通信制教育がスタート
生徒10人が入学、59歳の男性も(4月16日・日)
大仙市大曲須和町の私立「秋田修英高校(米沢薫校長)」の「通信制課程高校」がスタート、16日午前10時から同校多目的教室で初の入学式が行われた。通信制教育は高校に入れなかった人や高校を中途退学しながら、もう一度学びたいなどの夢や希望を持っている人たちに門戸を開放。入学した生徒たちは自分のペースで学習し、決められた日に登校して授業を受け、レポートを学校に郵送もしくは持参し、高卒の単位を取得できる。県内では秋田市の県立明徳館高校に次いで2校目。前期入学者として男子4人、女子6人の10人が入学した。中には「高校に入れなかった夢を達成したい」と59歳になる横手市十文字町の千田早智夫さんの姿もあった。
千田さんは中学を卒業後、理容師の学校に入って5年間、理容店をやっていた。その後は約30年間、生命保険の仕事をして2年前に退職。前々から「高校へ入りたい」の夢はあったが、通信制の高校があるのは秋田市だけのため通学が大変だとあきらめていた。そこへ秋田修英高校がこの4月から通信制課程を設けることを知って応募した。
同校は1959年に創立された県南唯一の私学。これまで4000人を超える卒業生を送り出してきた。その歴史と経験、さらに私学ならではの特徴を生かした「通信制課程」を併設したいと昨年4月から準備に取りかかり、県知事に書類申請し、10月に認可を得ていた。そして3月に前期入学者を募集、26日に作文と面接の試験を行った。
入学した千田さんを除く9人の生徒は16歳から19歳で、高校には入学したものの環境に馴染めないなどで中途退学。しかし▽自分のペースで学び、自分のできることに挑戦したい▽高校卒業資格を得て上級学校へ進学したい▽将来、看護師を目指したいなどの希望を燃やして入学を決意した。
一方の千田さんは「遺跡を見て歩くのが好きなので、高校では歴史を学びたいと思っています」と抱負を語る。妻と娘さんは十文字町で理容店を経営。「40年も勉学から離れていたので、果たして数学や理科、英語など学べるか分からないが、娘からも手伝ってもらい、若い人たちの足手まといにならないよう頑張りたい」と話す。
入学式を前にした教室は和気あいあいの雰囲気で、笑い声が絶えなかった。そうした中で千田さんは一番前の席に座って背筋を伸ばしていた。午前9時半、担任となった佐々木秀隆先生が教室を訪れ、入学式の説明を始めた。10人の生徒たちはそれを静聴した。男子生徒の一人は「こう言うムードって久し振り」と嬉しそうに目を細めた。そして「勉強は余り好きじゃないが高卒の資格は取りたかった」と話した。
入学式には保護者も出席。米沢校長は10人の生徒の入学を許可した後、「本校は創立以来、今年で48年目を迎えた。その歴史と経験を生かし、本年度から通信制課程を併設し、スタートすることになった。本日がその出発の日であり、皆さんの入学を心からお祝いしたい」と歓迎。そして「本校志望に当たって、皆さんの作文を読ませてもらった。その作文からは学び、向上したいとする気持ちが伝わって来るものだった。そして高校生活を通じて一人ひとりが、なし遂げたい目標も持っていた。私たち教職員も私学ならではのきめ細かい通信制を目指し、皆さんの期待に応えたい」と式辞を述べた。
生徒を代表して遠藤里佳さん(16)が「高校生としての自覚を常に持ち、限られた時間を有効に過ごし、一人ひとりが自分の将来の目標に向かって勉学に励みたい」と誓いの言葉を述べた。最後に20人の教職員が紹介され、入学式は終えた。
生徒たちはこれから自宅で国語、数学、理科、英語、そして世界史、日本史など地歴公民、さらに保健体育や総合家庭、情報処理など商業情報を学ぶ。そして月2回から3回、日曜日に開かれるスクーリングに通って、授業を受ける。通信制課程は後期として9月にも生徒募集が行われる。