出場した六郷町の栗林聡子さん
「精いっぱい歌を楽しめた」と思い出を語る(3月25日・木)
六郷町米町の栗林聡子さん(18)は今月13日、東京・渋谷のNHKホールで開催された「NHKのど自慢チャンピオン大会」に出場した。約3000人の大観衆を前に全身を使って人気歌手・一青窈(ひとと・よう)の「もらい泣き」を歌った。残念ながら入賞は逃したが「大きな舞台で精いっぱい歌を楽しめたし、100%の力を出せたので満足してます」と輝くような笑顔で語った。25日、六郷町の自宅を訪ねた。
チャンピオン大会は全国各地で開かれたのど自慢大会で優勝した46組の中から、さらに厳しい審査を行い、その中から16組が選ばれ、グランドチャンピオンを決める大会。秋田県からは3年ぶりの出場者として選ばれた。
物おじしない性格のようだ。リハーサルでは同行した栗林さんの応援団30人も会場に入って、その応援風景も撮影しながらの練習となって緊張したが、本番となって幕が開けたら「楽しくて緊張が抜け、いつもの調子で全身を使って歌えた」と栗林さん。歌っている最中は自分にスポットライトが当たっていて会場は真っ暗。歌い終わってホールにもライトが点いて客席を見たら「こんなすごいお客さんの前で歌ったのかと感動しました」と話す。
栗林さんは昨年7月、大曲市民会館の10周年を記念して行われたNHKのど自慢大会に出場。「もらい泣き」を歌って合格し、最優秀賞に輝いた。友だちとカラオケを楽しんでいる時に「歌ってほしい」とリクエストされたのが一青窈の「もらい泣き」との出会いだった。難解な歌詞だったが、失恋の歌であり、その歌詞を何度も読んでそしゃくし、その主人公になりきって歌った。
一青窈の物真似ではなく、栗林さんオリジナルの歌として紡ぎ出されるメロディに感動したクラスメートが「のど自慢でも歌って」と強く勧めた。栗林さんも次第に「もらい泣き」が大好きになり、のど自慢大曲大会に向けて出した応募のハガキには「祖父が亡くなって一周忌。天国にいる祖父にも『もらい泣き』してもらえるように歌ってみたい」と書いた。
大曲大会には県内外から502通の応募があり、その中から250組が予選に選ばれ、最終的に20組が本番のテレビ出演となった。そして哀感いっぱいに歌い挙げて、合格の鐘を乱打させ、最優秀賞に輝いた。
栗林さんは今月1日、県立大曲高校英語科を皆勤賞と言う賞ももらって卒業。在学中の3年間は合唱部員としても活躍した。全日本合唱コンクール東北大会にも出場。3年生になってからは部長として部員40人のまとめ役として頑張った。
今回のチャンピオン大会で入賞はならなかったが、「将来、プロの歌手を目指しているのでもないし悔いはありません」と夢みるような瞳を輝かせ、キッパリ。栗林さんにとっての歌はあくまで「趣味として楽しみたいもの」だ。4月からは秋田大学教育文化部国際言語文化課程で英語をさらに学ぶ。卒業すると教師の資格も取れる。まだ漠然だが、将来は「塾の先生として英語を教えたい」と話す。
鮮魚店を営むお父さんの健司さん(54)は娘・聡子さんのそうした進路の選択にホッとし、お母さんの栄子さん(46)も「自分で努力して、納得した生き方をしてもらいたいと思っていたので良かった」と胸をなでる。NHKホールという大舞台で歌った思い出は栗林さんの青春を飾る〃金字塔〃として生涯に残ることだろう。