大曲・仙北いのちを考える会の講演会

「ホスピスから学ぶ生き方のヒント」

横浜甦生病院の医師が看取りの医療を語る(2月16日・月)

 映像を見せながらホスピス医療を語る小澤医師大曲・仙北いのちを考える会設立発起人会(細谷昭雄代表)主催の「いのちについて、死について、病について、看取りについて共に考える集い」が15日、大曲市日の出町の「サンクエスト大曲」で開かれた。今回は横浜甦生病院ホスピス病棟長の小澤竹俊氏が講師となって「ホスピスから学ぶ生き方のヒント〜看取りの医療から見えてくる苦しみの意味〜」と題した講演を聴いた。

 約30人の聴衆があった。事務局を努める日本キリスト教団大曲教会の横井伸夫牧師は「一昨年9月のアルフォンス・デーケン氏を講師に迎えた『生と死』を考える集いをはじめ今回まで4回にわたって開かれてきた。これまで死の問題を語ることはタブーとされてきたが、一方で死は人生において最も大切な問題だ」と述べた。

 そして小澤医師は勤務している横浜甦生病院ホスピス病棟の映像をスクリーンに写しながら、「今日は幸せって何だろうをテーマに話したい」と切り出した。小澤医師は東京生まれ。高校時代にマザー・テレサの映画で「アメリカ・イギリス・日本のような先進国でも悩み苦しんでいる人がいる。あなたは、あなたの国の最も貧しい人に仕えなさい」とのメッセージを聴いて医師になることを決意したという。

 そして東京慈恵会医科大学医学部を卒業。山形大学院医学研究科医学専攻博士課程を卒業し、山形中央病院救命救急センターに勤務、さらに同県西置賜郡白鷹町立病院の内科医として勤務。そのまま医療過疎地で働くことを夢みたが、人の生命をきちんと看取る大切さを実感し、1994年からホスピス病棟に移った。

 勤務している甦生病院のホスピス病棟はベッド数12床。患者が病室で飼っている小鳥やボランティアで見舞いに訪れる犬、家族が寝泊まれる和室、インターネットへの接続も可能な病室、そしてマンガやCDもある図書室などを紹介。「ホスピス病棟の特徴は面会時間の制限がないこと。お酒、たばこも自由に病室で楽しめること。犬や猫などの面会もできる」と語った。

 しかし「ホスピス病棟は積極的な治療が難しいと診断された進行がんやエイズの患者さんと家族が、穏やかに療養するための施設で、医師、看護師、ソーシャルワーカー、ボランティアなどいろいろな専門家が集まって苦しみを和らげることを専門としている」と語り、「年間100人前後が入院し、1週間で3人の割合で患者さんを見送っている。それが私の仕事です」と声を落とした。

 そして苦しみの構造は「人を好きになると苦しくなるが、その人も好きだと言ってくれると希望がわき、苦しみも和らぐ。苦しみは希望と現実のギャップであり、痛みだけが苦しみではない」と訴え、マンガやテレビドラマ「僕の生きる道」を紹介しながら、「あなたが必要なんだと他者から求められた時こそ人は強くなり、苦しみも和らぐ」と述べた。 

 さらに「ホスピスは決してきれいな話だけではない。歩けない人が歩きたいと希望したり、まだ死にたくないと涙を流す人もいる。死を前にした理不尽な苦しみやその人の思いをすべて和らげることはできない。苦しんでいる患者さんの問題を解決しなければいけないと思えば思うほど、その人の前に臨むことが困難になる。真の力は、問題を解決できる力ではなく、例え解決できなくても逃げないで、最後までその人と向き合い、話を聞く力だ」と強調した。そして幸せとは「例え苦しみの中にあったとしても一人ひとりの生きている意味を見つけることができたなら、本当の幸せを得ることができる」と結んだ。

 小澤医師のホームページアドレスは下記から。講演内容を書いた新刊「苦しみの中でも幸せは見つかる」は扶桑社から出版され、間もなく全国販売される。

http://www.bekkoame.ne.jp/~ta5111oz/