雄物川水防演習

大曲市の雄物川河川敷で開催

31市町村の水防団、実戦さながらの訓練展開(6月5日・土)

 水防演習の開会式雄物川流域31市町村の水防団が一堂に集って水防訓練を実施する「雄物川水防演習」が5日、大曲市の雄物川河川敷を会場に行われた。東北6県持ち回りで毎年、実施されているもので、秋田県では米代川、子吉川、そして雄物川が演習会場になっている。大曲市が会場となったのは18年ぶり。主催は大曲市、秋田市、横手市など雄物川流域31市町村と秋田県、国交省東北地方整備局など。

 演習は午前8時半から始まった。雄物川流域は前日から大雨となり、台風の影響もあって5日朝にはさらに150ミリ以上の激しい雨となって国交省湯沢河川国道事務所では午前8時10分、雄物川に洪水警報を発令、水防団の出動を命じた。

 演習には31市町村の水防団1300人と自衛隊、日赤社員、警察、消防、国交省職員など関係7機関から600人、それに避難訓練を実施する大曲小、大曲中生と地元住民2100人、寺田典城知事ら来賓500人の合わせて4500人が参加。一般の見学者も含めると6000人近い人が会場に集まった。

 演習参加者は日ごろの訓練の成果を発揮しようと堂々の行進と整列を見せて開会式に臨んだ。雄物川の増水で河川を巡視する緊急車がサイレンを鳴らして走り、危険を知らせる半鐘が叩かれる。水防団に出動命令が下され、堤防が河川の増水で崩れ始めたなどを想定に「シート張り工」で堤防への水の浸透を防ぐ訓練や枝葉が付いたままのスギの木を堤防斜面に流して水の流れを緩める「木流し工」から演習は始まった。

 堤防を決壊から守るにはこの二つの工法の他に18本の丸太をやぐらのように組み立てて堤防斜面に築いて水の流れを緩やかにする「川倉工」、土のうを半月型に積んで堤防から漏水した水を貯める「月の輪工」、堤防の上に土のうを積んで水が堤防から超えるのを防ぐ「積土のう工」がある。積み土のう工には大曲工業高校の生徒たちも参加、重い土のうを持ち運び、積み重ねていた。

 一方、西仙北町の火災予防組合連合会の婦人たちは「応急給食訓練」を実施、お昼には演習参加者や寺田知事ら多くの来賓にお握りを振る舞って喜ばせていた。水防訓練の合間には川の中州に孤立した住民を県警本部のヘリコプターが救出する訓練、知事から出動要請を受けた自衛隊が臨時の橋を架ける「応急架橋訓練」、全国カヌークルージングのメンバーがカヌーで支援物資を輸送する訓練、さらには日赤の医師と看護師、それに秋田市、大曲仙北、横手平鹿、湯沢雄勝の消防本部から出動した工作車やはしご車、救急車、そしてレスキュー隊によるけが人の救助や川に流された人の救出訓練などが実施された。

 自衛隊が応急に架ける橋は戦車でも渡れるほどの丈夫なものという。大型トラックの荷台から巨大な鉄骨の橋が繰り出されるもので、1セットで60メートルの橋がを架けられる。珍しい訓練に一般見学者がどっと詰めかけていた。また堤防上での実戦さながらの訓練にも見学客は拍手を送って声援していた。

 会場にはスクリュー付きの水陸両用車やキャタピラ付きの車など災害対策車の展示、雄物川流域の市町村が特産品を展示販売する「物産展」、川の流れの速さを体験する流速体験コーナーも設けられた。また災害時に活躍する災害救助犬ブースもあって犬との触れ合いも楽しんだ。午後からはステージゾーンで県警音楽隊の演奏や災害救助犬のデモンストレーション、俳優で気象予報士の石原良純さんのトークショーも開かれ、大勢の見物客で賑わった。
 
 
シート張り工 川倉工
月の輪工 自衛隊の応急架橋訓練
スクリューの付いた水陸両用車 災害救助犬も出て触れあいも楽しめた