大仙市議選
66台の選挙カー[「お願い」へと東奔西走中(9月14日・水)
大仙市に続いて美郷町でも町議選が始まった。大仙市では定数30議席を巡って新人11人、現職55人が出馬。66台の選挙カーが有権者への呼びかけのため東奔西走し、あちこちで鉢合わせしている。賑やかな「お願い」コールが商店街に、住宅街に、農道に、そして山間(やまあい)に響き、17日までの激戦があちこちで展開されている。13日告示された美郷町でも同じだ。
ただ町議選と市議選で違うのは市議選の場合、立候補者は法務局に供託金30万円を届けなければならない。この供託金は確実に立候補することを保証する意味合いも兼ねており、決められた方式で計算された数以上の得票がないと没収される。一方で市議選の場合は選挙カーの借り上げや運転手の日当、燃料代、ポスターの印刷料、それに葉書代は公費でまかなわれるという候補者にとって利点もある。
しかし、供託金を没収されるような票数だと公費負担の該当にならず、立候補者自身が払わなければならない。それだけに市議選は市民の代表にふさわしい人物として地域から信頼されてないと立候補しても無駄な出費も重なる。
市選管によると選挙カーにレンタカーを使う場合、1日の限度額は1万5300円で、その7日分。燃料代も1日7350円、そして運転手への日当は1日1万2500円となっている。またタクシーを利用した場合は運転手、燃料代も含め1日6万4500円を負担する。
さらに選挙用ポスターの印刷代は1枚1019円を上限に掲示板の設置カ所548枚分となる。こうした公費負担を試算するとタクシーを使った場合、100万9912円となり、供託金を没収される選挙だと痛い出費も重なる。
供託金の没収対象は有効投票を定数(30)で割り、その10分の1以下の票となる。大仙市の有権者数は10日現在で7万9691人。投票率が仮に85%となると6万7737人となり、それを30で割ると2257。さらに10で割ると225という数字となる。しかし、有効投票での計算だから、実際はこの数字より下回る可能性もある。今度の選挙戦、この数字を下回る候補者はいないことを祈りたい。
66台もの選挙カーが走り回るだけに取材で走ると必ずどこかで選挙カーとぶつかる。多くの候補者は今度の市議選は地域戦と見て、自分の住んでいる旧市町村を舞台に選挙カーを走らせている。地元を固めないと戦いにならないと踏んでいるからだ。その一方で妻の出身地が「西仙北だから」、「高校時代の同級生が太田にいる」など少しでも地縁、血縁があれば境界を乗り越えて「1票でも稼ぎたい」と車を走らせる。
選挙戦を巡っては内助の功も大きい。ウグイス嬢に代わって妻も選挙カーに乗り込んだり、随行車に乗って頭を下げる姿も。西仙北地域から出馬した新人候補者の妻は「生まれ故郷に行ったら畑にいた人がツルナという野菜を持ってきて、これで票をいっぱい釣ってこいと言ってくれた。実家のある故郷はありがたい」と喜んでいた。
大仙市の面積は約866平方キロメートル。遠出を図る候補者にとってありがたいのは国道沿いにある「道の駅」のようだ。中仙地域の「道の駅」では13日、2台の選挙カーが「トイレタイムだ」と立ち寄った。鉢合わせとなった候補者はお互い笑顔ですり寄って「頑張りましょう」と握手を交わし、励まし合っていた。
一方、市の選管には「連呼の音がうるさい。スピーカーの音をもっと低くするよう指導してもらいたい」などの苦情も。スピーカーのボリュームは学校や病院の近くでは大きくしてはならないと選挙法で規制されているが、普通の場所での選挙運動ではその規制もなく、候補者とその陣営の良識に頼るだけ。
一方、各候補者にとって今回の選挙戦で苦労したのはウグイス嬢の確保。現職の場合、過去の選挙戦で使ったウグイス嬢を頼んでいるが、美郷町の選挙も重なって、そちらの方から早めの予約があって断られ、衆院選や参院選で応援した縁をツテに横手市や湯沢市の在住者を頼んだ例も。66人もの戦いだけに様々なエピソードも聞かれる。