大曲市藤木の子になって3年
名前は「ザブ号」=夫婦のペットとして飼われる(7月10日・土)
僕は小馬のポニー。北海道で生まれ、縁あって3年前から大曲市藤木字本藤木の佐藤三郎さん(66)をお父さんに、テツ子さん(61)をお母さんに飼われているんだ。名前は「ザブ号」。お父さんが自分の名前に濁点を付けて「ザブ」にしたと思うんだ。お父さんの話では冬の出稼ぎも止めたので、「何かをしてないとボケてしまう」と心配し、なら小さいころ馬を飼い馴らした経験もあるので馬でも飼おうと思いついたらしいんだ。
で、知り合いの大雄村の人に聞いたら「ポニーなら北海道から連れて来れる」となってまだ生まれて1年にもなってない僕が養子になることになったらしいんだ。そして01年5月27日に僕は藤木の子になった。
小馬のポニーこと「ザブ号」の自己紹介だ。ザブ号は天気のいい日はいつも佐藤さん宅の近くの農道で朝から晩まで勤勉に草をかんでいる。白地に茶色の模様があって中々、かわいい。体高は100センチぐらいで体重は100キロほど。
佐藤さんは「ポニーは元々、ペット用だしおとなしくて飼いやすい。でもイタズラされるとやはり男の子だから怒る。だからザブ号に触れたい時は危ないのでひと言、言って欲しい」と話す。
ザブ号はやはり佐藤さんに一番、馴れているようで佐藤さんが仕事で出かけ、遅くまで戻って来ないと心配し、佐藤さんが戻ってきた足音を聞くと「ヘヘーン」と喜びのいななきをする。そして子供たちが登校する前の朝7時ごろ、自宅前の藤木小学校グラウンドを走らせ、運動させている。時には佐藤さん自身も乗馬して楽しむ。冬はほとんど馬小屋での生活だが、晴れた日は表で日向ぼっこをさせる。田んぼの雪が堅くなる2月にはソリを引かせ、田んぼを走るという楽しみも味わう。
ザブ号の日課は朝、佐藤さんから塩をなめさせてもらい、天気が良ければ表に出て農道で晩まで草を食むだけ。水は朝と昼、夕方の3回バケツで飲む。手伝い仕事で日中は留守にすることが多い佐藤さんに代わって、お母さんのテツ子さんがザブ号のお昼の水当番をしている。「最初は怖かったけどやはり飼ってしまうと家族の一員。かわいいものです」とテツ子さんはザブ号の長い顔をなでた。
農業が機械化される前は牛、馬は珍しいものではなかったが今では滅多に見られないものとなった。そのせいか、農道にいるそのザブ号を見かけた人たちは車を止めてしばし眺めていくという。
佐藤さんは近所に迷惑はかけられないので「フン」の処理も欠かさない。日中はただ農道につないでおくだけだからそれほど手間はかからないが、冬のエサの確保のため秋の稲刈り後のワラ、そして田んぼの草も刈って保存するという仕事は必要だ。「ザブ号はおれたちに生きがいを与えてくれた。草を保存する仕事なんて苦にもならない」と佐藤さんは笑った。