大曲図書館ボランティア

お話を聞く会が活動

子どもたちに家族的ムードで絵本を読み聞かせ(7月15日・木)

 大曲図書館でボランティアによる「お話を聞く会」が開かれている。小学校1、2年生を対象に絵本や紙芝居を読み聞かせ、本に親しんでもらう機会を増やし、豊かな心を育みたいと6月9日から毎週水曜日午後3時半から図書館3階の視聴覚室で開いている。今回は28日で終わるが、毎回40人から50人の児童が絵本に目と耳を集中させ、熱心に聞いている。その様子は読み手と子供たちが一体となっていて、一つの家族のような温かいものだった。終わった後、満足そうな顔で帰宅の途につく児童たちが印象的だった。読み手の心の温かさ、そして本の持つ力を改めて知らせる会だと思った。

 図書館ボランティアは1997年に誕生し、会員は21人。元大曲小学校長の有明孝さん(日の出町)が代表となって運営している。21人は週1回、同館にある古文書など古い文献の修理をする「施設」グループ、体の不自由なお年寄りたちに本を届ける「宅配」グループ、そして「おはなしの会」の3グループに分かれている。

 おはなしの会は会長の有明さんを含め10人で構成され、ほとんどが主婦。お互い時間が取れる日に講師を努めることにし、毎回3人から4人が子供たちの相手をしている。

 参加者は大曲小学校の児童を対象に募集。その結果、60人が応募した。しかし、6月9日の最初の会へ顔を出したのはわずか6人だった。それでも4人のボランティアは「ともだちくるかな」「きつねとくま」「かぼちゃふわふわ」の3冊の絵本を読み聞かせ、最後は「あげはのルン」という紙芝居を見せた。

 最初の子供たちが「面白かったよ」と口コミ役となったのか、2回目は12人の参加者となり、3回目は13人、4回目は50人と一気に増えた。子供たちだけでなく就学前の子供をおんぶした親子も来るようになった。

 この日の読み手となった堀内良子さん(54)さん=栄町=は「小学校に入ったばかりの家の子がなぜか図書館から借りてくる本と言えば科学物とか百科事典、あるいは探偵物ばかり。もっといろんな本があるのにと思っていたし、読ませたいと思った。でもその子も高校生となって私の手から離れたので、今度はよその子のために役立つことをしたいと6年前からボランティアに参加した」と話す。

 子供たちに読み聞かせする絵本は図書館の児童コーナーから選ぶ。「絵を観ているだけで感動する本もあるし、物語もとても素敵なものばかり。絵本ていいなと思う」と堀内さん。でも子供たちも絵本に触れており、読み始めてから「アッ。読んだことがある」と指摘されあわてる事も。だから子供たちの知らない本を選ぶのに一苦労すると堀内さんは話した。

 14日は高校生体験学習推進事業で大曲農業高校2年の鶴谷鮎美さんも「読み聞かせ」を体験したいと飛び入り参加。ボランティアの斉藤千澄さん(40)=浜町=と3人が読み手となった。しかし、学校で行事があるとかで午後3時半の開始の時間になっても顔を出したのは女の子一人だけ。それでも堀内さんはその女の子を前に紙芝居を演じて見せた。女の子は黙って目を輝かせてその紙芝居の世界にひたっていた。

 堀内さんの紙芝居が終わって、3時40分、鶴谷さんの番が来た。次々と子供たちが集まった。その数は23人。ボランティア会長の有明さんは「来てくれた。来てくれた」と喜んだ。この日は雨で、多くの子供たちが頭も衣類もグショグショに濡らしていた。堀内さん、斉藤さん、それに図書館の職員は乾いたタオルを手に「カゼを引いては大変」と子供たちの頭、衣類を拭き、それから鶴谷さんの読み聞かせが始まった。

 鶴谷さんは「14ひきのひっこし」というネズミの親子14匹の引っ越しをストーリーにした本を読み始めた。ゴザに座って一番前に陣取った男の子たちは絵本の中に描かれたネズミを数え始めた。「アッ。ちゃんと14匹いる」と喜んだ。そして鶴谷さんが読み始めると静かにその世界に没頭した。鶴谷さんが読み終えると今度は斉藤さんがリトアニア民話「パンのかけらとちいさなあくま」という絵本を読み始めた。再び子供たち5人が入ってきて、聞き手は30人と膨らんだ。

 子供たちはゴザの上で足を伸ばしたり、ひざを組んだり、横座りになったり、思い思いの姿勢でジッと耳を傾け、絵に目を注いだ。中には寝転んで聞く男の子もいた。元大曲小学校長の有明さんがかつての経験から「行儀よくするように」と指導。その子は素直に姿勢を正した。

 抑揚の効かせた読み手の声が絵本の中のドラマを盛り上げる。目を輝かせ、絵と物語に集中する子供たち。時には絵本だけでなく「詩」を読み聞かせたり、俳句を読む事もあるという。読み手の声だけが流れる室内は、子供たちのざわめきもなくシーンと静まり返った。不思議な温かさがその空気から伝わった。読んで聞かせるボランティアの人たちは自然に子供たちに心の〃温かさ〃と〃優しさ〃を伝えているような雰囲気だった。ボランティアの読み手から伝わる温もりが、子供たちの心をも豊かなものに育てていると思った。