エスアイアイ・マイクロテクノ社
携帯電話の液晶画面の需要増で高圧線必要に(1月7日・水)
大曲市藤木石堂地区から西に向かって昨年12月初旬から高圧線の鉄塔が次々と建設され、市民の関心を集めている。鉄塔は雄物川を越え、さらに西道路も越え、最終的に行き着いた先は大曲市の誘致企業「エスアイアイ・マイクロテクノ株式会社」(大曲西根字鳥居)。市民は「この不況時にマイクロテクノ社は急速に景気が回復し、電力の需要が大幅に伸びたのでは」と期待。だが同社では「いいえ。製造している携帯電話用の液晶画面とそれを駆動させる回路機能がアジア、ヨーロッパを中心に需要が伸び、安定基調に入ったため、以前から計画していた高圧線の引き込みを東北電力にお願いしただけ」と説明。急速な景気の伸びは婉曲的に否定したが、製造が安定期に入ったことは認めた。
エスアイアイ・マイクロテクノ社(松浦巖社長)は1985年、秋田プレシジョン株式会社として設立され、86年からセイコーのクォーツウォッチ及びプラスチック部品の生産をしていた。しかし、時計製造部門はグループ会社内の効率生産を目的に99年12月に「盛岡セイコー」へと製造が移管された。
そして2000年8月から携帯電話の液晶パネルとそれを駆動させる回路機能の製造へと切り換え、社名も01年に「エスアイアイ・マイクロテクノ株式会社」に変更した。液晶パネル製造に向けた設備の切り換えで電気の消費量も拡大。それまで普通の配電線(6000ボルト)で送られていた2000キロワットの電力の消費を超えるようになった。このため2000年に送電線(6万6000ボルト)での送電を東北電力に依頼。同社もその送電に向けた鉄塔の建設に着手することにしていたが、同年から世界的なIT不況が始まり、マイクロテクノとしても需要の急激な落ち込みで高圧線の必要性はなくなった。02年6月には四ツ屋にあった秋田精密電子工業と合併し、希望退職を募るなどのスリム化施策も実施した。
ところが再びIT産業にも明るい兆しが見え始め、製造している携帯電話の液晶パネルと回路機能の需要がアジア、ヨーロッパを中心に回復。電力供給の安定化を図る必要が迫られ、再び東北電力に高圧線の引き込みを依頼、今度の鉄塔建設となった。高圧線は藤木字石堂地区から分岐させ、マイクロテクノ社までの約7キロ間に24基の鉄塔を建設。鉄塔は2月中に完成し、その後、配線工事に入り、8月から4000キロワットの電力を6万6000ボルトの高圧で送電する。
東北電力では「電気の需要があればそれに応えるだけで、エスアイアイ・マイクロテクノ社は従来から大きい容量の電力を使っており、高圧線で送った方が安定した電気を供給できます」と話す。一方、市役所商工観光課では「一時は希望退職などもあったが、最近は生産が安定基調に入ったと聞いていたのでホッとしている」と喜ぶ。
現在の従業員数は461人。02年の売り上げ実績は260億円だったが、03年は300億円に達した。本社は千葉県千葉市美浜区中瀬。セイコーインスツルメンツ株式会社。