大曲市で高校美術展

絵画、デザイン、彫刻、書道、写真

美大進学希望の生徒を対象に実技講習会も(12月5日・土)
 
 

  大曲市の広域交流センターで4日から、「第37回秋田県高等学校総合美術展優秀作品展」が開かれている。毎年11月に行われている「高校美術展」は芸術系文化部の総体的な位置づけにあるが、今回は秋田市で開かれた同展から推奨作品となった絵画40点、デザイン38点、彫刻2点、書道73点、写真63点が展示されている。その中の12点は来年夏に青森市で開催される全国高校総合文化祭へ推薦された。

  会場にずらりと並んだ高校生たちの芸術性豊かな作品は見事だ。泳ぐ魚たちを抽象的に描いた能代高校2年の飯坂圭太君の「誰もいない海」はその独創性で全国展に選ばれた。県立聾学校2年の渡部匡哉君はいろんな画材を使って「オオカミ」と題した不思議な世界を描いた。住宅の小路で与えられた餌を口にするネコを「よく食う客」と題して表現したユーモアなタッチの絵もあった。「戦場」と題した絵、「ボクの影」と題した絵など学ぶことを主眼としている高校生ならではの知的な絵も多い。

  デザインも空を駆け抜ける赤と黒の汽車を大きく描き、観る人をメルヘンな世界へと誘う「LOVE  EXPRESS」で全国展へと推薦された大曲高校1年の田口夏南さんの作品。「今年やさしい冬に会いにいこう」と雪の結晶と少女の横顔を描き、東北新幹線でゆく冬の秋田をPRし、やはり全国展への推薦となった横手高校2年の田越由希子さんの「観光宣伝ポスター」などはそのまま映画やサーカス、旅行用のポスターに使えそうな完成度の高い作品だ。

  彫刻はわずか2点だが、「女性専用」と題して丸いすを素材にした能代北高校2年の木藤裕子さんの作品、「キッチン」と題した六郷高校3年の長澤光さんの作品はいずれも個性豊かで、不思議な世界へと導く。

  書道は風格に満ちた作品が多い。能代北高校2年の田川彩子さんは一字、いち字を彫り刻むような筆で中国唐時代の書家・欧陽詢の「臨九成宮醴泉銘」を重厚に書いて全国展へと推薦された。角館南高校2年の佐々木智恵さんはホイットマンの詩「寒さにふるえた者ほど太陽の暖かさを感じる  人生の悩みをくぐった者ほど生命の尊さを知る」を優しい流れるような文字で描いた。

  写真は楽しい。軽トラックの荷台の上でジュースを飲む飼い主のおじいさんに「ジュースをちょうだい」と催促しているワンちゃんを2枚の写真で表現し、全国展へと推薦になった大館高校2年・田山恵子さんの「じっちゃんとクロ」。ボールを手に駆け抜けるラグビー選手を捉えた大館鳳鳴高校3年・田中育未さんの「疾走」など日常生活を通じてシャッターを押した高校生ならではの新鮮な感覚が楽しませる。美術展は7日まで開かれている。最終日は午後1時まで。

  一方、同会場で第1回美術系大学進学実技講習会も開かれている。美大や芸大に進学を希望している高校生を対象に、その入試を想定した実技模擬試験を開いたもの。美術大学に入学するには国語、数学などの学科試験のほかに絵を描いたり、粘土で立体作品の制作を求められる「実技試験」もある。

  この実技試験のレベルを知るためには実際の試験を想定した訓練が必要だが、県内ではそうした勉強の場がなく、仙台や東京の予備校や研究所に行くなどしなければならなかった。親にとっては旅費や滞在費で大きな負担にもなり、生徒たちも親に負担をかけたくないと勉強したくても遠慮しがちだった。このため美術教科担任の先生たちが話し合って、共同でそうした場を提供しようとなった。

  講習会への参加希望を取ったところ、能代北高校や秋田市の和洋女子高をはじめ、大曲高校、大曲農業高校、角館高校など7校から25人の生徒の応募があった。先生たちは女性2人のモデルを依頼し、生徒たちに人物デッサンを描く課題を与えた。5日までの2日間で制作時間は10時間。

  生徒たちは抽選でイーゼルの位置を決め、与えられた場からモデルと向き合い、その陰影を夢中になって描いていた。