ほっと大仙がNPO法人に
安積さん、障がい者の立場から感動の記念講演(1月17日・月)
NPO法人障がい者自立生活センター「ほっと大仙(石川和美理事長)」設立記念の講演会が16日、大曲中央公民館大研修室で開かれた。ほっと大仙は障がい者自身が地域で自立した生活を営み、社会参加していくための活動をし、必要な福祉サービスも自らの手で提供していこうと昨年8月にNPO法人取得を目指して立ち上げた。そして12月7日に認証を得て、20日には特定非営利活動法人としての法務局への登記を完了した。
この日の講演会には約100人が詰めかけ、骨形成不全症という重い障がいで車いす生活をしながらも、ピア・カウンセラーとして幅広く活躍している安積遊歩(あさか・ゆうほ)さんの講演に耳を傾けた。
安積さんは1956年、福島県生まれ。生後約40日でカルシウムを吸収しにくい骨形成不全症と診断され、2歳から13歳までに20回近く骨折を繰り返し、手術を受けた。20代はじめから障がい者運動にかかわり、83年10月から半年間、障がいを持つ人のための先駆的サービス機関であるアメリカ・バークレー自立生活センターで研修を受け、ピア・カウンセリングを日本に紹介した。
「私が幸せであるために…障がいをもつ女性として母として」と題して講演した安積さんは「13歳で手術はもう嫌だと決心した。もう2度と病院には行かない。自分の体は自分のもので、自分で面倒を見て治そうと決意した」と語った。自然療法を勉強し、東京に出てからは玄米を食べ、肉や砂糖は徹底的に避けたという。
「癒しのセクシートリップ」(太郎次郎社)、「車イスからの宣戦布告」(同)などの著書もある安積さん。その著書を通じて知り合ったファンと結婚。
家庭を持ったり、結婚するなんて「あり得ない」と思っていた安積さんだが、結婚して妊娠も体験した。病気のため「すさまじい数のレントゲン撮影を受けた自分の体。放射線の影響で、自分が母親になれるとは思ってもいなかった」という安積さん。
しかし「人間はすごい可能性に満ちている。その可能性に限界はないし、その力を与えてくれたのが生まれてきた娘だ」とも語った。
「身長は113センチしかなく、間もなく40歳を迎えるという年齢、その上、カルシウムを食べても食べてもなかなか摂取しないという障害。出産への不安もあり、自分自身の健康にも不安があった。それにまたあの嫌な医療と付き合わなければならないのかとも思った」とも語った。
その医療ともう一度和解しようと診察を受け、健康への不安、生まれて来る子どもの事などを相談した最初の医師の回答は「僕には分かりません」だったという。本当に自分の味方になってくれそうな医師を探した結果、紹介されたのが女医さんで「安積さん。生むんでしょう」のひと言が大きな支えになった。
しかし、生まれて来る子は自分と同じ障害を持つことも医師から聞かされる。自分が体験した骨折の痛みをわが子にも体験させるのを思うと泣いたが、泣きながら思ったのは自分には「お腹の子が骨折した時にどんなことをしてやったらいいかという自らの体験で得た正確な情報がたくさんあり、最善の方法を子どものために取れる」ということだった。そして障害を持っていようがいまいが、子どもができたことを何よりも喜んでくれる夫がいたということだったと安積さん。
安積さんと同じ障害を持った娘さんは1996年5月に生まれた。子どもの可能性に期待して宇宙(うみ)と名付けた。安積さんは講演を通じて「どんな時でも子どもの声、子どもの話に真剣になって耳を傾けてやってほしい」「子どもが何でも言えるような、そしてそれを聞いてくれる大人がいれば学校に行こうが行くまいが、可能性は引き出せる」と強調。さらに「登校拒否となっても学校に行くよう追い詰めないで。それでは子どもも辛い。むしろ『あなたは素晴らしくていい子なんだよ。生まれてきてくれてありがとう』と言える関係が大事だ」と感動的な言葉が次々と出され、「将来は障害を持つ子どもの親の研究会も作りたい」と前向きな明るい姿勢は聴衆を元気づけていた。