御法川氏、二期目を飾る
「改革」の小泉劇場が追い風に(9月12日・月)
郵政民営化法案の参院での否決で突然の衆院解散となった第44回衆院選は11日、投開票された結果、秋田3区では自民党公認で前職の御法川信英氏(41)=大仙市=が2期連続当選を飾った。御法川氏の得票は11万4228票だった。政権交代で新しい政府をと民主党の公認で出馬した新人の京野公子氏(55)=湯沢市=は8万2480票で、トップの御法川氏に3万1748票の差を付けられた。元官房長官の村岡兼造氏の二男で同氏の公設秘書だった敏英氏(41)=由利本荘市・無所属=は7万9759票だった。御法川氏は03年11月の衆院選での初当選からまだ1年10カ月で迎えた総選挙だけに地盤がまだ固まっていないという不安もあったが、前職という知名度と自民党公認というブランド、さらに公明党推薦のバックアップを受け、手堅く票を取りまとめた。加えて小泉純一郎首相の「郵政民営化に賛成か、反対かを国民に問う」と言う劇場型選挙も追い風となって押し上げた。
開票作業が進む11日夜。JR大曲駅前の事務所には出口調査の結果、御法川氏優勢の情勢に午後8時過ぎから報道各社の記者が駆けつけ、テレビカメラの放列が敷かれた。さらに朗報を待つ支持者で事務所はいっぱいとなり、熱気に包まれた。
そして午後9時20分ごろ、テレビが「御法川氏当確」を報道すると事務所内は「ヤッター!」の歓声が沸き上がった。「ノブ、ノブ」のコールも沸いた。その声に事務所奥の部屋に詰めていた御法川氏が汗だくとなって顔を見せた。満面に笑顔をたたえていた。その喜びの体を全身で受け止めたいと抱きしめる男性支持者もいた。
檀上に上がった御法川氏はマイクを向けられると「新人と同じと思ってチャレンジャー精神で取り組んだ」と述べ、「握手してくれた皆さんからは必ずやって下さいと励まされた」と喜びを語り、「本当にありがとうございました」と頭を下げた。さらに「今回の選挙、前回の初めての選挙とはまた違った厳しさがあった。しかし、その厳しさを乗り越えられたのは有権者の皆さんの『御法川ガンバレ!。負けるな!』と言ってくれた支援のたまもの。その気持ち、心の全てを東京に持っていき、国会にぶっつけていく」と感激しながら勝利の喜びを語った。
総括責任者で元太田町長の高貝久遠氏は「天の利という小泉劇場に支えられ、地の利という大曲仙北に助けられ、そして我が陣営の人の輪によってこの勝利がもたされた。最後の最後まで御法川ガンバレ、御法川負けるなの支持者の声のおかげだ」と礼を述べた。
事務所には辻久男県議会議長、安杖正義県議、渡部文靖県仙北地域振興局長、そして栗林次美大仙市長、松田知己美郷町長らも顔を出していた。御法川氏の母・憲子さん(68)も駆けつけ、「ありがとう。ありがとう」と支持者と喜びを分かち合っていた。
今度の選挙戦、陣営には2期目のジンクスという懸念があった。しかも、前回は父・英文氏の死去に伴う弔い合戦という追い風、さらに無所属で自民党の大物代議士である村岡兼造氏に挑戦するとい構図に民主党の支持者から社民党、それに連合など非自民系が後押しして初当選を飾った。
だが、初当選から10カ月後の04年9月、御法川氏は自民党に復帰。それによって非自民支持者は御法川氏に対して距離を置くようになった。高貝氏は危機感を抱いて、出陣式で「雄平仙に芽吹いた若葉を育ててほしい」と有権者の琴線に触れる言葉さえ遣って支持を求めた。
一方、自民党本部も公示前の8月29日の総決起大会には加藤紘一元幹事長を、そして公示後の1日の湯沢市川連町での遊説には福田康夫元官房長官、2日には武部勤幹事長が大仙市入りし、8日には谷垣禎一財務大臣が美郷町畑屋で応援演説をするなど次々とてこ入れ、有名人による話題性で動員力を発揮した。
人懐っこい笑顔と飾らない秋田弁、明るいパフォーマンスで握手を求め、マイクを握ると「自民党は郵政だけでなく年金のこと、介護、医療の問題、さらに県民が心配しているこれからの農業のことも考えている。私はこの秋田を良くするため、命をかけて頑張る」と日増しに説得力も高め、ブームを巻き起こした。
一方の京野氏は「母ちゃんパワーで元気な秋田に」を合言葉に「子育て支援、年金改革で安心して生活できる社会を」と訴え、民主党への政権交代を強く求めた。しかし、県議からの衆院選への転身が8月8日の衆院解散後という出遅れと湯沢市以外では知名度の低さもあって伸びきれなかった。だが、女性支持者の掘り起こしで「ど根性!公子」のコピーも話題となって悔いのない足跡を残した。
村岡氏は地盤の本荘・由利地域では父・兼造氏の手堅いブランド票は磐石だった。また16年間の秘書生活時代、横手事務所を担当したことから横手・平鹿の首長を中心に有力な人脈もあって期待されたが、「人を動員する選挙はやりたくない」という本人の意向とは逆に支持する建設業を中心とした人集めが次第に先走り、街頭演説を通じたソフトで誠実な語り口は浸透しきれないまま上滑りに終わった。
御法川氏の大仙・仙北地区での得票は5万8816票で62.1%の得票率だった。京野氏は2万3325票で、24.63%、村岡氏は1万2576票で、13.28%だった。本荘・由利地区では御法川氏1万5133票で、21.13%、京野氏1万4593票で、20.38%、村岡氏4万1892票で、58.49%だった。横手・平鹿地区では御法川氏2万4089票、38.10%、京野氏2万2195票、35.11%、村岡氏1万6939票、26.79%。湯沢・雄勝地区では御法川氏1万6190票、34.51%、京野氏2万2367票、47.68%、村岡氏8352票、17.80%だった。
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