全校音楽の生みの親
元校長の後藤さん、叙勲を記念に講演(7月8日・金)
大仙市大川西根小学校(高橋勇治校長・児童数84人)の〃全校音楽〃の生みの親で、この春に教育功労で「瑞宝双光章」を受けた後藤昭三さん(77)=同市大曲日の出町=の文化勲章受賞記念講演会が同校であった。後藤さんは1961年4月に同校へ赴任、教壇に立った。しかし、子どもたちと接して、どこか積極さに欠けているのが気になった。何とか子どもたちに自信を持たせ、活気づけたいと「音楽」を通じたユートピア建設を後藤さんは夢みた。そして翌年には当時の大曲市で3番目の「鼓笛隊」を作った。そのパレードが西根地区全体に大きな感動を与え、全校児童が楽器を演奏し、歌う「全校音楽」への道しるべとなった。
後藤さんは「姫神ラプソディー〜大川西根小学校全校音楽秘話と金持校長のこと〜」と題して同校音楽室で保護者や教職員を前に講演。金持貞治校長は後藤さんが赴任した当時の校長で、「いつも笑みを絶やさない物静かな人で、音楽についてもバイオリンという大それた楽器を欲しがる子どもが出て心配しながらも、口を出さず、教師としての目線でその活動に価値観を見出し、全校音楽は決して『絶やしてはならい教育』だと多くの人に伝えてくれた人だった」とたたえた。
「バイオリンは高価なものだけに、買って欲しいとせがむ子どもに親は驚いたり、心配したが、それでも孫のためだと野菜売りに精を出したおばあさんもいた」と後藤さん。そして子どもたちも「親たちが汗水たらして買ってくれた楽器なので、またいだりすると罰が当たると感謝したものだった」と当時を振り返った。さらに「コントラバスという楽器を手にした子どもは、練習で右手の指の皮がはげ痛がったが、それでも指にタコができるほど練習を重ねたものだった。今ならきっと保護者にやり過ぎだと叱られたかもしれないが、当時の子どもたちはそうした事にもめげずに頑張り、演奏技術や知識をスポンジのように吸収した」と子どもたちの頑張りをたたえた。
そして「ラジオ出演などをきっかけに全校音楽が多くの人に知られるようになり、学校視察も増え『自校でも全校音楽を』と張り切ったが、続くところは少なかった。初めての試みを始める時は希望に燃え、夢あふれているのでそれが大変とは思わない。むしろ始めたことを続けていくことこそが大変だ」と後藤さん。最後に「西根で今まで全校音楽が続いてきたのは、そのタネを蒔かせてもらえたおかげだし、それを育てる地域の協力という豊かな土壌があったからだ」と地元の人たちに感謝の言葉も忘れなかった。
同校ではこの日、後藤さんの講演の前に「音楽のつどい」を開いて、お父さんお母さんたちや、祖父母に全校音楽や音楽を通じた遊びを楽しんでもらった。また今年も秋田振興建設からチェロ1台とバイオリン2台、それにホルン1台の寄贈があり、披露された。