イバラトミヨを守ろう

基盤整備でなくなる水路

捕獲して生まれ育った池へ放流(7月14日・木)
 

    県仙北地域振興局では、大仙市堀板地区で行われている「担い手育成基盤整備事業」に伴い、埋め立てで田んぼとなる水路に生息しているイバラトミヨ雄物型(ハリザッコ)などの生物を保全しようと14日、イバラトミヨ捕獲作戦を展開した。北畑神社近くの湧水池から水路に流れ出たもので、午前中だけでも約390尾も捕れ、生まれ育った池に放流した。

  同整備事業は、大区画を主体にした整備と農地の利用集積を一体的に進め、生産コストの大幅な削減と田畑輪換が可能な汎用(はんよう)耕地を創設し、大豆や野菜など畑作物の生産拡大を図ろうと進められている事業。工事は5年前から始まり、06年度までに終わる予定。

  受益面積は271ヘクタールで、うち旧仙北町が261ヘクタール、旧千畑町が10ヘクタール。関係戸数は旧仙北町が261戸、旧千畑町が10戸。総事業費は43億6600万円。うち国が50%、県30%、地元20%の負担となっている。

  しかし、区画整理で田んぼになる板見内地域の水路から、秋田県版レッドリストで絶滅危惧種にランクされているイバラトミヨの生息が確認された。このため、秋田大学教育学部の小笠原こう名誉教授を委員長とする「農業農村整備事業に係わる生態系保全対策検討協議会」の指導を受けて03年から2年間かけて、水路約3700メートルを調査。

  その結果、池から流れる水を受け入れるための新たな水路(延長約900メートル、幅1メートル、深さ50センチ)を造って、そこを生息地とすることにした。水路はコンクリートは使わず、自然に近い状態にするため土を掘り下げたもの。そしてイバラトミヨが現在、生息している水路から水草のバイカモ(梅花藻)やミクリなどを移植、さらに水路の底土も新しい水路に移すことにした。また水路の斜面もコンクリートは使わず、玉石を積むなど自然環境の保全に努めることにしている。これによって工事費も掛かり増しになるが、その分は受益農家に負担を求めず、県で負担する。

  この日のイバラトミヨ捕獲作戦には事業主体となっている県仙北平野農村整備事業所の職員や地元の市議、堀板地区土地改良組合や開堰水利組合の役員、それに仙北総合支所農林振興課職員らで結成した堀板地区環境保全連絡調整会議の会員、工事請負業者の社員ら約50人が出て、水路にたも網を入れてすくい捕った。

  たも網にはイバラトミヨだけでなく、ドジョウや二枚貝、背中に卵を背負うコオイムシなど小動物もいっぱい捕れた。そしてバケツに入れて、イバラトミヨを除く小動物は下流の水路へと放流し、イバラトミヨは元々の生息地である湧水池に放した。

  イバラトミヨは体長5〜6センチの小さな魚で、背中に8〜10本のトゲがある。わき水などきれいな水にしか生息できない。また、ハリザッコとも呼ばれ、氷河期の生き残りとも言われ、美郷町六郷の湧水群のほか仙北郡内の湧水地帯でも観られる。

※本紙から=小笠原こう名誉教授の「こう」の字は「日」の下に「高」と書いたものです。