参院選の風を追う(1)

元アナウンサーの鈴木氏

仙北郡で好感触を得ての遊説を展開(6月25日・金)

 第20回参院選が24日公示された。本県選挙区(改選数1)からは元アナウンサーで無所属の鈴木陽悦氏(55)=民主党、社民党推薦=、共産党県委員会常任委員の今川和信氏(39)、自民党の現職・斎藤滋宣氏(51)=公明党推薦=の3人が立候補。それぞれ独自のコースを取って県内各地を遊説、来月11日の投開票に向けて17日間にわたる選挙戦を展開している。3候補の戦いをレポートする。



 民主党、社民党、そして連合秋田の無所属統一候補として立候補した元アナウンサーの鈴木陽悦氏(55)は24日の公示初日から仙北郡に入り、2日目も3日目も同郡内を精力的に遊説した。公示2日目の25日は午前中は田沢湖町と西木村を走り、午後からは角館町、中仙町、仙北町、千畑町を駆け回った。

 「すごい人気だ。俺の選挙よりも人が出てくる」。西木村を案内した門脇彰一村議は昼休みに入った同村の温泉「クリオン」であきれたように語った。確かに「テレビでお馴染みの鈴木、鈴木陽悦が皆さまにご挨拶に参りました」とウグイス嬢が呼びかけるとその声が耳に届いた人は大概、家から出てくる。しかも、女性が多い。角館町の農村部では集落会館で無尽講をしていた婦人たち5〜6人が表に出て鈴木氏を迎え、「テレビでお会いしてるから頑張って」と励ます。

 鈴木氏自身も手を振ってくれる人を見つけてはフットワークを使って駆けつけ、テレビで培ったソフトな口調で声をかけ「お願いします」。時には「アッ。ンだしか」と方言も使って親しみを込める。出迎えた婦人たちの感激の笑顔が鈴木氏や同行するウグイス嬢らスタッフを元気づける。

 白い半袖のポロシャツにクリーム色のズボン、そして白いスニーカー。カジュアルな親しみやすい服装はお固い政治の舞台を目指すという印象は持たせず、キャッチフレーズの「秋田のこえの集配人」そのもの。今年2月の出馬表明以来、県内を3巡。「当初は知面度、いわゆる面(つら)ばっかり高かったけど、やっと知名度に結び付いてきました」と鈴木氏。「もう現職の候補と並びましたか」と水を向けると「いやいや。そんな大それたことは考えたこともありません」と謙遜した。

 しかし、選挙カーとは別な行動で鈴木氏の戦い振りを見守る社民党の佐々木長秀県議は「感触はいい。しかも今度の選挙、年金改革という有権者の生活に直結した問題が争点になっており、票になりやすい」と戦いに自信を深める。

 角館町では賑わう商店街を歩いて回った。ここでもご婦人たちの歓迎を受け、テレビで培った顔は浸透した。横町商店街でマイクを握った鈴木氏は「角館町にはテレビの取材で何度もおじゃましましたが、街頭に立ってお話させて頂くことは初めてのことです」と呼びかけ「今、政治に何が求められているか。一つ目は政治の信頼回復だ。そのためには旧来の人、旧来の発想、旧来の手法ではだめで、新しい発想、新しい人で政治の流れを変えよう」と訴えた。そして年金の国会での強行採決、自衛隊の多国籍軍への参加など最近の小泉政権の動きを「優しい独裁者と言われても仕方ない」と切り捨てた。

 テレビで売った顔と名前。マイクを握った時のソフトな語り口と気配り。鈴木氏の運動は一見、かなり得している。しかし、婦人たちとの握手がそのまま票につながるかどうかは神のみぞ知る。「とにかく懸命に訴えるだけです」。初めての選挙戦。鈴木氏の表情からはゆとりはなく、真剣さだけが伝わって来る。鈴木氏は明日も太田町、千畑町、六郷町などを回る。