ビンの中はミニ水族館

元教師が「小魚が手軽に飼えます」と開発

熱帯魚・淡水魚ライフ研究所を立ち上げ販売へ(3月17日・水)

 小林さんと水槽ビンの中はミニ水族館─。神岡町神宮寺字神宮寺の小林冨美雄さん(61)は高校教師を退職後、自宅で「アキタ熱帯魚・淡水魚ライフ小研究所」を立ち上げ、熱帯魚と淡水魚の販売を始めている。独自に考案した生態系の仕組みを活用した水槽とセットでの販売で、酸素供給装置や水の浄化装置がいらないのが特徴。ガラスやアクリルの水槽から、小さな空きビンでも楽しめるようにした。「メダカやグッピーの泳ぐ姿に安らぎを感じ取ってもらえれば幸いです」と話す。

 小林さんは10年ほど前から趣味で熱帯魚を飼い始めた。水槽にグッピーを入れ、ペットショップが勧めた浄化装置、酸素供給装置も設置した。水も定期的に入れ換えるなど手入れは十分にした。しかし、グッピーは数日で死んでしまった。メダカも飼ったが同じだった。「どうしてか?」。疑問を感じた小林さんは熱帯魚に関する本を読みあさった。だが原因はつかめなかった。このため毎日、飼育日記を記録し、何とか原因を探ろうと努力した。その結果、水に原因があるのではと気づき、水槽の中を湖沼と同じ環境にするべきだと思いついた。

 水草を生やし、底床に火山礫の一種・ラピリを使用した。ラピリは吸水率が高く、水の浄化にも役立つ。水草や藻類は電気の明かりでも光合成で酸素を出し、水中の二酸化炭素を取り込んでくれる。水中のバクテリアは魚の排泄物や餌の残りを分解し、植物の養分を作り出す。

 一方、ミジンコなどの動物性プランクトンは藻類の植物性プランクトンを餌とし、自らは小魚の餌となる。小林さんはプランクトンの専門誌を買い求め、研究したうえで、こうした植物連鎖を思いついた。そして「自然界のサイクルを再現することで必要と思っていた浄化装置や酸素供給装置がいらなくなった」と小林さん。

 こうした装置が不要になると、水槽の小型化も簡単だった。メダカやアカヒレなどの小魚はインスタントコーヒーの空きビンや卓上ボトルでも飼えるようになった。「ビンに蓋(ふた)をしても大丈夫です。。『酸欠にならないか』と聞かれるが、水草が次々とビンの中で酸素を供給してくれます」と小林さん。

 ビンの中が小さな自然界となって、容器の汚れも少なく1週間に1回といった水の定期的な交換も不要となった。「容器の内側が汚れてきたら、絵の筆などでこすってもらえばオーケーです。水アカは餌になりますから」と話す。

 小林さんは昨年3月、県立西仙北高校を教頭で退職。ビンがミニ水族館として楽しめると気づいた小林さんはその年の6月に秋田市のフリーマーケット会場で展示した。お客さんがそれを目にして「可愛い」と喜んで買い求めた。これに自信を得ていよいよ商品化に踏み切ることにした。神岡町の特産品開発事業の指定も受け、メダカやアカヒレ、エビなどの淡水魚、熱帯魚の入った水槽を「ほのぼのホッとあくあくん」と名付けて販売を始めた。シールには神岡南外商工会のイメージキャラクター「だけ丸くん」を使用した。

 ビン入りとアクリル水槽の商品小魚が入ったボトル・アクアリウム(水族館)は800円から2500円。幅30センチの水槽は1万2500円、36センチだと1万5000円。魚や水草の活力源となる生体栄養液は小林さんのオリジナル。「さまざまな物が入っており、その成分は企業秘密です」と小林さんは笑う。こちらは1本100円。

 今、新製品としてアクリル容器も開発中。小林さんは近い将来、公的な施設を借りて展示会も開いてみたいと夢を追う。小さな水槽の中で泳ぐメダカやアカヒレ、グッピーなどを眺めていると心和むし、部屋の飾りにもなる。「70歳から80歳のお年寄りもいやしになると喜んでくれてます」と小林さん。

 問い合わせはアキタ熱帯魚・淡水魚ライフ小研究所(0187─72─2628)へ。大曲市通町の「アトリエール花火庵」でも販売している。