大仙市長選

選挙カーを追って(2)

  初代の大仙市長を決める7日間の選挙戦が始まった。10日の告示と同時に立候補を届け出たのはいずれも無所属で、元仙北町長の伊藤稔氏(63)、元大曲市長の栗林次美氏(57)、元大曲市助役の高野昭次氏(55)の3人。選挙カーは合併した旧8市町村を東奔西走し、「お願い」を叫んでいる。大仙市の面積は約866平方キロメートル。選挙カーを半日追っただけで取材の車の走行距離は軽く100キロを超える。各候補の戦い振りをルポしたい。



栗林候補

大仙市誕生のまとめ役を強調(4月12日・火)

  「今度の合併で一番、難儀したのは栗林さんだ。壊れかかった合併協議会を栗林さんは大変な苦労をしながらまとめあげた」。「旧西仙北町は絶対に勝てる」と栗林候補の友人として運動に力を入れる元町長の小松隆明氏はマイクを握ると必ずこう強調する。同行する佐々木長秀県議も「難儀して大仙市をつくり上げたのに、大仙市が誕生したら後は栗林は要らないでは筋が通らない」とカバーし、「3人の中で大仙市の市長にふさわしいのは栗林しかいない」と訴える。小松氏は旧西仙北町で、佐々木氏は県議選での実績を生かして旧協和町での支持者掘り起こしに力を入れる。

  栗林選対も旧西仙北町での票に期待して初日から西仙北地区へ選挙カーを走らせた。2日目も旧協和町を遊説した後、西仙北へ入った。協和地区は高野氏がかなり浸透し、旧町議(現・大仙市議)が運動しているというが、栗林氏の熱心な支持者となった町議もいれば、伊藤氏を支持する協和地区在住のJA秋田おばこ幹部もいる。いわば草刈り場だ。

  それでも「仮に協和地区、それに高野さんの地盤である旧神岡と旧南外で負けても西仙北の勝利でチャラになる」と小松氏は自信を持つ。そして「栗林さんはマイクを握ったら絶対に票を稼げる。街宣活動に力を入れたい」と遊説先のあちこちでマイクを握る場を設定した。11日。協和地区での遊説を済ませ、昼近く西仙北地区に入った栗林陣営は先導車と後続車を含め4台。小松氏が再びここで合流し、刈和野駅前と役場前での2カ所でマイクを握った。

  3人の候補者の中では最も多くの選挙経験を持つ栗林氏の演説には説得力がある。「市長として1年半やらせてもらったが、常に頭にあったのは合併をどのようにまとめていくかであった。国も県も財政が厳しい中、何とか地方分権にこたえられる効率の良い自治体にしたいと合併に取り組んだ。しかし、大仙市誕生してもまだ様々な課題を残している。住民の皆さまが不安を感じないよう大仙市を軌道に乗せる責任がある。そのために政治経験の全てをささげたい」と抑揚のある声で訴えた。

  栗林氏の運動も集落や住宅街に入るとほとんど車に乗らず、出迎える人を一人でも取りこぼさないようにと足で稼ぐ。ウグイス嬢は「弱い立場の人に政治の光りを」と栗林氏の持論を叫んでイメージアップを図る。10日夕。西仙北地区から四ツ屋に入った栗林氏の選挙カーはあちこちで熱烈な出迎えを受け、日程が大幅に遅れた。場所によっては200人近い住民が列をなして栗林氏の演説に耳を傾け、声援を送るところもあった。初日の旧市内での盛り上がりが陣営を元気づけている。