六郷町の町長選目前

坂本町長、3選目指して出馬へ

再選後の任期は約3カ月、町の文化を新町に引き継ぎたいと抱負(6月9日・水)

 任期満了(7月11日)に伴う六郷町の町長選は22日告示され、27日投開票が行われる。今のところ立候補を表明しているのは現職の坂本茂弘町長(67)だけ。3月定例議会の一般質問で「3町村合併後も町の文化、財産、政策をしっかりと新町に引き継ぐためにも出馬を決意した」と表明した。他に出馬に向けた動きはない。同町は千畑町、仙南村との合併協議が整い、11月1日には新町「美郷町(みさとちょう)」となるため、再選となっても残された任期は約3カ月。

 坂本町長は9日、町役場で共同記者会見に臨み、3選に向けての抱負を「この8年間で公約を実現したものと方向づけしたものがある。3期目の任期は11月までしかないが、六郷町の文化を新町になっても引き継げるようにしたい。合併については補助金、人事、都市計画の整備などまだ未調整なものが数えきれないほどあるが、3町村それぞれ機能分担しながらまとめ、町民へのサービスを落とさないようにしなければならない。11月1日までには人事の配置も終え、新町として正常に働ける体制にしたい」と語った。

 そして3町村の合併がこれまでスムーズに進展してきたことの理由に「歴史的つながりがあって、町民も議会も抵抗なく合意できた。町民には感謝したい」と述べた。清水とお寺の町として知られる六郷町には26カ寺ある。町の世帯数は約2200。しかし26のお寺の檀家数は6000人にもなるという。その多くが千畑町、仙南村の住民という土壌もあって合併をスムーズに進展させたようだ。また観光面でも「千畑町のラベンダー、仙南村のアヤメ祭りと連携させるなど協力関係があった」と坂本町長。

 そしてこの8年間を振り返って03年にオープンさせた身体障害者と知的障害者のための福祉施設「サンワーク六郷」や現在も整備が進められている「街なみ環境整備事業」を挙げた。身体と知的障害者のための複合施設は全国的にも珍しく、「福祉と言えばこれまでは高齢者のための事業が多かったが、障害者のための福祉も大事だ」と述べた。街なみ整備事業は中心市街地活性化事業として国の支援を受けての商店街の整備が主だが、同町の場合、農業、商業、それにお寺も巻き込んで町を挙げて取り組んでいるのが特徴だ。

 その一環として02年5月には観光施設「名水市場『湧太郎』」を、03年2月には手づくり工房「湧子ちゃん」をオープンさせた。湧子ちゃんでは農家の主婦たちが地産地消を目指して野菜や加工食品の販売に意欲を燃やしている。

 「もう中央から企業を誘致しても来る時代ではなくなった。これからは地元資源を有効に活用する時代だ」と述べた。

 観光面にも力を入れた。1997年3月の秋田新幹線開業と同時に清水の町への観光客はそれまで年間3万8000人ほどだったものが、30万人と一気に伸びた。JRが「湧水街道」として角館町から同町を経て横手市の「秋田ふるさと村」へと観光客を誘導する大型バスの運行を企画。これが清水の町を売り出す切っ掛けにもなり、街なみ環境整備事業へとつながった。このほか上水道の整備や国体に向けた自転車競技場を約8億円かけて整備するなど自転車の町として特色を出すことにも努めた。合併後は「自転車で繋ぐ町づくり」を進めることにしている。また農業の面でも野菜と花など複合経営の推進に力を入れた。

 「美郷町」誕生後の町長選への出馬に対しては「全くの白紙の状態。今度の選挙を乗り越え、合併実現に全力を尽くすだけ」と語った。政党への推薦要請はせず、無所属で臨みたいとしている。

 同町出身で1960年3月、岩手大学農学部農業工学科卒。同年7月に県庁入りし、鹿角農林事務所長、仙北農林事務所長を経て89年4月から91年4月まで六郷町助役。再び県庁に戻って農政部農村振興課長、農政部次長を勤め97年の町長選で初当選。住まいは秋田市だが、現在は六郷町の借家で妻と次男と3人暮らし。

 2日現在の有権者数は男2719人、女3173人の合わせて5892人。