大仙市の株式会社セーコン
第1回ものづくり日本大賞で優秀賞(11月8日・火)
花火作りの常識を覆したと言われる「生分解性樹脂(プラスチック)」を用いた花火の玉皮の開発の成功で、第1回ものづくり日本一大賞の「ものづくり名人」として優秀賞を受賞した大仙市北楢岡の株式会社セーコン(本社・横浜)の今東久雄社長らが8日、栗林次美市長を訪れ、受賞の喜びを報告した。
内閣総理大臣表彰の「ものづくり日本大賞」は日本経済・文化の発展を支え、豊かな国民生活の形成に大きく貢献してきた「ものづくり」を着実に継承し、発展させていくために生産現場の中核人材や伝統的・文化的な「技」を支えてきた熟練、若年人材から優秀と認められる人材に総理大臣賞及び経済産業大臣賞を贈ろうと設けられた。今年8月2日に受賞者が発表されている。
優秀賞に輝いたセーコンは旧神岡町出身の今社長が1972年に横浜市にプラスチック成形加工の製作所として創業。82年に郷土にプラスチック成形の量産工場として秋田工場を開設、そして84年には株式会社セーコン製作所として法人登記した。エンプラ、スーパーエンプラ樹脂の超精密成形を得意とした金型の設計製作を含む一環生産体制で環境や地域、自然との調和をテーマにした製品開発を行ってきた。90年7月に社名を現在の株式会社セーコンとした。従業員は40人。
花火の玉皮は幼いころから花火が好きでたまらなかった今社長が、いつか仕事でその花火に関わってみたいと思っていたところ、「産学官のリサイクルプロジェクト」が秋田県でも実施されると知って、参加を決意。環境に優しい素材として注目されていた「生分解性樹脂」を花火に利用できないかと「生分解性プラスチック玉皮」の開発を思いたった。
しかし、開発には花火業者の協力が不可欠。今社長は大仙市内小友の小松煙火工業に協力を求めた。だが、生分解性プラスチックだけで作った「玉皮」は上空で破裂した後、大きな破片のまま落下したり、半球のまま落下するなどで実用化するにはほど遠かった。しかも、花火自体も丸く広がらないという問題も生じた。このため破片をどう細かく分解させるかが課題となり、その試行錯誤の繰り返しとなった。
そうした折り、プラスチックコンサルタントから「玉皮を不均一な構造にすべきでないか」とのアドバイスを受けて、県工業技術センター(現・県産業技術総合研究センター)に技術協力を求めた。そして生分解性プラスチックに木粉やもみ殻などの天然有機材をブレンドした結果、花火が爆発した時の圧力で破片は細分化、しかも地上に落下しても土中や水中の微生物で完全分解されるのが分かった。これで破片落果による事故防止につながり、さらに燃え殻も残らず、玉皮は爆発時に細片化するため、花火の色の素となる火薬が均一に飛び出すことからよりきれいな丸い花火にもなった。
これまで花火の玉皮は打ち上げ時の燃え殻が地上に散乱して環境問題になったり、落下して建物や車にあたって害を及ぼしたり、花火を製作する過程でクラフトを貼っては乾燥を繰り返すなど多くの問題を抱えていたが、新開発の玉皮はそれらを一気に解決するものにつながった。
同社ではその花火を「環境に優しく安全で品質の良い花火(Beautiful Ecology Safety Tecnology……B.E.S.T)」という意味を込めてBESTシリーズとして発表。そして2.5号から10号までの紙製の玉皮の花火と生分解性の玉皮の花火の爆発の瞬間を1秒間に500コマの超高速映像で撮影、世界初のデーターも集め、03年には完成させた。今年の全国花火競技大会「大曲の花火」では小松煙火が実際にその玉皮を使った花火を535発を打ち上げ、関係者から「従来の花火に優るとも劣らない」との評価を得た。
今回の受賞では今社長を代表に開発者としてセーコンの石川剛、小松国夫、菅原正美、藤井良人、小松煙火の小松忠二、小松忠信、実験協力した日本油脂株式会社の村田健司、県工業技術センターの鎌田悟、工藤素の9氏の名が連ねられている。
栗林市長に受賞報告のため訪れた今社長は「第1回ものづくり大賞優秀賞という素晴らしい賞を受賞できたことは弊社にとって大きな活力となり、今後更に技術を磨き、あらゆる分野に邁進していこうとの決意にもなった」と喜びを語る。
開発した生分解性プラスチックは花火の玉皮だけでなく道路建設現場の緑化のため植採する芝生のネットを止める杭としても使われるなど新素材として注目されている。