大仙市堀見内の齋藤さん
卒業前に兵役へ、喜寿を記念に証書を授与(8月30日・水)
戦後61年目にして得た卒業証書─。大仙市仙北ふれあい文化センターで30日、兵役で小学校の卒業証書をもらえないまま喜寿を迎えた人への「卒業証書授与式」があった。喜寿を祝う同級会が同センターであり、旧横堀尋常高等小学校の卒業証書をもらえないまま海軍に志願入隊した齋藤昭夫さん=堀見内字元田茂木=に現在の横堀小学校から、卒業証書が授与されたもの。齋藤さんは「私にとって一生の宝だ」と感激していた。
齋藤さんは1945年(昭和20年)1月15日、わずか15歳で横須賀防備隊の水測兵として入隊。海中に沈めた水中聴音機を使って船のエンジン音を聴き、潜水艦か軍艦、あるいは漁船なのかを判断する役目を務めながら終戦を迎えた。
そして戦後は農業を継いで家庭を持ち、2人の子どもを育てた。年齢を重ねても何かが欠けていると思えたのが、卒業式を目前に兵役に就いたためもらえなかった尋常小学校からの卒業証書だった。
同級生たちから喜寿の話が持ち上がった時、齋藤さんだけが卒業証書をもらってないことに気づいた同級生の一人が、仙北総合支所教育委員会分室に相談。同分室から教育委員会に持ち込まれ、「正式なものは出せないが、齋藤さんの希望は叶えたい」と現在の横堀小学校からの卒業証書を授与することになった。
この日の卒業証書授与式には齋藤さんも含めた同級生25人が出席。そして横堀小学校の森元憲美校長や三浦憲一教育長、根本正進支所長らが出席。開式の辞に続いて国歌斉唱に入ると同級生たちは61年前の卒業式にも歌った「君が代」を万感の思いを込めて歌っていた。そして森元校長から齋藤さんに「卒業証書」が授与され、三浦教育長からは「貴殿は尋常高等小学校の課程終了証書受領を待たず昭和20年1月15日入隊決定により以後今日に至りましたがこの間永く心身ともに壮健にして社会人としての努めに奮励されましたのでその功労を顕彰します」と特別顕彰も贈られた。
来賓を代表して根本支所長は参列者の喜寿を祝うと同時に「皆さんは青春の真っ直中を戦争という大混乱の中で過ごされた。戦後生まれの私たちはその本当の辛さは分からないが、戦争を体験した身内から戦争の怖さ、むごさを何度も聞かされた。我々、戦後世代のためにもますます元気で活躍してくれることをお願いしたい」と祝った。
最後に卒業生謝辞として齋藤さんは「横堀尋常高等小学校の卒業証書をもらえたことは私にとって一生の宝。これも同級生が教育委員会に足を運び、そしてそれを快く承諾してくれた市の教育委員会のおかげだ」と礼を述べていた。