仙北市長選、火ぶた切る

初のリーダー求めて

田沢湖、角館、西木の地域戦へ(10月23日・日)
 
佐藤候補
田代候補
石黒候補

   田沢湖、角館、西木の3町村が合併して9月20日に誕生した新市「仙北市」初の市長選が23日、告示された。立候補届出の受け付けは午前8時半から田沢湖庁舎で行われた結果、届出順に旧田沢湖町観光商工課長・佐藤善昭氏(55)=田沢湖刺巻字明戸・無所属=、旧西木村長・田代千代志氏(56)=西木町桧木内字松葉・同=、旧角館町長・石黒直次氏(65)=角館町表町下丁・同=が立候補、三つどもえの戦いとなった。

  佐藤氏は今年3月に田沢湖町役場を退職。8月15日に「町職員として観光商工部門の担当が長く、その経験を基に3町村の特色を生かした新しい町づくりに取り組みたい」と出馬を表明。以来、精力的に地域での座談会をこなし、「農林業こそ仙北市の根幹産業」と農村・農家を元気づけ、「日本一のアイディア市政で活性化を図りたい」と支持を訴えてきた。

  20日に田沢湖町民会館で開いた総決起大会には約1000人の動員力を見せた。田沢湖生保内字野中の選挙事務所前で23日に行われた出陣式には約500人の支持者が駆けつけた。マイクを握った佐藤氏は「ようやく今日の出馬を迎えた。私はお年寄りから子どもまで生き生きと生活する楽しい仙北市を目指したい。都会から来る多くの人がこの仙北市に住んでみたいと心から思える市にしたい。そのためにはクリーンで公正、公平な市政が大切。慣例や慣習、しがらみを取り除いて、当たり前のことを当たり前のようにやる。遅れているところは進め、一生懸命頑張るところは応援し、職員一同が民間の発想で、農業を元気づける観光の町としたい」と訴えた。

  田代氏は8月12日の旧西木村臨時議会で「合併協議会の副会長として合併後の地方自治のあり方も勉強した。新市のため命をかけて頑張りたい」と出馬表明。西木町小渕野字中関の国道105号沿いに後援会事務所を構え、旧西木村長として9年間の実績を背景に「市民参加の新市づくり」を訴えながら、浸透を図ってきた。22日に西木温泉「クリオン体育館」で開いた総決起大会には約800人の支持者が詰めかけ、必勝に向けて団結した。

  出陣式には約300人の支持者が集まった。マイクを握った田代氏は「合併に至るまでの2年9カ月間、最初から協議を進めてきたのは私だけだ。住民のため合併を進めてきた者として責任がある。大きな町2つと小さな村1つの合併だが、町部、農村部のどこに住んでいても仙北市民として同じ恩恵を受けるようにしなければならない」と訴えた。そして「観光産業で北東北の拠点都市を目指すが、すべての市民がこの観光産業に携われるよう、農業も林業もその産業に連携するようにしなければならない。そのためには未整理の田んぼの基盤整備も実施しなければならない。さらに少子高齢化を始めとする福祉の問題もある。福祉は一人ひとりに市が携わっていくような福祉にしなければならない。住民一人ひとりの考えが市政に反映できる町づくりをしたい」と強調した。

  石黒氏は8月12日に旧角館町臨時議会で「新市民となる皆さんがトップリーダーに期待し、求めているのは『民間企業的感覚とセンス』だと思う。合併協議に参加し、調整に携わってきた一人として合併後の課題を解消し、合併の目的、効果にまで結び付けていくのが私に課せられた責務だ」と出馬を表明。農・工・商一体となっての「北東北の観光拠点都市づくり」で雇用の拡大と定住人口の増加を重要課題に支持を訴えてきた。角館町岩瀬字勝楽に後援会事務所を構え、16日に角館広域交流センターで開いた総決起大会には約600人の支持者が結集し、必勝を祈願した。

  この日の出陣式にも約500人の支持者が詰めかけた。マイクを握った石黒氏は「新しく誕生した仙北市の市長を選ぶ選挙が始まった。この地域の方向を選ぶ選挙でもある。合併して3つの地域が一つになったことを忘れてはならない。同時にその地域の個性や特徴を大事にし、融和を図り、心ゆたかな仙北市を目指したい」などと訴え、選挙カーに乗り込んだ。

  22日現在の有権者は男1万2683人、女1万4674人の合わせて2万7357人となっている。地域別の有権者数は田沢湖1万487人、角館町1万1932人、西木町4938人。角館町が有権者の約44%を占める大票田となっている。

  今度の選挙戦、佐藤氏は町長、村長経験者の2人に比べ、知名度が低いこともあって、顔と名前を売り込みたいとあいさつ回りに全力を注ぎ、地盤の田沢湖町での組織的な支持固めに重点を置いた。一方の西木町を地盤とする田代氏は有権者が田沢湖、角館地域に比べ半分にも満たない厳しい条件を背負っている。それを何とかクリアしたいと隣接する田沢湖神代への浸透を図る一方、高校時代の同級生のつてを頼りに角館町にも精力的に足を運んで支持者の拡大を図ってきた。石黒氏は地元・角館町からの票の流出を最低限に防ぐことを重要課題に西木町西明寺地区や田沢湖地域からの手がかりを求め、浸透を図ってきた。

  運動は29日までで、30日午前7時から午後7時まで市内43カ所で投票が行われ、午後8時半から角館広域交流センターで即日開票される。大勢の判明は午後11時ごろになる見通し。

  佐藤善昭氏=角館高校、東京農大農業経済学科卒。1973年、田沢湖町役場入りし、観光商工課長補佐、企画調整課参事などを歴任。2000年から今年3月退職するまで観光商工課長を務めた。現在は農林業。

  田代千代志氏=角館高校卒、亜細亜大学中退。旅館、割烹、生鮮食料品販売の家業を引き継ぐ一方で、旧西木村議を経て、96年8月の村長選に出馬して初当選、合併で自然解職となるまで連続3期、村長を務めた。現在は団体役員。

  石黒直次氏=角館高校、東北大学院を卒。会社員を経て、1994年4月から1期4年間、角館町助役に就任。退任後は公開中の武家屋敷「石黒家」を管理している「ひいらぎ企画」社員となったが、合併協議会からの離脱に単を発した3月の出直し町長選に出馬、初当選し、旧田沢湖町、旧西木村との合併に力を入れた。現在は文化財管理会社員。