「大曲の花火」に68万人

豪華絢爛に1万5000発

最優秀賞は茨城県の野村花火工業(8月28日・日)

  第79回全国花火競技大会「大曲の花火」(大仙市、大曲商工会議所、同市大曲観光物産協会主催)が27日、大仙市大曲の雄物川河川敷を会場に開かれた。全国から選び抜かれた花火業者30社が、秘伝の技術を惜しみなく披露し、夜空を〃音と光〃の芸術で華麗に飾った。その豪華絢爛なドラマは大会史上2番目の68万人(主催者発表)の観客を魅了させた。一時は台風11号の接近で大雨も心配され、開催も危ぶまれたが、大会当日は奇跡的な好天に恵まれ、昨年に続く絶好のコンディションで花火は打ち上げられた。大会の表彰式は翌28日午前10時からシャインプラザ平安閣大曲で挙行されたが、夜花火の部での最優秀賞には茨城県の野村花火工業株式会社が3年連続して選ばれ、内閣総理大臣賞を受賞した。昼花火から夜花火まで約1万5000発の花火がさく裂し、行く夏を送った。

  大会は午後5時からの「昼花火」で始まった。昼花火の競技が行われているのは大仙市だけで、技術保存を求める花火業界からの強い要望で1978年から始まった。太陽がまだまぶしく輝く西の空に青や紫、黄色、赤、黒などの煙竜が舞い、桟敷席を埋めた観客をうならせた。約50分の煙の競演に観客は「首が痛くなる」と笑いながらも、夕空を見上げたままだった。

  昼花火は午後5時50分に終わって、それから夜花火までの約1時間の休憩。桟敷席、河川敷、そして反対側の大川西根の道路を埋めた観客たちはその間に折り詰め弁当などを開いて、ビールやお酒で乾杯し、夜空の競演を待った。午後6時50分の大雷の号砲が打ち上げられ、大会会長の栗林次美市長の歓迎のあいさつ、実行委員長の高柳恭侑大曲商工会議所会頭の開会宣言が終わって、500メートルのナイヤガラの滝に点火されると会場からは「ウォー」とどよめくような歓声が響き、音と光の競演が始まった。

  ドーン。バリバリバリッ。西山を背景に響いてくる音は体の皮膚をビリビリと震わせ、波打たせた。そして弾ける華麗な光りは「これでもか、これでもか」と夜空を焦がした。桟敷席からは「これだよ。これが大曲の花火だよ。日本一!」と感動の叫びが上がった。

  クライマックスとなったのは午後8時40分の大会提供花火。女子アナウンサーの「大変、お待たせ致しました」の案内が流れると「オーッ」とまるで人気役者の登場を待っていたかのように歓声が渦巻き、津波のようにざわめいた。そして「HAREM(ハレム)〜砂漠の宮殿〜」と題した豪華絢爛な花火が幅約600メートルにわたって打ち上げられると、観客はあ然としたように息を飲み、「ウォー」「すごい。ものすごい」と悲鳴のような声が響いた。「こんな花火は初めて。ありがとう。本当にありがとう」。親類からの招待で初めて桟敷席に座って花火を観たという宇都宮の女性は興奮状態だった。

  また岩手県から来たという男性は花火が終わってから、大群衆に身動き取れない状態になりながらも「これじゃあ仕方ないよ。待つしかない」と言いながら、少しずつ進んでいく人の流れに「大曲の花火は規模もすごいが、観客のマナーもいい。警察官や警備の人も大変だろうが、その指示を守って整然と待っているから素晴らしい」と誉めた。

  主催者は昨年より2万人少ない約68万人の人出を「やはり台風11号の影響もあったようでJRの利用客が昨年に比べ大幅に減った。でも晴れて良かった」と胸をなでおろしていた。

  花火競技大会は産業経済省製造産業局化学課長の眞鍋隆課長、日本煙火協会の本田正憲会長ら14人で行われた。表彰式で審査委員長の横浜国立大学客員教授の田村昌三工学博士は「昼花火は新しい発想を持ち出したか、色彩や形、そして割物は開きや色彩、配色、玉名にマッチしているかなどを審査基準に、創造花火は既成観念にとらわれない斬新さ、リズム感や創意工夫があるかなどを審査基準に選んだ。いずれも最高の技術を持った素晴らしい大会であり、世界一に誇れるまさに全国一の大会にふさわしいものだった」と高く評価した。

  審査の結果は「創造花火の部」でも、また「10号割物の部」でも茨城県の野村花火工業株式会社が優勝、経済産業大臣賞と中小企業庁長官賞を受賞し、「夜花火の部」で最優秀賞の内閣総理大臣賞に2年連続で輝いた。野村花火は夜花火の部の割物で3連破、創造花火の部では昨年に続いて2連勝となった。また昼花火では群馬県の有限会社菊屋小幡花火店が優勝した。

表彰を受ける野村花火の中村さん。創造花火で野村花火は「光のウェディング〜祝福の花束〜」を打ち上げた。桟敷席の観客たち、特に女性たちは「おしゃれで素敵な花火」と喜んでいた。花火を構成し、打ち上げた野村花火の中村忍工場長(32)は授賞式で「最高賞の受賞で嬉しい。去年の大会から『今年も観客を驚かせるようなことをやりたい』と考えてきた。まだ追及し、研究すべき問題もあり、これからさらに完璧なものを目指して大曲に集まってくるお客さんに感動を与えるような花火を打ち上げたい」と喜びを語った。

  大会の成績は次の通り。

  ◇創造花火の部▽優勝=野村花火工業「光のウェディング〜祝福の花束〜」▽準優勝=菊屋小幡花火店(群馬県)▽優秀賞=太陽堂田村煙火店(長野県)、北日本花火興業(秋田県)、小松煙火工業(同)

  ◇入賞=和火屋(秋田県)、紅屋青木煙火店(長野県)、丸玉屋小勝煙火店(東京都)、小口煙火(長野県)、齋木煙火本店(山梨県)、磯谷煙火店(愛知県)、イケブン(静岡県)、芳賀火工(宮城県)、海洋化研(北海道)、山内煙火店(山梨県)

  ◇10号割物▽優勝=野村花火工業(茨城県)「昇曲導付四重芯引先紅光露」、「昇曲導付五重芯冠菊緑点滅」▽準優勝=小松煙火工業(秋田県)▽優秀賞=太陽堂田村煙火店(長野県)、山内煙火店(山梨県)、イケブン(静岡県)

  ◇入賞=菊屋小幡花火店(群馬県)、信州煙火工業(長野県)、大曲花火化学工業(秋田県)、紅屋青木煙火店(長野県)、芳賀火工(宮城県)

  ◇昼花火▽優勝=菊屋小幡花火店(群馬県)「黒煙柳に煙竜の舞」▽準優勝=丸玉屋小勝煙火店(東京都)▽優秀賞=磯谷煙火店(愛知県)、三遠煙火(静岡県)▽入賞=齋木煙火本店(山梨県)、大曲花火化学工業(秋田県)、山内煙火店(山梨県)

  ◇特別賞▽文部科学大臣奨励賞=小松煙火工業(秋田県)▽日本煙火協会長賞=小松煙火工業