美郷町初の町長選

旧六郷町長の坂本氏、出馬表明を撤回

地域対立を避けたいと新町スタートでのしこりを懸念(11月15日・月)

  美郷町初の町長選挙に立候補を表明していた旧六郷町長の坂本茂弘氏(67)=同町六郷字本道町=は15日午後、名水市場「湧太郎」で緊急の記者会見をし、「美郷町の町長選への出馬表明を撤回する」と突如の表明をした。理由として坂本氏は相手候補の旧仙南村長・松田知己氏(41)=同町金沢西根字二ツ柳=との間に「政策的な争点がない」と挙げた。

  坂本氏は「町村合併を一緒に取り組んできた中であり、最初から(争点がないことは)分かっていたことだが、もう少し具体的な政策内容、取り上げるべきウエイト、順序で議論となるものと思ったが、現実は旧町村の地域対立であり、町村合併という新町のスタートに当たって、地域対立は今後に大きなしこりを残し、町づくりに支障を来すとの判断から出馬を断念した」と述べた。その上で坂本氏は「今まで懸命に私を支持して下さった後援会、議会の皆さん、美郷町の住民の皆さまにご迷惑をかけたことを深くお詫びしたい」と陳謝した。

  美郷町の初の町長選は23日に告示され、28日投開票が予定されていた。そして同町長選には松田氏と坂本氏がそれぞれ立候補を表明、松田氏は出身地の旧仙南村の有権者のほぼ8割を、坂本氏も旧六郷町の有権者のほぼ8割を固め、お互い旧千畑町を主戦場に激しい前哨戦を展開。

  14日にも旧千畑町のふれあいセンターで松田氏は午前10時から婦人と青年の集いを開き、約450人の支持者を集め、選挙戦本番に向けての支援を求めていた。一方の坂本氏は午後から同センターで女性の集いを開き、約1300人の支持者を集めるなど勢いを見せていた。

  しかし、坂本氏はその集いを終えた後、後援会の小西玄太郎会長(旧六郷町)らに「立候補を断念したい」との決意を述べ、承諾をもらった。記者会見に同席した小西氏は「大変残念であり、このまま頑張ってほしい。もう一度説得したいが本人の意思が堅い」と諦めた表情だった。

  今度の美郷町長選は当初、旧千畑町長で現・美郷町長職務執行代理者の藤嶋長右エ門氏は3人で話し合いの上、合併協議会長としてリーダーしてきた坂本氏への一本化で軟着陸を狙っていた。しかし、話し合いでの首長選びに疑問を示した松田氏が8月の村長選で無投票当選を決めた後、正式に美郷町長選への出馬を表明。一方の藤嶋氏は坂本氏を支援する側に回って、美郷町長選への出馬を働きかけた。そして9月1日に坂本氏も旧六郷町議会に美郷町長選への出馬を表明。両氏の一騎討ちが確定していた。

  坂本氏はこの日、「5日の記者会見のころから自分が身を引いた方がいいと思うようになった」とも述べた。「地域住民と選挙戦に向けて話し合っている時に合併も3人で話し合って決めたのになぜこうなったのかと言われるのが一番、辛かった」と心境を語った。その上で松田氏には「素晴らしい町政運営を望みたい」と希望を託した。

  一方、同町天神堂の国道13号沿いに後援会事務所を構えている松田陣営では突然の坂本氏出馬断念に「予想もしてなかったので驚いている。しかし、こちらとしては今まで通り選挙戦に向けて準備を進めるだけだ。坂本さんが出馬を見送るなら他に出てくる可能性もありとにかく万全を期したい」と話した。