写真と俳句の「写俳展」

大仙市かみおか嶽雄館

写真のイメージに俳句を寄せる(4月4日・火)
 
 古屋さんの写真と斉藤さんの俳句。   作品を背にした古屋さん。

  大仙市の「かみおか嶽雄館」で同市神宮寺在住の古屋貞志さん(67)の写真と斉藤淳子さん(61)の俳句を組み合わせた「写俳展」が開かれている。古屋さんの写真をイメージに斉藤さんが俳句を読み、写真と俳句を1枚のプリントにして展示しているもの。写真と俳句が一体となった新しい試みだ。

  古屋さんは地元で書籍や文具、酒、雑貨などを販売する店を営み、30代に入ったばかりの1970年から写真を趣味にしたいと風景をテーマに写し始めた。そして1983年に東北二科「日本フォトコンテスト賞」を受賞、85年には第70回二科展に入選。その後も県美術展で特賞、県写真協会展特選、2000年、01年には雑誌「一個人」の「日本の四季風景写真コンテスト」で大賞に輝くなど実績を残している。

  古屋さんが風景の中で追い求めるのは「雲」と「木」。草原や山の頂きを流れる雲をファインダーに収めたり、あぜ道で見つけた立ち木に焦点をあて、さりげない視線でシャッターを押している。しかし、映像化された古屋さんの作品は叙情的で詩のようだ。

  一方の斉藤さんは1976年から大曲俳句教室で進藤芽風氏から俳句の手ほどきを受けた。そして78年、秋田俳誌「ほむら」に入会、安藤五百枝氏に師事。俳誌「ほむら」廃刊後の92年「海」に入会し、高橋悦男氏に師事。96年「海」賞を受賞、99年には第42回日本随筆家協会賞を受賞し、2000年には随筆集「寒椿」を出版、現在、日本随筆家協会会員。

  今回の古屋さんの写真は岩手、青森、宮城など東北各地をフットワークにここ4〜5年の間に撮りためたリバーサルフイルムの中から40点を選んで、斉藤さんに俳句を依頼。古屋さんと斉藤さんはお互い近所であり、「いつか二人で写真と俳句の展示会をやってみたいね」と話し合った。斉藤さんは古屋さんの写真を見ながら俳句を作り、その句と共に古屋さんがワイド4つ切りに作品をプリントした。

  春。木々の根本から雪解けが進む光景を捉えた「根開き」の写真には「山中の空気つやめく  芽吹き前」の句。岩手山と満開の桜の木との組み合わせには「朝桜  太古のひかり放ちけり」と斉藤さんは読んだ。美しいモミジの紅葉には「寄辺なき  紅葉の枝は谷に延び」と寄せた。ススキと満月の写真には「花芒  夕日のぬくみ残りけり」と添えた。荒れる海の写真には「冬波の巌かむ音が咆哮す」とうたった。

  古屋さんは土曜日になると車に乗って撮影に出かけ、車中泊しながら東北各地を歩いている。観光地は避け、ひっそりとしたたたずまいの山や谷、川が古屋さんの撮影スポットだ。山の中でひっそりと咲く桜やこぶし、そして草原や田んぼのあぜ道で孤独にジッと耐えるような姿で立っている木が好きだという。

  将来はそうした木々だけの写真展「独木100景と題した写真展をやりたい。ほぼ半分は撮り終えたし、70歳までまだ3年ありますから、それまでは目的を達したい」と古屋さん。写真と俳句を組み合わせた「写俳展」は今月いっぱい開かれている。入場は無料。