国重文「古四王神社」

文化財を守ろうと防火訓練

古四王婦人消防隊に消防庁と文化庁から功労賞(1月31日・土)

 消火訓練を展開する消防団と婦人消防隊大曲市大曲字古四王際にある国指定重要文化財「古四王神社」で31日、文化財を守るための消火訓練と第17回火消しもちまつり・雪まつりが開かれた。消火訓練は1949年(昭和24年)1月26日に「法隆寺金堂壁画」が焼損したのを切っ掛けに、この日を「文化財防火デー」と定め、全国的に文化財の防火運動の展開が始まった。古四王神社でも地元の人たちの協力で防火訓練が始まった。

 訓練には大曲消防署、地元の消防団である大曲市消防団第1分団、そして古四王際婦人消防隊、高畑少年消防クラブの手で実施された。開会式には辻久男、渡部英治、そして笹元嘉辰教育長、市議団ら来賓が駆けつけた。栗林次美市長は「古四王神社は私たち大曲の宝。それを守っていくのが市民の責任だ。それだけに皆さんたちの手による訓練は大事なことだ」と激励した。

 古四王神社は元亀元年(1570年)当時の大曲城主として高畑に君臨した冨樫左衛門太郎勝家が武運長久を祈って飛騨の大工を招いて建てたもの。室町時代末期の特色を濃厚に見せ、1905年(明治38年)、同神社を調査した美術建築の最高権威であった東大教授の伊藤忠太博士は「奇中の奇、珍中の珍」と絶賛している。そして国宝特別保護建造物に指定され、1950年(昭和25年)8月29日、国重要文化財となった。

 訓練では神社近くに置かれた発煙筒に点火され、モクモクと煙が立ち込めて近くにいた住民が「火事だ。火事だ!」と火事触れで始まった。地元消防団、婦人消防隊が駆けつけ放水を展開。キビキビした動きは見学の地元住民や子どもたちにたくましさと安心感を植えつけていた。

 訓練を終えると佐藤富男大曲消防署長は「文化財の火災は放火や周辺の火災からの飛び火が多い。一端、焼失するとその価値は永遠に失ってしまう。文化財は地域の宝であり、万が一火災に遭った場合は8分間で半焼してしまう。もちろん我々も駆けつけるが、最も大事なのは近くにいる人たちによる初期消火だ。今日の訓練は真剣で機敏な動きを見せ、安心した。古四王神社を後世に伝えていくため、これからも頑張ってほしい」と訓練を評価した。最後に高畑少年消防クラブの藤田健寿君(東大曲小6年)が「火の取り扱いに気を付けると同時にこの古四王神社を誇りと思って守ることを誓います」と誓いの言葉を述べて訓練を終えた。

 子どもたちによる雪中田植えも行われた続いて神社境内で火消しもちまつりが開かれ、餅つきや子どもたちが雪中田植えを行って今年の豊作を祈願。大人と子どもたちがお昼間で楽しいひとときを過ごした。

 またこの日、古四王際婦人消防隊(高橋静子隊長・隊員16人)に26日、京都市で開かれた第50回文化財防火デー記念事業で受賞した「功労賞」が伝達された。記念式は消防庁と文化庁の主催で、功労賞は両庁長官連名で贈られた。功労賞を受賞したのは全国で54団体。秋田県からは同婦人消防隊だけだった。

 古四王婦人消防隊は古四王神社を火災から守ろうと1961年に発足。当時、15世帯だった古四王際集落は冬になると男たちのほとんどが関東方面へと出稼ぎに出た。消防団員がいなくり、その間にもしも神社近くの民家などから火災が発生し、同神社を失うことになっては大変と残された女性たちが婦人消防隊を結成した。

 団員は各世帯の主婦たちで、当初は15人だった。軽可搬式ポンプで消火訓練を受け、火災に供えた。その後、神社境内には放水銃や防火施設が整備されたが、婦人消防隊は毎年、古四王神社の文化財防火デーでは訓練を披露し、7月に開かれる大曲市消防訓練大会にも出場するなど地元の防火・防災啓蒙運動の推進役として活動している。

 こうした活躍が認められ初の全国表彰を受けたもの。防火デーの記念式典には大曲仙北広域消防本部の里見喜代治消防長が出席し、代理で功労賞を受賞。この日の訓練で婦人消防隊に賞状を伝達した。

 また栗林市長も同消防隊と地元消防団、高畑少年消防クラブ、そして火消しもちまつりに協力している婦人部と高橋幸吉さん、富樫哲治さん、高橋昭次郎さん、佐藤文男さんに感謝状を贈呈した。