大賞の部、優勝は男性の高橋さん
聴衆、唄い手の声、調子にうっとり(6月13日・月)
第17回秋田おばこ節全国大会は12日、大仙市大曲市民会館で開かれた。大会には大賞の部に県外を含め69人、65歳以上の熟年の部には73人、中学生以下の年少の部には14人が出場。大賞の部では最終的に20人が決勝に進み、競い合った結果、山内村の会社員・高橋一郎さん(55)が優勝した。
おばアーこナー 何んぼになる 此の年 暮らせば十と七つ
秋田の民謡を代表する「秋田おばこ節」は1922年(大正11年)、田沢湖町神代出身の佐藤貞子が「全国芸能共演大会(東京)」で唄って日本一に輝いたのを機に、その貞子が吹き込んだレコードが爆発的ヒットとなり、全国に普及した。
秋田おばこ節全国大会はその唄の伝承と普及を図りたいと始まった。秋田の野山で明るくのびのびと働く若い女性をたたえた唄と言われるこの民謡は、格調のある曲と素朴な歌詞で、多くの民謡愛好家を魅了している。午前9時から始まった大会には約300人の聴衆が席を埋め、「同じ唄でも唄い手で味わいが違ってくる」と一曲一曲ごとに目を細め、拍手を送って楽しんでいた。決勝は午後4時過ぎとなったが、観客は最後まで唄の競演に耳を傾け、酔いしれていた。
決勝に残った20人の唄が終わってからは過去の大会での優勝者3人による唄の競演というアトラクションもあったが、観客は審査結果を確認しなければと固唾を飲んで見守った。最後の幕が上がって決勝に残った20人と審査員、大会関係者が勢ぞろいするとホールからは大きな拍手が沸いた。
大会副会長で大曲商工会議所の高柳恭侑会頭は「唄い手の熱唱と皆さんのおかげで滞りなく大会が終了した。第1回大会からこの唄を聴いているが、格調の高い民謡であり、この大会がこれからも続けられることを期待する」と祝った。審査員を代表して財団法人日本民謡協会秋田県連合会の佐々木實委員長は「秋田おばこ節は昔は踊り唄だったが、コンクールとなってからは唄をじっくりと聴いてもらいたいと唄のテンポも変わってきた。このため、最近は節回しより声のきれいさで聴かせようとしている。昔ながらの味わいのある節回しが聴きたい。また伴奏より唄が遅れ気味な面もあり、唄の雰囲気に乗れずに終わった人もいる」とテンポを大事に唄ってもらいたいと講評していた。
大賞に選ばれた高橋さんは5年連続出場しての快挙だった。審査結果に信じられないような顔をしていたが、優勝旗を手に再び唄を披露。そして「若いころは歌謡曲をやっていて、本格的に民謡を勉強しはじめたのは7〜8年前からだった。今日は基本に基づいた唄の〃こぶし〃をどうクリアするかと、それを大事に唄った。優勝の喜びは家族に一番最初に伝えたい」と感想を述べた。
高橋さんには賞金10万円のほかトロフィー、内閣総理大臣杯、知事杯、大仙市長杯など多くの賞品が贈られた。準優勝は5万円、第3位は3万円、敢闘賞は1万円だった。また熟年の部最優秀賞は賞金3万円、優秀賞は2万円、敢闘賞1万円。年少の部の最優秀賞には5千円の図書券、優秀賞2人には3000円、奨励賞(全員)には2000円の図書券が贈られた。
成績は次の通り。
◇大賞の部▽優勝=高橋一郎(山内村)▽準優勝=大塚有朗(千葉県)▽第3位=深瀬康子
◇熟年の部▽最優秀賞優勝=佐々木勲一(大潟村)▽優秀賞=佐藤レイ子(田代町)▽敢闘賞=平柳良蔵(羽後町)
◇年少の部▽最優秀賞=畠山栞(比内町)▽優秀賞=地主和希(田沢湖町)、伊藤香(湯沢市)