旧仙南村長の松田氏、圧勝
公平と誠実な行政、融和と前進が浸透(11月28日・日)
松田 知己氏=10,152票
藤嶋長右エ門氏= 6,655票
千畑町、六郷町、仙南村の合併で今月1日に誕生した「美郷町」初の町長選は28日、町内25カ所で投票が行われ、午後7時半から町総合体育館アスパルで即日開票された結果、前仙南村長の松田知己氏(41)=無所属=が1万152票を獲得、前千畑町長の藤嶋長右エ門氏(66)=同=は6655票で、松田氏が藤嶋氏に3497票の差を付けて圧勝した。投票率は86.74%で投票総数は1万6910票だった。「平成の合併」で県内第1号となった町のリーダーを決める町長選として全県の注目となった。旧3町村ごとの投票率は千畑地区=86.20%、六郷地区=82.86%、仙南地区90.63%だった。(28日午後10時20分掲載)
松田氏は選挙戦直前の今月15日に前六郷町長の坂本茂弘氏(67)が立候補を辞退、その坂本氏を推していた後援会が「このままでは不完全燃焼だ」と藤嶋氏支持に回ったことから、旧六郷地区では不利な立場に追い込まれた。その上、美郷町議48人のうち旧千畑町議10人と旧六郷町議11人も藤嶋氏支持に付くなど松田氏を囲む環境は厳しいものだった。
しかし、旧千畑地区では反藤嶋派となった町議4人が結束し、藤嶋氏への批判票の掘り起こしに力を入れた。地元・仙南地区の8割以上の支持を受けた松田氏は「誠実で公平な行政」、そして3つの地域間の壁を取り除くため「融和と前進」をキーワードに旧千畑地区と旧六郷地区を積極的に遊説。街頭では一人でも多くの住民と顔を会わせたいとマイクを握っては叫び、積極的な握手戦を展開。出迎えた一人ひとりと「皆さんの声が届く美郷町にします」と約束した。そのクリーンなイメージと若さで旧千畑地区でも旧六郷地区でも藤嶋・坂本カラーに染まらない無党派層、特に女性の浮動票の取り込みに成功。連合秋田も松田氏支持へと後押しした。
最終日の27日、旧千畑地区ではまるで地元候補のような歓迎を受け、ムードは一気に高まった。松田氏を推す町議らは「藤嶋さんへの反動の現れ」と自信を深めた。旧六郷地区でも新興住宅地を小まめに回り、支持者を掘り起こした。マイクを握ると「皆さんには夢があるはずです。美郷町に対しても夢があるはずです。その夢の実現のために行動させて下さい。私は41歳だが、県庁職員としての経験、そして仙南村の助役、村長も経験しました。私の可能性に皆さん方の夢をかけて下さい」と訴えた。その誠実な態度、訴える姿は出迎えた人たちの感動を呼んだ。
路上で待ち受ける人々を見かけると選挙カーから降りて駆けつけ、若さと行動力を売り込んだ。選挙カーの音を聞きつけ家から飛び出して来る有権者。握手で支持を訴える松田候補。その後を元仙南村長の斎藤克巳氏をはじめとする運動員が8台もの随行車に乗り込んで「松田をお願いします」と念を押して、票の積み重ねを図った。
藤嶋氏は旧千畑町議と旧六郷町議合わせて21人の支持を得たものの8月の出馬表明以来、旧千畑地区でも支持者の掘り起こしに全力を挙げた松田氏に比べ、出遅れによるハンディが最後まで響いた。
午後7時半から始まった開票。会場となった旧六郷町体育館のアスパル二階には150人ほどの住民が駆けつけ、開票を見守った。500票の束が積まれ、開票から40分後にはほぼ松田氏の当確が決まった。天神堂字赤城の国道13号沿いに構えた選挙事務所は支持者でビッシリと埋まり、開票からほぼ1時間後の午後8時35分、「松田さんの票が1万を超えた」と連絡が入ると割れるような拍手と歓声が沸いた。過半数を大きく超えた票に勝利を確信した松田氏と由美子夫人(44)は何度も何度も頭を下げた。
高貝久遠太田町長、今野正彬神岡町長、太田芳文角館町長、田代千代志西木村長、伊藤稔仙北町長、それに栗林次美大曲市長らが祝いに駆けつけた。県議では大野忠右エ門氏、渡部英治氏、門脇光浩氏の顔もあった。
総括責任者の半田秀雄町議は「皆さんの力がこの喜びとなった。新しい町の町長に最もふさわしい松田さんを支援してくれたお陰だ」と当選を祝った。大野県議、高貝太田町長の祝辞があった。ダルマへの目入れ、そして祝いの花束が次々と贈られ、バンザイの声も響いた。
美郷町の初代町長に輝いた松田氏はマイクを握ると「ありがとうございました」と深々と頭を下げ、「今度の選挙戦。大きな意味と意義を持っていた。誕生したばかりの美郷町をどういう方向に導き、育んで行くのかを決める最初の選挙だった。そのためこの5日間は行政運営は公平と誠実で、しっかりとした将来展望を持って一つひとつの課題に取り組まなければならないと訴えた。そして融和と前進をキーワードに7つの選挙公約を掲げ、伝えてきた。その私の訴えを肉付けし、多くの人に伝え、投票してくれた結果が勝利へとつながった」と訴え、「課題の一つひとつを皆さんと共有しながら県民に誇りを持てる美郷町にしよう」と決意を述べた。さらに「相手候補に投票された方にも私の足りない分だったと努力し、幅広い見識を持てるよう努めたい」と思いやった。
松田知己氏=横手高校を経て東北大学農学部卒。県庁入りし、秋田農業改良普及所、農政部農政課、農業技術開発課に在職。1996年9月、県農業試験場主任で退職し、同10
月、仙南村助役に就任。2000年8月、村長選に出馬、無投票当選。04年8月、再選され11月1日合併に伴い失職。1963年9月1日生まれ。自宅は美郷町金沢西根字二ツ柳132
番地。