美郷町「学友館」

伊藤博次洋画展始まる

抽象画の中にもメルヘンな優しさ(7月29日・金)
 
作品は「北埠頭」

  美郷町六郷の「学友館」で、29日から故・伊藤博次洋画展「おだやかな時の中へ」が始まった。伊藤氏は1919年、秋田市生まれ(生家は料亭『秋田倶楽部』)、41年に帝国美術学校(現武蔵野美術大学)を繰り上げ卒業。横浜シネマ研究所、朝日映画社に勤務後、帰郷して秋田初のデザイン工房「新協工芸玩具研究所」を設立、県内初の二科展を開催し、61年から20年間、武蔵野美術大学通信教育の青森・秋田・山形地区の試験官を務めた。

  また秋田美術作家協会長、県優秀美術作品収集委員に就任、77年にはサロン・ドートンヌ展(パリ)に入選、そして81年からは県芸術選奨選考委として活躍。県内美術界に大きな功績を残し、県文化功労章や地域文化功労章文部大臣表彰、97年には紺綬褒章を受け、99年9月に心不全で亡くなった。80歳だった。

  伊藤氏の絵は抽象画だが、どこかメルヘンな画風で、優しさと物語を感じさせる。学友館では昨年3月、妻の恵美子さんから15点の作品の寄贈を受け、保存していた。今回はさらに横手市の県立近代美術館から伊藤氏の作品6点を借用し、初めての作品展を開くことにした。

  会場にはガラスに描いた「空と海と砂と」(F0号)の小品から「アルミ色の風」(P100号)、「三日月の赤い夜は」(P60号)、「冬B」(P80号)など大作も。作品は20代に描いたものから、晩年のものまでとバラエティに富んでいる。

  風と海をテーマにした絵が多く、「北埠頭」(P30号)、「ある日」(P50号)などは風の中に不思議な生命感を感じさせる。また海を描いたブルーや砂漠を描いた黄色の色彩は伊藤氏の個性と言うべきか、洗練された色づかいで魅せられる。晩年になればなるほど絵への発想が若々しく、解き放たれた美を表現し、見ごたえがある。

  伊藤氏の作品展は8月31日まで。開館時間は午前9時から午後7時(入場は午後6時半まで)。毎週・月曜日休館。入場料は一般・大学生以下300円、高校生以下無料。