仙北町の旧地主・池田家

国指定名勝の「庭園」

27日に特別公開へ=巨大な雪見灯ろうなど見物がいっぱい(6月22日・火)

 
池田邸の薬医門
国内最大級と言われる雪見灯ろう

 庭園では県内初の国指定「名勝」となった仙北町の旧地主・池田氏庭園が27日、特別公開される。池田氏の庭園は敷地面積約4.2ヘクタール(4万2000平方メートル)の広大な面積を有し、上空から見ると池田家の家紋である六角形をなし、周囲は石垣を伴う壕や土塁で囲まれている。明治29年(1896年)の六郷大地震で家屋が倒壊したのを契機に、耕地整理事業に合わせて屋敷地を拡張し、秋田市の千秋公園を設計した長岡安平の協力を得て明治末ごろまでに地割を行い、大正時代に完成した。今年2月27日に国の「名勝」指定を受けた。

 この指定を受ける前後から公開を強く要望されていたが、「池田氏庭園」は個人住宅であり、日常生活の場であることから通常公開はしてなかった。今回は池田家からの承諾を受けての特別公開。

 池田氏は明治から戦前まで旧高梨村の村長を務め、山形県の本間氏、宮城県の斉藤氏と並ぶ大地主として知られている。田んぼの所有面積だけで最盛期には1200ヘクタールもあり、県内では2位の地主に500ヘクタールもの差を付けるほどの群を抜いたトップだった。

 正門は堂々とした薬医門の構えで、屋敷を囲むように張り巡らした石垣の堀は長さ1キロにも及ぶ。敷地内の母屋を取り巻く地域には各所に築山や滝口を設け、石灯ろう、景石を配し、水道施設やプール、運動広場などがあった。また大正11年(1922年)に私設の図書館として県内初の鉄筋コンクリート造りの二階建て洋館が建てられた。内部には食堂兼音楽室、ビリヤード室などもあり、一般にも開放し利用させたという。内装の壁紙はかつて国会議事堂に使われていたものと同じ種類の金唐革紙(きんからかわかみ)が使われている。

 ほかに講堂と称された武道館、家畜小屋、馬小屋、果樹園、菜園などが設けられ、武道館には嘉納治五郎など有名な柔道家が泊り込んで修行、指導したものだという。池田家12代の甚之助は貴族院議員と旧高梨村の村長を務め、13代の文太郎、14代の文一郎もやはり村長を務めている。屋敷内には住み込みの使用人だけで40〜50人、その人たち専用の風呂もあって近所の小作人にもその風呂は開放されたものだと70代のお年寄りは記憶をたどって語る。通いの使用人は100人を越えた。

 池田家の特色は小作人の庇護にも力を入れた点で、小作人組合を作らせ地主と小作人の関係を常に良好なものとした。

 母屋は昭和27年(1952年)2月に焼失。その後、多くの施設も失われたが庭園と母屋の基礎は残っている。また洋館、薬医門、米蔵、味噌蔵など5つの蔵が当時の面影を現代に伝えている。

 国指定「名勝」を受けて庭の管理は現在、町が管理団体となっている。主庭園には中島を有する池を中心に高さ及び笠の直径が4メートルの巨大な雪見灯ろうがある。指定のために同庭園を訪れた文化庁の担当者は石灯ろうを見て「おそらく日本最大級の大きさだろう」と驚いたという。屋敷内には751本もの木も植わっている。

 27日の特別公開の受け付け時間は午前中が9時半から11時半まで。午後は1時から3時半まで。見学者を30人前後のグループで案内し、解説する。見学時の写真撮影は個人のプライベートもあり、指定した場所以外はできない。20人以上の団体は調整のため事前の申し込みを。問い合わせと申し込みは仙北町役場内の教育委員会文化財担当の山崎文幸さんへ(0187─63─3003)。