少子化対策へ

県で子育て促進専門員を配置

企業の子育て支援意識の向上を目指す(6月14日・火)

  少子化が国の重要な政策課題となっている中、県健康福祉部子育て支援課では今年度から県内3地区に「子育て促進専門員」を配置して、企業の子育て支援意識の向上を目指して活動している。専門員が企業を訪問し、子育てしやすい職場づくりへの理解と今年4月から施行された「次世代育成支援対策推進法(次世代法)」に基づく「一般事業主行動計画」の提出を求めているもの。しかし、「子育て専門員」という県職員の認知度も、また次世代法という法律の周知度も低く、専門員は「企業の理解を求めてひたすらお願いに歩くだけ」と話す。県南には横手市の平鹿地域振興局福祉環境部に2人の専門員がいて、大仙市を含む3市3郡の企業訪問活動をしている。

  藤原淨(きよし)主査と澤橋亨主任がその専門員。2人はこの4月から活動している。対象となる企業は従業員が300人以下で20人以上の企業。専門員によると対象となる企業は大仙市・仙北郡で283、横手市・平鹿郡175、湯沢市・雄勝郡160の合わせて618事業所。一般企業だけでなく、医療機関、保育所、老人介護施設なども含む。

  訪問はいつも二人がコンビを組んでだが、実質的な活動を起こしたのは5月からで、これまで11事業所を訪問した。二人は厚生労働省・都道府県労働局が発行したリーフレットと「仕事も子育ても」と題した県のパンフレット、それに自前で作成した説明用の資料を手に企業訪問している。

  次世代法で子育て支援のための「一般事業主行動計画」を策定し、都道府県労働局への提出が義務づけられているのは従業員301人以上の企業。300人以下はその策定・提出は「努力義務」だけ。しかし、県内で301人以上の企業はわずかに74社しかなく、99%は「努力義務」。だが、深刻な少子化が進んでいる秋田県としてはこの「努力義務の企業にこそ、子育てしやすい職場環境になるよう頑張ってもらわないと少子化問題は前に進まない」と全国的にも例のない「子育て専門員」という職員の配置に踏み切った。

  「育児介護休業法」では男性でも1年をめどに最長で1年6カ月まで休業が認められているが、次世代法に基づく「行動計画」ではその法律の定めを超えた2〜3年の休業制度を取っている企業の事例などを示し、子育て支援に向けた企業の自主努力を求めている。また子どもの病気のための看護休暇もより利用しやすい休暇措置の実施や育児などで退職した人の再雇用特別措置の実施など仕事と家庭生活の両立を支援するための雇用環境の整備を目標例として挙げている。

  利益優先の企業にとってはいわば〃取り組みにくい〃事業だ。それだけに県南の二人の専門員は「今のところ、この企業なら前向きに取り組んでもらえるのではと当たりをつけて訪問している」のが実情。だから、これまで訪問した11企業はいずれも「検討してみたい」「いずれはやらなければならないと思っていたので……」と前向きの姿勢を見せてくれた。

  問題は「次世代法」という法律そのものさえ認知してない企業。今年4月から施行されたばかりだけにまだその法律の存在をPRする段階。労働局には行動計画提出が義務づけられている企業に対して、未提出の場合、督促状の送付や勧告処分などの権限があるが、県にはそうした命令権もない。二人の「子育て促進専門員」は「何とか少子化に歯止めをかけるため、企業に理解とお願いをするだけです」とひたすら協力を求めての企業訪問となっている。

  企業だけでなく県南3市の商工会議所と各町村の商工会にも顔を出し、協力を求めている。「会員向けの会報に掲載しましょう」と前向きな返事もあったという。二人は「少子化がこのまま進んだら、企業が優秀な人材を確保することが困難になるばかりでなく、消費者の減少で市場の縮小など社会経済への影響も懸念される」と呼びかけ、子育て支援の行動計画策定で▽労働意欲、生産性の向上▽質の高い労働力、熟練労働力の確保などで企業の活性化、競争力、企業価値の向上につながると訴える。