大曲ユースホステル

首都圏から大仙市藤木へ

綿引さん夫妻、脱サラして開業(8月8日・月)

  埼玉県上尾市から大仙市藤木字甲本藤木に移り住んでユースホステルをオープンさせた夫妻がいる。綿引努さん(41)、啓子さん夫妻で、インターネットで売りに出されている空き家を見つけ、あこがれていた「ユースホステル」をやろうと昨年11月、サラリーマン生活に見切りを着けて引っ越しし、宿泊施設に改造、今年3月にオープンさせた。藤木と言えば旧大曲市の中でも純農村地帯。人の出入りと言えばお嫁さんを迎えるか、お婿さんが来た時以外は滅多にないだけに地元では、首都圏から移り住んだ綿引さん夫妻を「本藤木会」に入会してもらうなど交流を深め、歓迎している。

  ユースホステルは青少年に健全で安い宿泊施設を提供しようと1909年にドイツで誕生した。その後、ヨーロッパを中心に世界に広がり、日本でも全国各地に300カ所以上ある。

  綿引さんは高校生のころユースホステルを使って旅行した経験もあり、いつかはやってみたいとあこがれていた。インターネットで不動産情報を調べていたら、当時の大曲市内で売りに出されている民家が見つかった。しかも秋田県でのユースホステルは秋田市と田沢湖町、それに鹿角市にしかない。それに旧大曲市は秋田新幹線、秋田自動車道など県内でも交通の要所であり、旅先の宿泊地としては便利でないかと思った。また、冬は横手市の「かまくら」もあり、雪をうまく使ったら都会のお客さんに喜ばれ、「大曲の花火」という知名度でも売り出せると転職を決心。

  「大曲ユースホステル」として開業し、日本ユースホステル協会にも加入した。買い求めた家は木造二階建ての民家で、築後25年ほどになっていた。それを洋室1、和洋折衷1、それに和室3の計15人まで泊まれるように改造した。さらに一階はバリアフリーとし、車いすのトイレ、それに一般住宅より広めの風呂を2室、用意した。

  オープン間もなくゴールデンウイークを迎えたが、ユースホステル協会のホームページなどで調べた旅行客が訪れるようになり、連休10日間のうち4日間は満室に。その後も田沢湖町の乳頭温泉郷への旅の途中とか、北海道へのワンクッションとして宿泊したりと、手ごろな料金で気さくに泊まれるユースホステルの良さを受け利用客は順調に推移。8月に入ると秋田市の竿燈もあって、同市のホテルを取れなかった人が宿泊した。また大曲の花火当日の宿泊は7月上旬で予約でいっぱいになった。

  大曲駅から6キロ、最も近い飯詰駅からでも1.5キロあり、車やバイクでないとやや不便な土地だが、「ユースホステルは元々、へんぴな所に構えているのが多いので不便とは思いません。この3月に泊まった人は雪道を歩きたいと飯詰駅まで喜んで歩いた人もいます。駅までちょうどいい距離かもしれません」と綿引さん。

  ユースホステルを出ると周囲に広がるのは田んぼだけ。都会から移り住んだ綿引さんにとってはそのロケーションも気に入っているようで、宿泊客ためのレンタル自転車も用意し、美郷町六郷の湧水群、仙南までの田んぼ、そして藤木から大曲までの雄物川の堤防など自転車でのモデルコースを設定して、散策を勧めている。ジョギングが趣味だという妻の啓子さんも田園の広々としたロケーションを楽しみながら、走っている。長女の実幸さん(7つ)はこの春、近くの藤木小学校に入学した。

  しかし、暮らしてみて驚いたのは今年の雪の多さ。屋根の雪の下ろし方さえ分からず、この冬は大工さんに来てもらいそのコツを教えてもらった。宿泊客用の駐車場も雪で埋もれ、その対策として地下水をくみ上げ、雪を消すパイプも設置した。雪に戸惑い、難儀しながらも「近くには大きなスーパーもあって不便さは感じないし、暮らしやすい。この地に骨を埋めるつもりです」と堅い決意を示した。地元の人たちも遊びに来た友だちを宿として紹介するなど世話を焼く。

  「これからはキリタンポやしょっつる鍋、それに漬物など地元の人を先生に秋田の料理を学びたいし、畑仕事も覚えたい」と綿引さん。宿泊料は日本ユースホステル協会会員なら1泊2食付きで、6月から8月は1人4700円、9月から5月までは5000円。会員以外はプラス1000円。チェックインは午後3時から。問い合わせは0187─65─3451。

  大曲ユースホステルのホームページは下記から。

  http://www.jyh.or.jp/ohmagari/index.htm