花火師大曲会議」いわゆる「世界花火サミット」の開催、同92年の「国際花火デザインフェア」と大曲の花火はますます国際化した。その評判が津波のように県内外に広がり、観光客が全国から殺到するようになった。
大曲商工会議所に興味深いデーターがある。大曲の花火の観客数の推移だ。1954年(昭和29年)から77(昭和52年)までは15万人前後で推移し、78年から84年までは20万人前後となっている。85年以降も20万人から25万人代だった。当時は桟敷を作っても完売するのさえ苦労した時代だった。今は桟敷席は販売と同時に売り切れる。
いずれ20万人前後の時代は雄物川河川敷での花火見学は寝転んでも観られたものが、「世界花火サミット」が開かれた90年の大会から観客数は爆発し、一挙に40万人を記録。さらに国際花火デザインフェアが開かれた92年には45万人と記録を伸ばした。このころから「大曲の花火」は車で来る人たちで市内は飽和状態となり、大渋滞を生むようになった。
一方、花火師たちも大観客を前にして燃えないわけにはいかない。大曲の大会では採算も度外視し、高い技術と品質の良さを導入、花火師の真剣勝負の舞台となった。それがさらに起爆剤となり、96年の第70回記念大会では50万人という大台を記録。そして97年の秋田新幹線開通、秋田自動車道の開通がさらに追い風となって98年からは60万人もの観光客を集める全国一の規模の大会となった。この年から大曲商工会議所だけの主催では手に負えず、大曲市も参加。市職員が総出で駐車場の確保や交通規制、案内など現場に立つようになった。
花火競技大会は午後5時、昼花火で競技の幕が切り落とされる。始めに神岡町神宮寺の北日本花火興行が標準審査玉「昇笛付柳に煙竜」を打ち上げ、審査基準を示す。そして磯谷煙火店(愛知県)がトップの花火を打ち上げ、打留めまでの50分間、28業者が秘術を競う。
昼花火は光りと音が鮮やかなコントラストを描く煙竜と煙柳が見どころ。昼花火の競技大会は国内では大曲市だけ。技術保存を求める花火業界の強い要望もあって78年から始まった。
夜の部は6時50分、号報大雷を合図に開始する。栗林次美大曲市長の歓迎のあいさつに続いて大会実行委員長の高柳恭侑大曲商工会議所会頭が大会宣言をする。これに続いて再び北日本花火興行が10号割物2発と創造花火1組の標準審査玉を打ち上げて競技がスタート。茨城県の堀米煙火店がトップを切り、光りと音の真剣勝負が展開される。その合間を縫っては寄贈仕掛け花火や大会提供花火を織り込み、9時30分までの競演が展開される。
夜の部の競技玉となる割物は八重芯以上が条件の課題玉と独創性に富んだ自由玉のセットで打ち上げる。割物は古典花火の代表的なもので、そのデリケートな構成は花火の真髄と言われている。自由玉の導入は三重芯、八重芯が大半を占めたことからそのマンネリ化の打破を狙ったもので、一発は課題玉として割物芯入り、もう一発は自由玉として独創性を凝らしたものにした。これによってショー的な要素も加わり、若い花火ファンのハートをつかんだ。
一方、64年に登場した創造花火は大曲が本家。元大会委員長の故・佐藤勲氏が提唱して誕生させた。丸い形の花火にこだわらず、様々な色彩を使い、自由奔放な形、リズム感、立体感を創意工夫するようにしたもので、誕生当時は花火師の新境地を開拓するものだと評価された。与えられた2分40秒の時間を使って、速射の技を生かし、いかに芸術性を表現するかが見ものとなる。最近はほとんどが音楽付きとなった。創造花火には経済産業大臣賞が掛かるだけに採算を度外視し、いかに観衆の〃度肝〃を抜くかに腐心しながら、奇抜なアイディアと技が披露される。
このため玉名も凝る。「華の耽美」「天空浪漫」「春夏秋冬!日本の花火」「シルクロード〜憩いのオアシス〜」「まわれ!まわれ!メリーゴーランド」「花火でつづる母と子の音楽会」「合戦 花嵐対冠組」など玉名を読んでいるだけで楽しくなる。
◇大会提供
呼び物の大会提供花火は「輝彩繚乱(きさいりょうらん)」。挽野実之企画部長をはじめとする企画部のメンバー3人と高坂英雄花火部会長の四人が演出を構成した。「どんな内容になるのか。背景に流す音楽は・・・」などは「本番をお楽しみに」と一切、口にしない。ただ「余り小細工しないで、いろんな花火の種類をフルに使って、音楽とシンクロさせてライブの迫力感を出すようにした」と挽野さんは話す。
舞台は550メートルの幅となり、これまでは5号玉(直径15センチ)中心だったのを7号玉、さらに尺玉も入れ、厚みも加えたのが今年の大会提供の特徴。しかも打ち上げ時間もこれまでは5分30秒だったのを6分30秒と長め、四部構成の音と光りのドラマとした。だから使う玉数も例年1400発だったのが、1700発と大幅に増えた。「タイトルの『輝彩繚乱』が語るように速射連発での輝きと彩りを楽しんでもらいたい」と述べるだけでそれ以上は口をつぐむ。もちろん花火の効果を高める音楽には何を使うかもごく秘中の極秘。大会提供花火の打ち上げは8時40分ごろの予定だ。
◇仕掛け花火
今年は大曲市制施行50周年を記念して市提供の「ナイアガラ付き大スターマイン」に始まり、計九基が提供される。▽しあわせはこぶ清酒「出羽鶴」の秋田清酒株式会社▽クオリティライフパートナーの「タカヤナギ」▽地域と共に、地域のためにの東北電力▽自然にやさしく安全な、新しい花火BESTを提案しますの秋田県工業技術センター、株式会社セーコン▽おかげさまで大曲駅開業百周年のJR東日本秋田支社▽お楽しみクーださいのみちのくコカ・コーラボトリング株式会社▽四十二歳厄払い記念「大玉42連発打ち上げ」の大曲西中学校第21期会▽フィナーレ大会協賛花火「10号割物30連発・大スターマイン」のアミューズメントスペース「ボンボンスタジアムとマックス」だ。
打留めは午後9時30分。フィナーレは花火師の皆さんと灯火を振って、感謝の交流を楽しむため、懐中電灯やペンライト持参を呼びかけている。
花火大会に関する駐車場や渋滞情報は下記のホームページで。