大仙市長選

選挙カーを追って(1)

  初代の大仙市長を決める7日間の選挙戦が始まった。10日の告示と同時に立候補を届け出たのはいずれも無所属で、元仙北町長の伊藤稔氏(63)、元大曲市長の栗林次美氏(57)、元大曲市助役の高野昭次氏(55)の3人。選挙カーは合併した旧8市町村を東奔西走し、「お願い」を叫んでいる。大仙市の面積は約866平方キロメートル。選挙カーを半日追っただけで取材の車の走行距離は軽く100キロを超える。各候補の戦い振りをルポしたい。



伊藤候補

農村部代表を強調し、浸透を図る(4月11日・月)

  11日午前、伊藤候補は協和地区を遊説した。国道13号から西に入り、純農村部である福部羅、中小種、白岩、千着などを先導車、選挙カー、それに運動員を乗せた後続車の合わせて6台の車が列をなして走った。伊藤氏をはじめ運動員は全員、真っ白なウィンドブレーカー。

  初日は伊藤氏の地盤である旧仙北町から旧中仙町、旧太田町を中心に回り、十分な手応えを感じたが、協和地区など西部はあまり自信のない地域だった。しかし、後援会員が足を使って住民に呼びかけたのだろう。集落に入るとあちこちで住民がグループを作って待っている。

  山と田んぼしかない集落だけに選挙カーが入ってくるのは一種のドラマであり、候補者の生の姿を見られるチャンスである。住民たちは沿道に立って、嬉しそうに談笑しながら待っていた。

  選挙カーは「農村部の代表、郡部の代表、伊藤稔があいさつに参りました」と農村部代表であることを強調。同行する原盛一県議ら運動員も「大仙市長選には大曲市から2人が立候補しているが、郡部からは伊藤みのるだけ。農村部のこと、郡部のことを分かるのは〃みのる〃しかいない」と強く訴える。

  協和地区の中心部である上淀川、境の商店街でもそうした声に有権者が敏感に反応して道路に出てくる。運動員は「予想以上の反応。同じ農村部出身という期待感があるかもしれない」と自信を深めた。伊藤氏は出迎えの人を一人も取りこぼさないようにとほとんど車に乗らず、走りっぱなし。そして「ありがとう。よろしくお願いします」と肩を抱くようにして親しみを込め、堅い握手を求める。

  マイクを握ると「合併に当たって約束したことがある。合併は対等合併であり、どこで生まれ、どこで仕事をしても同じような幸せを感じられる大仙市にしたい。街部には街部の役目を果たせるようにするが、農村部発展のため、豊かな田園地帯発展のため頑張りたい」と力を込める。

  農家の主婦たち10数人が出迎えた集落では「農村が分かる。農業をやっているから農家も、農業のことも一番、良く分かる。何とかお願いします」と訴えた。伊藤氏は農村部の代表であることを有権者にイメージづけ、合併によって旧町村が埋没し、旧大曲市だけが発展するのではないかという住民の持つ潜在的な意識を刺激して「第3の男」からトップへとせり上がろうとしているようだ。