大仙市、小中一貫教育も視野に
学校づくり将来構想検討委員会を設置(8月10日・木)
少子化で、児童生徒の急速な減少傾向にある大仙市では小中学校の統廃合や小中一貫教育も視野に入れた教育環境の整備を急がなければならないとして、有識者や学校教育関係者、保護者代表15人による「大仙市学校づくり将来構想検討委員会」を立ち上げていたが、その第1回目の検討委員会を10日、広域交流センターで開いた。
検討委員会には委員15人のうち12人が出席。始めに三浦憲一教育長は「教育委員会では、少子化での児童生徒の減少や小中学校の老朽化による教育環境の整備を課題に『大仙市学校づくり構想検討委員会』を立ち上げようとしている。今後の新しい時代を展望した教育、あるいは教育環境の整備のあり方について皆さま方から提言を頂き、方向性を見出したい」とあいさつ。
そして前大曲高校長で、県教育委員会学校指導員の物部長仁さん(協和)を委員長に、県立図書館長の濱田純さん(秋田市)を副委員長に選出し、検討委員会は始まった。
事務局側から大仙市学校教育の現状報告があったが、それによると同市では幼稚園8、小学校31、中学校12あり、児童数4651人、生徒数2609人となっているが、5年後には児童数が600人、生徒数が300人の計900人もの減少が予想されている。しかも、小学校では児童数90人未満の小規模校は31校中12校(38%)もあり、児童数や学級数の減少に伴い、複式学級の増加も大きな課題となっている。
一方の中学校も06年度は全校生徒100人未満は12校のうち1校だけだが、6年後の2012年(平成24年)には4校にまで増加する。
教育委員会ではいずれの小規模校でも、特色のある教育活動を展開し、学校を活性化しながら、子供一人ひとりに応じたきめ細かな学習活動を工夫し、実践しているが集団の中で社会性を育て、集団との関わりの中で豊かな「人間力」を育むには小規模校の教育活動には限界があるという。このため、大仙市の将来を見据え、全市的視野、教育的見地から学校の規模、配置、通学区、施設などについて市民の意見を聞きながら見直しをする時期を迎えていると説明する。
そして小規模校としてのデミリットは▽クラス替えが難しく、友人関係が固定化し、狭い範囲の同じ活動が繰り返されがちになる▽多様な関わり合いの中から集団のルールを学び、好ましい生活態度をつくりあげることが出来にくくなる▽授業においても課題解決の発想や意見、感想などが固定化し、相互の考えや活動を交流させて新たな考えをつくり出すなどの学習が成立しにくい▽集団活動で効果をあげる部活動、さらに音楽や保健体育の学習をダイナミックに展開できない─などを挙げた。
一方で過大規模校としては▽集団に馴染めない児童生徒が、集団の大きさに恐怖感や違和感を感じることがある▽学校行事などを多人数で行うことから児童生徒一人ひとりの特性や能力を生かすこと、十分な活動を保障することが困難な場合もある▽日常的に意思疎通を図ることが難しい面もある─などのデミリットを挙げた。
この他、小規模校のデミリットとしては小学校の場合、学級担任以外の教諭がいなくなり、授業などの面で細やかな児童へのサポートがしにくくなる。同時に中学校では、技術や美術など一部の教科で免許を持たない教諭が授業を担当する可能性も出てくるという。
こうした課題を提示しながら、新しい時代の大仙市学校教育が目指すものとして同市教育委員会では「学校力を高め、家庭や地域社会に信頼され、子供たちの人間力を確かなものにする」をスローガンに「共に支え合う力の育成」「創造的に生き抜く力の育成」「考え、生かす力の育成」「開き、信頼される学校」の4つの目標を設定している。
そして教育委員会が考える適正規模の学校は小学校の場合、各学年で児童数が50人程度、1学年2〜3学級、1校あたりの学級数は概ね12〜18学級を標準とするとした。また、中学校では各学年で生徒数が50人程度、1学年2〜4学級、1校あたりの学級数は概ね6〜12学級を標準とした。
また、これからの教育のあり方として、子供たちの学習への意欲が小学校では高いのに中学校に入ると低下する傾向にあるのは、小学校から中学校にかけての指導形態や教師のかかわり方、学習内容の量や質など教育環境が著しく変わることにも要因があると指摘。その問題解決の一つとして、小学校と中学校の接続による9年間の一貫した新しい教育システムである小・中連携教育、小中一貫教育も提示している。
こうした説明に対して委員からは「1クラス10人程度では交流も少なく、刺激もないが、地元には〃おらほの学校〃という意識も強く、統廃合には反対の声も出ると思う。しかし、子供たちのためを思うと、活性化できる統廃合を考えてもらいたい」「少子化をマイナスと捉えず、もっと前向きなプラスの方向に考えるべきだ」「小規模校でもデミリットばかりでない。運動会や学芸会でそれなりに頑張っている」「小さな学校でも子供たちは自分の学校に大きな誇りを持っている」などの意見がでた。
検討委員会は今後11月下旬まで4回開き、大仙市が目指す新しい学校づくりに向けた教育環境整備の方向性について提言書をまとめたいとしている。