一年ぶりにワラの衣裳を衣替え
集落の守り神として悪魔をにらみ続ける(7月2日・金)
国指定史跡「払田柵跡」のある仙北町払田字真山に「鍾馗(しょうき)さま」がある。鍾馗さまは集落に悪魔や悪い病気が入らないよう守ってくれる「神さま」として古くから親しまれ、各集落の入口に祭られたものだ。しかし、時代と共にそうした風習は廃れ、あちこちにあった鍾馗さまも姿を消した。歴史民俗研究グループ「仙北町史談会」ではその鍾馗さまを何とか後世に残したいと真山入口に祭って1977年から毎年4月、鍾馗さまの衣替えをしている。今年も8人の会員が集まって、鍾馗さまの藁(わら)の衣裳を一年ぶりに新調させ、お神酒を挙げてお祝いをした。
真山の鍾馗さまは燃えるような真っ赤な顔で悪魔を威嚇しようとしているのか大きな口を開け、まん丸い目をギラリと輝かしている。髪の毛はスギの青い葉であり、イラクのサダム・フセイン元大統領のようなモジャモジャしたあご髭(ひげ)もスギの葉だ。
初代の像は同町板見内の大河竹治さんが作り、木製の面は土地谷の佐藤捨五郎さんが作った。二人とももう亡くなったが、藁を編んで作る鍾馗さまの手足と像を仕上げる技術は史談会の人たちが引き継いだ。
鍾馗さまの大きさは2メートルを超える。天を突きさすように伸びた藁のツノも入れると3メートル近い大きさだ。おっぱいとへそは丸い桟俵(さんだわら)で仕上げている。2本のスギの木で支えられたその像は木製の刀を腰に差し、なかなかユニークであり、大きな口を開けてジッとにらんだ姿からは村を守ろうとする意気込みを感じさせる。
史談会の会長・佐藤隆造さん(68)=板見内字堰口=は「今回、初めて衣替えの作業に参加したが、スギの青い葉っぱで髪を仕上げた時は感激でした」と話す。ただ会の悩みはその作り手の後継者がいないこと。今では藁さえ集めるのが大変で、それを素材に太縄を編んだり桟俵を仕上げる技術は簡単には覚えられない。「何とか若い人たちに技術を伝えたいのだが」と佐藤さんら史談会の仲間は後継者の育成に悩んでいる。