合併か単独立町か

角館町の出直し町長選告示

元助役の石黒氏、前町長の太田氏が立候補(3月8日・火)
 
石黒直次候補
太田芳文候補

  合併か単独立町かを問うて町長が任期を約3カ月残して辞職した角館町の出直し町長選挙と町議会議員補欠選挙(欠員1)は8日告示され、町役場で午前8時半から立候補の受け付けをした結果、合併推進を訴える元同町助役の石黒直次氏(64)=表町下丁・無所属=と自立を求めて辞職した前町長の太田芳文氏(57)=田町上丁・無所属=が届け出た。午後5時に締め切られた結果、両氏の一騎討ちが確定した。一方、町議選補選にはいずれも新人で無所属の辻均氏(57)=八割字八割・農業=と高橋佐知(さおき)氏(37)=東勝楽丁・会社役員=が届け出た。

  石黒氏は岩瀬字勝楽の旧家具店に設けた事務所で午前8時半から神事を行って必勝を祈願。出陣式で総括責任者の佐藤勇太郎氏は「今度の選挙は県下一円から注目されている。合併か自立かの重い課題を抱えた選挙戦であり、石黒候補は合併をかけて立候補した」と支持を求めた。

  石黒陣営には合併推進派の正副議長ら町議11人と西木村の田代千代志村長、それに同村議、田沢湖町議らも顔を出した。田代村長は「3町村合併の立場からここへ来た。町長は誰のためにあるのか。太田さんは自分のメンツのため、合併協議会から離脱した」などと呼びかけ、石黒氏の当選で田沢湖町、西木村、角館町の合併協議会への復帰を求めた。

  石黒氏は約150人に膨らんだ支持者らを前に「今度の選挙こそ夢のある地域に育てていくための絶好の機会だ。田沢湖町、西木村、角館町が手を取り合ってお互いの資源、活力を結集し、次の世代へ引き継いで行きたい」と訴えた。

  一方の太田陣営では町中心部の下中町に事務所を構え、午前8時から神事を行って必勝を祈願。そして午前9時から近くの立町十字路で第1声のマイクを握った。太田陣営には自立派の町議8人と2月10日の町議会で合併協議会廃止案が否決されたのを受けて辞職した自立派の前町議も顔を出し、90人ほどの支持者の集まりとなった。

  自立派の熊谷佳穹町議は「太田さんは町の歴史と文化を守りたいと自分の信念を曲げずに辞職した。単独立町のため思い切った改革をしていこうとしている。小さくてもキラリと光る町を目指そう」と訴えた。さらに総括責任者の石川円氏は「太田さんは条件の整わない合併よりも自立の道を選んだ。ごまかしや駆け引きのない、おおらかな人柄を再び行政に生かしてもらわなければならない」と支持を求めた。

  最後に太田氏は「行財政計画をやっていくことで合併しなくてもこの町は単独で充分やっていける。380年間守ってきたこの町を、行財政の破綻でよその町に売ってはいけない。しっかりとした方向に持っていき、全国に誇れる町として小さくても光り輝く町として次の世代に引き継ごう」と訴えた。

  石黒氏は先月22日に「合併特例債適用期限内の3月末までに合併申請を目指したい」と出馬を表明。合併推進を望む町議や町民、それに女子高の角館南高校と角館高校の並列存続を実現する会の事務局長として南高校OBの婦人らの支援が広がっている。一方の太田氏は2月10日の議会で合併協議会廃止案が否決された後、17日に戸沢清議長に辞職願を提出、21日付で辞職後一貫して「田沢湖町、西木村との信頼関係を構築できないままの合併は町のためにもならず、町民の幸せにもならない」と訴えてきた。自立派の町議や角館高校同期生、それに観光協会、角館工芸協同組合など主要団体や自立を望む町民の支援を受けている。

  石黒氏は▽交流による振興発展を目指す地域づくり▽次世代を担う人材育成─などを公約に掲げている。

  太田氏は助役、収入役の廃止、町長の報酬30%カット、職員給与の階級的削減など行財政のスリム化をメーンに、町民の声を反映させる町政の実現などを公約としている。

  投開票は13日午前7時から午後7時まで町内16カ所で行い、午後8時から町役場西側庁舎3階大会議室で即日開票される。町長選の大勢の判明は午後9時ごろで、町議補選は同10時半ごろの見込み。

  石黒氏が当選した場合は任期は2009年3月12日までだが、太田氏が当選した場合は1期目残りの6月16日までとなる。3月7日現在の有権者数は1万1963人(男5484人、女6479人)。

  石黒直次氏=1940年4月18日生まれ。角館高校を経て東北大学院工学研究科修士課程を修了。神戸製鋼所、横手精工の工場長在職後、94年4月から同町助役を1期4年間務めた。現在は公開中の石黒家を管理している「ひいらぎ企画」社員。

  太田芳文氏=1947年8月2日生まれ。角館高校を経て、東京農工大学農学部、同大学院農学研究科卒。王子緑化勤務後の89年、角館町の厨房家具製造のエムプレスに入社し取締役社長、田町武家屋敷ホテル会社会長、町教育委員長、町観光協会理事、商工会理事などを歴任。01年5月20日の町長選で現職ともう一人の新人とを交えた三つどもえの選挙戦を勝ち抜いて、初当選した。